テレビ業界の欺瞞を暴く!! いまこそ本気で特権意識で腐敗したムラ社会の解体・再生を!・・・(1)私が体験した某大手テレビ局報道部に実在する、信じがたいムラ的癒着体質。こんな腐った構造こそが、ジャニーズ問題を生み出したテレビ報道の病巣なのだ!

いま、世間を揺るがす「ジャニーズ問題」。その根底にあるテレビ業界の欺瞞と恒久的構造腐敗が厳しく糾弾されだした。つい最近までアイドル王国として君臨していたが、急転直下各週刊誌やネットメディアはジャニーズ事務所とTV局批判で大盛り上がりだ。
 
「ジャーニーズの性加害問題の本質はテレビ局の堕落」「脚本家・倉本聰がジャニーズの圧力を暴露。小泉今日子ら著名人もジャニーズ性加害問題に参戦」「北公次の告白」を見て見ぬフリしたメディアへの提言。人権・社会的責任を追及しない?メディアの沈黙」「サラリーマンジャーナリストの保身。テレビも解体・出直しを」・・・・など等、堰を切ったかのように、改めて公になったジャニー喜田川元社長の性犯罪を黙認してきたメディアへの批判が相次いでいる。
しかし、周知のごとくこのジャニー氏の性犯罪事件が公になったのは今に始まったことではない。元ジャニーズ事務所の初期アイドルを代表する「フォーリーブス」の北公次が「光GENJIへ」と題して35年前の1988年に自らの被害を綴った告発本を出版している。しかし、当時大手メディアはまったく動こうとはしなかった。本はベストセラーになった。が、立派な性犯罪として問題視して取り上げたのは夕刊紙や実話系週刊誌ばかりだった。二弾三弾とシリーズ化したが大手メディアは全く動こうとせず「落ちぶれた元アイドルの怪しい人気取りの告発」くらいの反応だった、とゴーストライターとして関わった本橋氏は述懐している。これには当時メディア界に絶大な影響力を持っていたジャーニーズ事務所の圧力があった事は想像に難くない。しかし、いま改めてこの問題が公然と批判され再燃しだしたのはジャニー喜田川氏が亡くなったことでも、メディアが過去の過ちを認め自らの襟を正しだした訳でもない。この問題を未成年への性犯罪として正面からBBCが取り上げドキュメンタリー番組として放映され海外メディアが注視しだしたからに過ぎない。それにより世界市場を相手にする大手企業のスポンサーがジャニーズ事務所のタレントを使うことは人権無視につながる、と表明し問題視しだしたからだ。さらには他の芸能事務所でも同様の未成年への性的犯罪が許容されていたのでは?と事件の広がりは予断を許さない状況になっている。
 つまり、日本国内問題だけではいかようにでも処理できる、と高を括っていたTV局やジャニーズ事務所が、ようやく国際的な青少年への性犯罪コンプライアンスの追及という社会的大波を受け逃げ場を失いつつある、とうのが本音だろう。
 人気アイドルを保有する大手芸能事務所とTV局など大手メディアの癒着ともいえる深い関係性はある意味、売れ筋商品を納入する業者とそれを販売する大手流通業者のバイヤーとの関係性のように誰の眼にもわかりやすい構造だ。
 しかし、放送法によって規定されたTV局はNHK、民放ともに「報道」という半公共的使命も担っている。けっしてドラマやバラエティ番組でのキャスティング・制作には終わらない。この「報道」と言う観点からも彼らはTV業界やメディア界、一部の見識者の間では半ば公然と指摘されていたジャニー喜田川元社長のアイドル志望者たちへの未成年者性犯罪を見て見ぬふりをしてきた。この罪は大きい。先述のように35年前に起こった性被害の当事者、北公次の告発も無視し続けてきたのである。
 私もテレビ制作に多少なりとも関わってきたものとしてTV業界の内部を見てきたひとりである。その中でこれこそが「ジャーニーズ問題の病巣」、ともいえるTV業界の魔訶不可思議な腐敗構造をここで、ひとつづつ提起したい。これは単に大手芸能事務所に所属する人気タレントを使いたいという局側の迎合、という単純な構図にとどまらない。 それは日本独特の「空気を売る商売」として多大な利益を得ていたテレビ局が持つ様々な隠れた特権意識が醸成した独特の腐敗構造といえるだろう。
 
