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【準備編】外部生が東工大の院試をA日程で受けた話【情報理工学院】

2021年夏に「東京工業大学大学院 情報理工学院 情報工学系」を受験した際のメモ。院試は情報が極端に少ないため、この記事が将来受験を考えている方々の役に立てば幸いだ。

フィラデルフィア-48

ちょっと長くなってしまったため準備編と当日編に分けている。準備編では東工大院試の概要や提出書類の解説、スケジュールや勉強法などについて述べる。「実際の試験の様子だけ知りたいよ!」という人は当日編へGO。

◤◢◤◢注意◤◢◤◢

この記事の内容について嘘偽りはないものの、学院や系によって提出書類や試験の内容は異なるため注意が必要だ。私が受けたのは情報理工学院の情報工学系である。ただし、同じコースの受験でも年度によって異なる可能性もあることを留意しておきたい。まあつまるところ、この記事の情報で何か不利益が生じても責任は取れないよお!ということ。

院試の概要

まず東工大院試の概要について解説する。このあたりは募集要項やら他のブログやらに散々書かれていることなので読み飛ばしてもらっても構わない。

東工大院試の大きな特徴として、A日程とB日程があり、受験票が公開されるタイミングでどちらの日程で受験できるか判明することが挙げられる。
A日程は基本的には内部生向けの試験で、筆記試験が免除となり面接のみで合否が決まる。B日程は筆記試験+面接という院試としては標準的な内容となっている。なお、A日程で不合格になった場合はB日程で再度受験することになる。

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(募集要項よりキャプチャ)

チャンスが2度あるA日程の方が明らかに有利なわけだが、前述の通り受験者が日程を決めることはできず、提出書類の内容によってどちらかに振り分けられてしまう。で、肝心の振り分け基準はブラックボックスになっており、「成績が良ければ確実にA日程!」などといったことは言えない。

とはいえ、大学名と成績(GPA)が関わってくることは明らかだろう。GPAお化けの方々はA日程に振り分けられる可能性が高い。参考までに私の場合、MARCH〜早慶あたりの私立大学(特定されても構わないが一応ぼかしとく)でGPAは3.74/4.00だった。

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成績が重視される一方で、志望理由書や英語のスコアについてはどの程度影響があるのかわからない。ちなみに英語のスコアはTOEIC以外にTOEFLの提出も可能だが、少し低めの点数に換算されてしまう。私はTOEICの点数を持っていなかったためTOEFLを85点で提出したが、換算表によるとTOEICの770点あたりに圧縮されてしまっていた。

(TOEFL自宅受験の概要や勉強法などについてはコチラを参照してほしい)

提出書類について

詳しくは毎年4月に公開される募集要項を参照してほしいが、事前にこちらで用意するのは主に「成績証明書・卒業見込み証明書・英語試験のスコアシート・志望理由書」の4つとなる。

前2つについては4年に進級した時点で発行できるため、早めに大学に取りに行こう。このご時世だと郵送に対応している所も多いはず。ちなみに厳封する必要はなく(しても良い)、他の書類と一緒に封筒にぶち込むだけ。

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なお、原本の成績証明書にGPAの記載がない場合は(優良可しか表示されないなど)、別途GPAが記載された非公式の成績証明書を同封すれば良い。私の大学もなぜか公式の和文証明書にGPAが記載されておらず、いくらでもコピー可能な英文証明書を同封した。

英語試験のスコアシートは受験する系によって指示があるが、基本的にはETSから郵送される原本の提出が必要だ。私の場合3月末にTOEFLを自宅受験してからスコアシートが届くまで48日もかかった。英語試験は余裕を持ったスケジュールで受験したほうが良さそうだ。
なお、他の大学の院試で原本が複数必要な場合はETSに追加で送るようリクエストしなければならない。(20ドルくらい強奪される)

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志望理由書は就活のエントリーシートみたいなやつ。これも系によって若干内容が違うため、募集要項で確認するべき。どの系も指定字数がかなり少ないため、良い感じにまとめる能力が試される。……まあ、志望理由書がどれだけ重要視されているのかはわからないが。
私が受けたところは学士論文研究の概要やら進学後のビジョンやらを1500字程度で書くというもので、わりと時間をかけて推敲を重ねたのだがあまり削れず、結局1700字ぐらいで提出してしまった。

