見出し画像

portrayal of guilt - Devil Music


絶賛来日中のアンチクライスト系男子、またの名をクライストファッカー系男子ことテキサスはオースティン出身の三人トリオ、portrayal of guiltの約二年ぶり通算四作目となる最新作は、『Devil Music』すなわち「悪魔の音楽」というカーズばりに考えることをやめた直球タイトルからしてパンチライン。

本作においても、ノイズロックやハードコア/パンクシーンの影響下にあるDissonant系のスクリーモをベースに、いわゆるピッチブラックの旗手としてインディーズ・メタル仕草を極めつつ、魔界の美術館に展示されている「この世で最も黒い絵」からドロドロと滲み出る悪魔的な邪悪ネスをこの世の無間地獄に垂れ流している。

本作が「悪魔の音楽」を冠する所以、それを裏付ける新しい試みとして、従来のアンダーグラウンド・メタルのスタイルが貫かれた#1~#5までの楽曲を、(Ⅰ~Vのナンバリングで)弦楽器は弦楽器でもギターの代わりにチェロやホルンを擁するチェンバー・ミュージック的なアレンジを効かせて、ある種のチェンバー・メタルとして実験的な側面を垣間見せる。端的にブラックメタルとクラシックの融合という意味では、ハンター・ラヴェンナ・ヘンドリックス率いるLiturgyのスタイルに接近したと言えなくもない。

言うなればアヴァンギャルド・ブラックメタルに豹変する、古き良きホラー映画のサントラさながらの猟奇性と荘厳さをまとったクラシカルなアプローチと、餓鬼の如く穢れたシャウトが吐き散らすブラッキーな邪悪ネスが、著しく独奏的な芸術性を高めながら俄然「この世で最も黒い絵」然とした世界観を形成し、恐怖の概念を超えた不気味さのピークを更新する。改めて、新しいことに挑みつつも決して抜かりのないパフォーマンスに脱帽すること請け合いの一枚。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?