 TV局の制作現場にはさまざまな制作会社、派遣会社からADやディレクター、放送作家等の人材派遣が行われている。彼らが実際の現場を支えているといって過言ではない。それを番組ごと担当の社員プロデューサーが企画・管理している。そしてそれらの各番組を編成部や様々な部署が統括しているのだ。これ自体はどの局も同じだろう。多くの取材現場やロケ、撮影現場を社員だけでこなすのは不可能だ。制作現場の責任監督は局が持つが制作進行は、社員も派遣社員も同様に作業し進めていく。それ自体は問題ない。
 しかし、某キー局の報道部には、それに似ているようでまったく異質な人材派遣形態が存在している。某著名放送作家が個人で立ち上げた会社が、その報道フロアで現場を仕切るディレクターやプロデューサー、作家、元報道局社員のコメンテーターなどをタレント事務所のように所属させ、人材派遣会社として派遣しているのだ。
 そしてその放送作家X氏自身もその報道局で自身が立ち上げた番組の構成をやり、プロデューサーとしても実権を握っている。彼は社員でもなく全くの外部の放送作家である。この局は報道番組で真っ先にジャニーズ事務所のアイドルをキャスターとして採用した局でもある。もちろん彼もその番組立ち上げに参加している。
 私も彼や彼が派遣するプロデューサーとそのニュース番組の特集を製作したことがある。その現場でその仕組みを目の当たりにして大いに疑問を感じたのだ。
このような制作体制で果たして常に客観的で公正な「報道」というスタンスが守れるのだろうか。なぜ、その放送作家の個人会社(この会社はなぜか昨年急に某局の子会社に吸収合併された。ジャニーズ問題を予知したかのように)にほとんどの人材派遣を担わせる意味があるのだろうか。さまざまな疑問がわいてくる。
 優秀なコメンテーターや評論家も数多くいるのになぜ、その会社に所属する元報道局員だけを番組に出す意味があるのだろうか。
 自分で番組を構成し、その番組に自分の会社に所属する元社員を出演させたり、所属するディレクター、プロデューサーを派遣する。もちろん自身は作家やプロデューサーとしてのギャラは当然別途得ているのだ。 その上で別途派遣手数料の収入を得ている。なぜ、そのような優遇と特権を彼だけが得るのだろうか?
 中小企業のワンマン会社や親方日の丸の個人商店なら、よくある話だろう。下世話な話だが、お気に入りの秘書を優遇させたり、親戚の大番頭に自由に仕事を仕切らせたりとあるかもしれない。しかし、それでもそれらは一応社員として所属しているのが普通だ。しかし、X氏は元社員でもなく、最初から外部の作家として関わっている。そして曲がりなりにも、社会問題や政治、経済、労働問題や国際問題を提起したり、報道する放送法に沿った大手キー局「報道部」の話だ。
 私はある勉強会で知り合ったこの元報道局の人間でこのXの会社に所属してやはり彼の番組にでて中国問題でコメントしている人物に飲みながら、率直にその疑問をぶつけたことがある。彼はそれまで、私がその報道局で中国ネタを取材・制作したことを知らなかった。彼は「え?」という顔をして「あれは鈴木さんがやったんですか。なんであいつら俺に回さなかったんだ」とつぶやいた。彼はその番組での中国取材は自分の選任事項と思っていたのだろう。他局でやるのはいいけどなんで俺の領域に手を出した?ということだ。そしてXの会社への所属の事にも「なぜ知ってる?」というような渋い顔をした。 それを境に彼との友好的な関係は消滅し、彼は色々なところで隠れて私の誹謗中傷を始めたのだ。
 
 このような「報道制作」体制ではジャニーズの青少年性被害を問題化させず揉みつぶすのがいとも簡単なのは誰の眼にも明らかだ。X氏だけ懐柔すれば情報操作は簡単にできてしまう。番組構成に人気放送作家は強い影響力を持っている。しかも、コメンテーターもディレクターもプロデューサーもそのX氏が派遣しているとなれば日の目を見るより明らかだろう。そして、その看板報道番組にジャニーズ事務所の人気アイドルがキャスターとして座っているのだ。
 決してジャニーズ問題にX氏が関わったと断定しているのではない。そういう危険性があるのにそれを放置している某大手キー局の組織管理能力に疑問を呈しているだけだ。さらにこういった癒着とも見える組織は誰が見てもその背後に何らかの特定の強い影響力があったのではないか、という疑問がわくだろう。
 事実私もこのTV局の報道局のある大物プロデューサーがX氏を擁護している、という噂を聞いたことがある。単なる噂かもしれないが、そういった疑問の眼が生まれること自体、報道スタンスの基本から外れるのだ。国際的報道コンプライアンスからは遥かにかけ離れた意識のズレだろう。
 
 
これはいまの日本のテレビ業界が抱えている組織的弊害のひとつであるのは違いない。 このジャニーズ問題は日本というマーケットだけを相手にして成長し、巨大マスメディアとして安易に情報権力の頂点に立ったTV局がそこで自然と生まれ完成したムラ社会的ヒエラルキーから抜け出せないうちに、ネット社会やSNS社会による情報の透明性、国際性から生まれる新たなコンプライアンスに取り残された結果といえるだろう。ビックモーター不正事件などは徹底的に追及するが、自身には常に甘く、相互批判も反省もない、もたれあいのムラ社会で生きているのだ。
 この信じがたい「ズレ」は他にもまだまだある。これらを正面から受け止めて、この硬直化した構造を解体し、再生しようとしないかぎり、このメディアの将来はないと断言できるのだ。

鈴木 ジョージ (ジャーナリスト)
 

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