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中国ビザ免除を香港への陸路出国で達成した話

2024年現在、日本のパスポートで中国に入国するには一部地域を除きビザの取得が必要となっている。だがしかし、第三国への乗り継ぎという名目で入国する場合は滞在地域・時間の制限つきで入国できるという、トランジットビザ免除プログラムが行われている。

このプログラムでは最大で 144 時間の滞在が可能ということもあり(地域によっては 72 時間まで)、コアな海外バックパッカーはうまいこと旅程を組んで中国旅行を楽しんでいるようだ。今回はそんなトランジットビザ免除を香港への陸路出国という形で達成してみた話。いろいろとネット検索しても全く情報が出てこなかったため、陸路出国に挑戦したい方はぜひ参考にしてほしい。


結論

1秒でも早く情報が欲しい結論ファースト原理主義者のために、先に結論を置いておく。

  1. 鉄道利用(高鉄・地下鉄)の香港入国は航空会社のシステムの関係で NG

  2. バス利用の場合、乗車地は深圳湾口岸(Shenzhen Bay Port)となる

    1. 予約は klook からがオススメ

    2. 降車地は目的地によるが中心部であれば尖沙咀(Tsim Sha Tsui)

  3. 航空会社の職員さんも陸路出国でのビザ免除には慣れていないため、空港には余裕を持って行く

  4. 制度上、中国への入国は広東省の空港(広州・深センなど)になり、他地域(北京・上海など)からは香港への陸路出国ができない

以下、私の体験をだらだら振り返りながら解説していく。

そもそもビザ免除とは?

本題の前にビザ免除制度について確認しておきたい。そもそもよほどの海外旅行オタクか海外出張しまくりのバリバリサラリーマンでない限り、「あれ?中国ってビザ無しで入国できなかったっけ?」と思っているだろう。実はその通りで、元々中国は日本・シンガポール・ブルネイの3カ国に対してビザ免除を認めていた。実際に私もビザなしで普通に中国へ渡っていた。

で、コロナ禍となりビザ免除制度は一時停止。コロナ明けの 2023 年にようやく再開したものの、共産党の嫌がらせ……もとい、国際情勢の影響により日本はビザ免除の対象から外されてしまった。さらにはコロナ前には対象外だった欧州諸国やタイ・マレーシアなどもビザ免除が開始されるなど、日本を露骨に蚊帳の外へ追いやる展開となった。

ところが冒頭で述べたように、ビザ免除の対象でなくとも第三国へのトランジットという形であれば制限付きで入国可能だ。例えば東京→上海→(6日間滞在)→ソウル→東京といった形でビザ免除の対象となる。もちろん連続した航空券である必要はなく、別切りで全く問題ない

で、この第三国には香港やマカオも含まれる(もちろん台湾も)。「ということは陸路で出国でもいけるんじゃあないか?」と思って実践してみたわけだ。香港は中国の広東省深センと陸続きで、地下鉄やバス、高速鉄道などで繋がっている。今回は最も一般的と思われる羅湖駅(地下鉄)経由での入国を計画していた。

ネット検索ではそもそも陸路出国がビザ免除か否かの情報を全く見つけることができなかったが、広東省公安庁の HP では陸路で出国可能なポートとして羅湖駅が挙げられていたため問題ないと判断した。

旅行準備

そんなこんなでさっそく旅程を組む。中国への入国は広州空港とし、1泊観光してから高鉄で深センへ、ぶらぶら観光しながら香港へ抜けるという旅程にした。さっそく航空券と宿を予約し、高鉄は予約開始日(乗車日の1ヶ月前)に予約……予定だったのだが、忙しくて完全に忘れており2週間くらい前になってようやく取得した。これらの予約情報は日本出国時・中国入国時のいずれでも必要となるためプリントなどしておくと良い

なお、ビザ免除プログラムでは入国した空港によって滞在可能な地域が変わってくる。例えば北京で入国した場合は北京市・天津市・河北省以外の地域へ出ることはできない。そのため、北京で入国して上海から出国などといった旅程は組めないので注意が必要だ(前回の中国旅行はこの旅程だった)。香港へ陸路出国したい場合は広州・深センの両空港を使うのが良いだろう。

羽田空港へ

出国当日、のこのこと羽田空港の国際線ターミナルへ。JAL のカウンターへ行き、プリントした予約情報と陸路で香港へ抜ける旨を伝える……が、情報を打ち込んでいた職員さんの手が止まる。どうやら JAL のシステムで陸路出国を受け付けることができないらしい。さらに困り果てたところで先輩職員さんが登場……するものの、「私もこのパターンは初めてだわ」とお手上げ状態\(^o^)/

「地下鉄での出国はやめて、香港直通の高鉄をこの場で予約する形は可能でしょうか?」と提案するものの、どうやら鉄道での出国は全て対応していないとのこと。なんてこったい。「一番確実なのは香港行きの飛行機を取ってもらうことですね~」とのこと。まあそりゃそうだろうけど、だいぶ高くつくし時間的にもかなり微妙な選択肢。どうしよう……。

