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2022年BESTアルバムTOP10

10位 『Melt My Eyez See Your Future』

Denzel Curry

祝フジロック出演決定!とのことで、いま改めて聴くと初動ほどのインパクトはないかなと思いつつも、スターウォーズや黒澤明映画に対するリスペクトとオマージュに溢れた、前作の『タブー』並みに好感触のアルバム。とにかく、2022年はbroのJPEGMAFIAがフジロック初出演を果たし、今年=2023年は同じくbroのスロウタイがサマソニとソニマニに、そしてデンゼル・カリーがフジロックに出演決定したのは素直にメデタイ限りです。

9位 『MAYBE PERFECT』

代代代

例えるなら、いわゆるアイドルとして偶像崇拝化したLiturgyが本作で、グリッチ・ポップをベースとした「代代代なりのハイパーポップ」とばかりのカオティックなトラックメイクを筆頭に、それこそ甲盤と乙盤という風に曲順を逆再生順に別けた、実質二枚組のストーリー性の強いディストピア的な作風は、もはやアイドルの概念を覆す芸術性の高いアートポップの領域へと片足突っ込んじゃってる。

8位 『I know there's something left for you』

dynastic

2022年のParannoul枠。同年の7月にリリースした2ndアルバム『rare haunts, pt. i』において、湯浅政明監督のアニメ映画『夜は短し歩けよ乙女』の主人公とヒロインのCV.を担当した星野源と花澤香菜さんのセリフをサンプリングしたイメージが強すぎて、Z世代よろしくハイパーポップとトレンディなポップパンクが邂逅した、この1stアルバムも2022年作だったことを今さっき思い出した。また、Netflixアニメ『サイバーパンク エッジランナーズ』のいい意味で狂った世界観とシンクロする部分も、過去に「てめぇの爆乳さわってもいい?」とかいうクソナードリリックを日本語で歌っている点も俄然推せる。(1位の存在に関わってくる)それらのサンプリングやサブカル等の伏線を絡めた彼の存在はあまりにアイコニック過ぎた。

7位 『Spirit Of Ecstasy』

Imperial Triumphant

コロナ禍というディストピア真っ只中に、とある極東の島国で起こった暗殺事件。その出来事によりメクレたカルト国家としての日本(奇しくも、その伏線は2023年にも続いた)。本作は、まさにその「カルト宗教に洗脳された日本人女性を救いたい」・・・ただその一心が込められたようなDissonant Death Metalの良盤。

6位 『殯――死へ耽る想いは戮辱すら喰らい、彼方の生を愛する為に命を讃える――。』

Imperial Circus Dead Decadence

「ブルータル・デカダンス」を謳うヴィジュアル系同人メタルの傑作。それこそ、ジャーマン・ヴァイキングメタルのEquilibriumの伝説的な名盤『Sagas』を聴いた時と同じ興奮を憶えた。そして、何より面白いのは、本作において声優の小岩井ことりさんをフィーチャリングした伏線が、今回の2022年BESTアルバムランキング1位のバンドを生み出した某アニメのPA役として回収されるという神展開は偶然にしては面白かった。

5位 『Hostile Architecture』

Ashenspire

2022年のメタルシーンで最もバズったバンド/アルバムと言っても過言ではない、TOOLやMastodonに肉薄する”黄金のキザミ”を理解った現代ポストメタルとクラシカルなフォーク・ロックが融和したアヴァンギャルディなブラックメタルが織りなす、グラスゴー出身らしいアナーキズムを以って革命的なデカダンスを繰り広げる怪作。これは素でバケモンだと思った。

4位 『Diaspora Problems』

SOUL GLO

2022年のハードコア/パンクの中では突出した傑作で、いわゆるエピタフ系の次世代を担う超新星の爆誕。

3位 『BADモード』

宇多田ヒカル

実は、このアルバムの中で一番聴いた曲が、シーズン3の制作が発表されたアニメ『不滅のあなたへ』のOP曲として毎回聴かされた”PINK BLOOD”だという想定外の出来事はさて置き、中でも”気分じゃないの (Not In The Mood)”におけるショタボイスがSW作品でお馴染みのレオ・ブレアくんっぽくてデジャブを感じたと思ったら、その正体がアートワークにもチラッと映っているヒッキーの息子の歌声と知ってビッくらポン。アルバムの内容もana_themaがアートポップ化したような、それこそUKミュージックをルーツとするポスト・プログレッシブの精神を感じるアートポップの名盤。

2位 『卵』

betcover!!

