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Judiciary - Flesh + Blood


テキサス州はラボック出身のウェスト・テキサス・ハードコア/クロスオーバー・スラッシュ・メタルバンド、Judiciaryの2ndアルバム『Flesh + Blood』は、エンジニアに前作で共演しているKnocked LooseやレーベルメイトのVeinを手がけたEND/Fit For An Autopsyのメンバーでもあるウィル・パットニー、そしてプロデュースにはクロスオーバー・スラッシュ界のレジェンドことPower Tripやコード・オレンジを手がけた気鋭のプロデューサーであるアーサー・リザーク、その現代ヘヴィ・ージックシーンのトレンドを生み出す二人のエンジニアを迎えて制作されているだけあって、Gojira以降のポスト・スラッシュと亡きライリー・ゲイルとPower Tripの意志を正統に受け継ぐような、「キザミ」に対する意識の高さを伺わせるソリッドな音作りと、そのキザミを中心としたグルーヴ感を伴う多彩なリフメイクやGojiraのジョセフ・デュプランティエの影響下にある豪傑な咆哮、そしてビートダウン・キングのKnocked Looseと真正面からスクラムを組まんとする鬼ブレイクダウンが、Power Tripとはまた違うベクトルのサウンド・プロダクションの気持ちよさを以って、とにかくバカかっこいいサウンドを轟かせている。

メイトのVeinも1stアルバムにおいて露骨にGojiraをオマージュしていたが、彼らも同様にまだクラシックの影響下に在りし時代のGojiraをオマージュした#5”Knife In The Dirt”や#9”Obsidian”は恐らく確信犯だし、#6”Stare Into The Sun”や#10”Eschatos Hemera”におけるVeinリスペクトなアーバンな世界観の形成も確信犯だし、中でもPのアーサー・リザークがギターで参加した#8”Steel Hand God”におけるアウトロの”キザミ”は、いわゆる「マツコの知らない黄金のキザミの世界」に入門しつつあるキザミのセンスを裏付けている。

前作の1stアルバム『Surface Noise』は、ナイフのように切れ味鋭いサウンド・プロダクションからして、モロにPower Tripの名盤『Nightmare Logic』を模範した作品だったが、この2ndアルバムでは(ボーカル含めて)Power Tripをゴジラやメシュガー以降のエクストリーム・スラッシュとして解釈を図ると同時に、新世代メタルを牽引するVeinやKnocked Looseに急接近するハードコア然としたアプローチを強めている。そのKnocked LooseやὉπλίτηςとスクラムを組みながら、新世代メタルの王座を狙う刺客の一組として、現代ハードコア・シーンにおける自身のポジションを確立させている。


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