搭乗時刻が刻一刻と近づく中でついにベテラン職員さんも登場し、結局広州の現地スタッフに確認していただくことになった。その間に私の方で別の交通手段を探すと klook で予約可能な乗合バスを発見。幸いにも香港でのアクティビティ予約のため klook は会員登録済みだった。

https://www.klook.com/ja/activity/6817-city-transfer-shenzhen-bay-check-point-hong-kong/

で、確認いただいたところ深セン湾口岸からであればバスでの出国が可能(JAL のシステムが受付可能)とのこと!さっそくその場で深圳湾口岸から尖沙咀までの区間を予約した。降車地が香港であるかを職員さん側で確認する必要があるとのことだったが、ちょうど中国人の職員さんがいたため「尖沙咀は香港ですね~」と一瞬で確認終了。

搭乗時刻が迫っていたこともあり、保安検査は優先レーンを通過して職員さんと一緒に全力ダッシュ!羽田来るのがもう 20 分くらい遅かったらアウトだったかも。

一時ビザの取得

で、無事に広州に到着。

ここで一時ビザを取得することになるが、うっかりそのまま入国審査に進まないよう注意が必要だ。そもそもビザ免除を利用する人が少ないため、人の列についていくととそのまま入国審査へ行ってしまう。トランジットの方へ進むと横に申請カウンターがあるのでそちらへ行こう。

で、先客はいなかったものの少々待たされてから職員さんが出てくる。事前にプリントした予約情報と先ほど予約した乗合バスの情報を見せ、申請完了……と思いきや、予約したバスの日付が3日後となっており旅程と整合が取れないトラブル発生。これは klook のシステムの関係で翌日・翌々日のバスが予約できないためだ。

「翌日に出国したいなら翌日のバスを取り直してください」とのことだったが、オンラインでは予約する手段がない様子。しばらく押し問答が続いたが「明日深センまで高鉄で行きます。深セン湾口岸で直接翌日のバスに変更してもらいます。」と言ったところ、あっさり納得していただけた。どういうシステムになっているのだろうか?

ビザ免除獲得後は普通に長蛇の列を作っているイミグレに並ぶ。空港に到着してからビザ免除を取得しイミグレを通過するまでの時間としては、時期や時間帯によるだろうが1時間程度だと思われる。余裕持って2時間見ておけば良さそうだ。

なお、翌日までに出国する場合は 24 時間のビザ免除・6日後までの場合は 144 時間のビザ免除となるらしい。24 時間ビザ免除は入国した瞬間から 24 時間後まで有効なのかと思っていたが、翌日末まで有効っぽい。なので私は本来 24 時間の免除となるはずが、予約の関係で 144 時間となってしまった形になる。

陸路出国

広州・深セン観光についてはまた別に旅行記を書くとして、深セン湾口岸に到着したところまで話は飛ぶ。

前述の通り、3日後の出国と申請してビザ免除を取得したものの翌日に出国することになる。ドキドキしながら出国審査へ。

パスポートを職員さんに渡すとやはり何らかのイレギュラーがあったのか、別の職員さんが出てきてパスポートを別室へ持っていってしまった。……が、なぜかパスポートコントロールの改札も開き、制限エリアで待てとのこと。冷や汗をだらだら流していると1分ほどで確認が終わった職員さんが戻ってきた。特に問題はなかったらしい。

で、バスの乗車口へ。klook の予約画面を見せながら「予約日時を今日に変更したいのですが……」と言いかけたがその必要はないらしく、 QR コードを読み取って終了。そもそも乗合バスで便や座席の指定もないわけだから、何日の切符だろうと関係ない話だ。

そんなこんなで心臓ドキドキの香港陸路出国チャレンジだったが、どうにか無事にクリアすることができた。めでたしめでたし。迅速かつ丁寧にご対応いただいた職員の皆様には感謝の念に堪えない。感謝感激雨あられ。

なお本記事と直接関係ないが、今回の旅では私が変なルートの航空券を予約したせいで別の空港職員さんにも大変な迷惑をかけてしまっている。この場を借りて深謝の意を表したい

まとめ

結論としては以下の通りである。

  1. 鉄道利用(高鉄・地下鉄)の香港入国は航空会社のシステムの関係で NG

  2. バス利用の場合、乗車地は深圳湾口岸(Shenzhen Bay Port)となる

    1. 予約は klook からがオススメ

    2. 降車地は目的地によるが中心部であれば尖沙咀(Tsim Sha Tsui)

  3. 航空会社の職員さんも陸路出国でのビザ免除には慣れていないため、空港には余裕を持って行く

  4. 制度上、中国への入国は広東省の空港(広州・深センなど)になり、他地域(北京・上海など)からは香港への陸路出国ができない

……といったところで今回はここまで。

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