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Hammerhedd - Nonetheless


USはカンザスシティ出身のHammerhedd曰く、彼らは2012年頃から両親の影響でメタルヘッズとして英才教育を受けた”だんご3兄弟”ならぬ”めたる三兄弟”バンドで、少なくとも5年前のクソガキ時代もといメタルキッズ時代からガレージで演奏しているライブ映像がYouTubeに残されている。

その音楽スタイルとしては、それこそマストドンをはじめ、ゴジラやメシュガーらの”10年代のヘヴィネス”を象徴する重鎮やスラッシュ四天王に代表されるレジェンド級のクラシック・メタルバンドからの影響を自ら公言しているように、初期のマストドンや90年代のモダン・ヘヴィネスの影響下にある獣性むき出しの咆哮とともに、メシュガー以降の新しい学校のリーダーズもといアニマルズ・アズ・学校のリーダーズに代表される、Djentやテック・メタル勢の影響下にある変拍子やマスを刻む理知的なリフのパーツを積み重ねながら、TOOLに肉薄する現代ポストメタルのインテリジェンスを以って、さながら逆ジェンガとばかりに楽曲を緻密に組み立てていき、そして完成したのがディーゼル四駆の馬力(エンジン)を搭載した、00年代以降の現代ヘヴィミュージックの化身とでも呼ぶべき新世代メタルだ。

約二年ぶり、2ndアルバムの本作『Nonetheless』においても、クソガキ時代から一緒にジャムってきた三兄弟のスリーピースバンドだからこそ成せる、強靭なアンサンブルを奏でるバチクソタイトなリズムと極上のグルーヴ感は、もはや熟練(ベテラン)の形相を呈している。

そんな彼ら三兄弟のジェットストリームアタックと言わんばかりの魅力が凝縮されたリード曲の#2”Tunnel”を筆頭に、大人びたジャズ/フュージョン的なアプローチを垣間見せるプログレ・メタルの#3”The Richest Man in Town”、緻密なリフがアリの巣のように際限も隙間もなく譜面に敷き詰められた#4”Descent”、90年代のオルタナ/グランジの影響下にある#7”Fruition”、ピアノインストの#8を挟んで、TOOLリスペクトな呪詛的なウネリフでサイケデリックに妖しく展開する組曲の”Synthesis”など、正直この演奏/楽曲のクオリティでレーベル契約してないとか信じられないレベル。

彼らがやってること自体は至ってシンプルで、現に楽曲も三兄弟が演奏する楽器の生音だけで真っ向勝負している。その、いい意味で素人臭くて無駄な味付けのないオーガニックなギター・ミュージックは、例えるなら世の中のメタルバンドがにんにくマシマシの二郎系ラーメンだとするなら、この三兄弟が奏でる音楽はめちゃくちゃシンプルなあっさり系の醤油ラーメンだ。なんだろう、普段日常的に食べる二郎系もいいけど、たまにこういうあっさりスープ仕立てのラーメンが食べたくなる「あの現象」と少し似ている。

とにかく、アニマルズ・アズ・学校のリーダーズに肉薄するテクニカルな精度とポリフィア並のイケメン要素を兼ね備えた、メタルの未来を担う新世代も新世代の三兄弟なんで今後も要注目です。

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