志望理由書で意識したのは、「学部でやっている研究」から「大学院でやりたいこと」への軸を明確にすること。学部で学んだ知見や研究への意欲、なぜ東工大の〇〇研究室を志望するのか等々、面接でも問われやすいポイントを軸に沿って組み込んでいった。早めに卒論のリサーチに着手すると4年進級直後でも研究について言語化しやすいのでオススメだ。

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スケジュールについて

最初に全学説明会が3月上旬にあり、前述の通り4月上旬に募集要項が公開された。また、研究室訪問なども時間のある春休み期間中には済ませておき、早めに志望する研究室を確定しておくと良い。(もちろんもっと早い時期でも良いと思う)

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4月と5月にそれぞれ学院単位での説明会があり、ここでも研究室訪問の機会が設けられていた。6月中旬に出願があり、7月上旬に日程の開示。A日程は7月中旬B日程は8月中旬に行われる……といった感じだ。

勉強のスケジュールとしては、進学を決心した11月~12月あたりに忘却の彼方であった数学の復習をし(……といってもマセマ読んだだけ)、年明け後TOEFLを受けた3月までは英語メインでTOEFL対策と卒論のリサーチ、4月から研究に着手しつつ数学・専門領域の勉強を進めた。

志望理由書は5月中旬に書き始め、仲の良い友人10人くらいに添削していただきながらフィードバックを反映させ、完成したのが6月の頭。ご協力いただいた方々には感謝の念に堪えない。この時期だと就活終わったり内部進学が確定していて比較的余裕のある人も多いため、いろいろと声をかけてみると良いだろう。

勉強方法

正直なところ、筆記試験対策については偉大なる先人方のブログなどを参照するのをオススメする。というのも私はまともな筆記試験対策ができなかった人間なので、参考になるかは非常に怪しい。たぶんB日程に振り分けられていたら筆記試験で足切りされていたと思う。

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使った教材としては前述のマセマ(線形・微積・常微分方程式・力学)や黄色い問題集(数学Ⅰ・Ⅱ)、そして過去問だ。
過去問については解答が公開されていないので注意。研究室訪問時などに譲っていただくか、友人伝いで入手するしかないだろう。あとはTwitterでDM飛ばしてみるとかだろうか?院試の情報収集用にアカウント作るのもありかもしれないが、私はTwitterやってないのでよくわからない。

流れとしてはマセマで網羅的に演習し、黄色い問題集で理解を深めていく……というのが理想だと思うが、私は黄色い問題集の難易度が高すぎて撃沈してしまった
ちなみに配点は数学よりも専門科目の方が重たいため、数学はほどほどにして専門で確実に得点できるようにするのが賢いだろう。まあ、私は専門のお勉強も全然していなかったのだが……。

あと、卒論と関係なく開いていた自主勉強会では確率統計のお勉強をしていた。正直こっちも難しすぎてずっと解答見ながら解き進めていた。

面接対策もコレと言って何かやっていたわけではないが、志望理由書の作成と普段取り組んでいた卒業研究がそのまま対策になったような感じだ。自分の研究について、社会的意義や学術的背景の説明ができ、関連研究の深い理解も示すことができるととても良い。

A日程で合格した際に辞退は可能か?

準備編の最後に、上の疑問にお答えしたい。A日程はすでに述べたように筆記試験が免除になり、合格率も高く半ば推薦の様なシステムになっている。
で、推薦で合格した場合は辞退できないことが一般的だ。ということは東工大のA日程も辞退できないのでは?という話になる。

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だがしかし、辞退の可否については募集要項にも公式サイトにも記載されていない。で、入試課にメールで問い合わせたところ一瞬で辞退可能との返事をいただいた。(他の受験者からも同様の質問が殺到していたらしい)

というわけで、東工大以外の大学院を志望したり(場合によっては)就活する際にもA日程での併願は可能ということになる。ただし、合格をいただいた研究室の先生や面接に時間を割いていただいた方々に迷惑がかかってしまうことは留意しておくべきだろう。
9月上旬の合格発表後、入学意向(辞退するかどうか)の確認までは2ヶ月ほど猶予があるが、辞退が確定した段階でなるべく早く入学意向の回答と研究室の先生への連絡を済ませておくべきだ。

……といったところで準備編はここまで。



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