恐らく、今年2023年のBESTアルバムに食い込んでくるであろうカネコアヤノの伏線回収としての柳瀬二郎、およびbetcover!!の存在は昨年(今年)最大のサプライズで、それこそ「90年代ヴィジュアル系を正統に受け継いでいるのが実はbetcover!!説」は自分の心の奥底に封印しておくとして、正直ここまでスティーヴン・ウィルソンと全盛期のOpethの延長線上で聴ける日本のバンドも珍しい(だから自分が気に入るのも必然だった)。少し膨張して例えるなら、古き良き日活ロマンポルノのバブリーな世界観とでも言うのか。いわゆる「ジャズ」という点では、宇多田ヒカルの『BADモード』とシンクロしなくもない。無論、某シンガーソングライターのジャズアルバムよりも全然ジャズしてます。今後も決してサブカル層向けだけで甘んじることなく、程よいスケールで末永く活動を続けてほしい次第。ちなみに、先日リリースしたライブアルバムの『画鋲』は今年のBESTです。

1位 『結束バンド』

結束バンド

ここまで、ありとあらゆる伏線を回収しながら遂にたどり着いた山頂が、昨年の覇権アニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』が生んだ結束バンドのデビューアルバムで、個人的に書いたいことはレビューに書いたので以下同文だが、とにかく2022年に聴いた音楽と観たアニメを総括するような作品で、観て聴いてる最中に「そんな事ある?」と何度思ったことか。


正直、2022年の年間BESTは「よっぽど」のことがない限りは、2021年BESTの東京事変の『音楽』の流れを年明け早々に引き継いだ、つまり椎名林檎のbroである宇多田ヒカルの『BADモード』が先頭逃げ切りで優勝すると思われた。ご存知のとおり、年度末の終わりも終わりに「よっぽど」の事が起こってしまった。それこそウマ娘声優的な意味で、すなわち競馬のレースで例えるなら、4コーナーからbetcover!!と結束バンドが「歪み」ならぬ「蹄」をかき鳴らしながら、手綱を持ったまま二頭揃って外から捲ってきて、最後の直線でゴール板をハナ差で差し切って優勝したのが1位の結束バンドなんですね。

確かに、その年の12月後半にリリースされたアルバムを同年の年間BESTか翌年の年間BESTに持ち越すべきか迷うのは音楽ブロガーの性だ。個人的には、今や「墓っ地・ざ・ろっく!」と化したブログ「Welcome to My 俺の感性」の総訪問者数が100万人に到達した記念すべきタイミングで、不幸にも左耳がけつあな確定した結果、数カ月間音楽をディグれない静養期間を設けざるをえなかったことが結果的に功を奏したというか、それこそbetcover!!と結束バンドの登場により、今さら昨年の年間BESTを書く口実ができたので逆にありがたかった。一足先にアニメで楽しんでいた結束バンドはもとより、もう一頭のbetcover!!の『卵』を数ヶ月間懐で温めて、ようやく孵化したホカホカの年間BESTといった感じだ。

なんだろう、休み明けに激走する競走馬じゃないけど、人生において最長期間となる期間音楽を摂取してない状態にあっても、いざ聴き始めれば強力な引力が発生するスタンド能力の持ち主、すなわち荒木飛呂彦のミームを受け継いだ子供だから、これはもうしょうがない小宮山。いわゆる大殺界としか他に言いようがない不運も、結果的に幸運に好転したのは本当に良かった。もちろん、これまで占いとか六星占術とか、そんなん信じてる奴らは頭パープリンのB層だろって見下してたけど、昨年末に結束バンドのライバルとばかりに自分の尿管内で結石バンドを結成したら何故か病院に救急搬送されるという、流石に大殺界のピークだからとしか考えられないような不幸に見舞われたので、これからは六星占術だけは信じることにします。サンキュー数子・・・そしてフォーエバー数子。しかし、一応まだ大殺界(減退)らしいので、完全に運気が好転する(らしい)来年の2024年から本気だす!w

改めて、この10枚を久々に聴いてみても「やっぱスゲーよこのアルバム」の一言しか言葉が出てこない。確かに、全体的にジャズっぽい雰囲気なのは恐らく気のせいだが、少なくともbetcover!!バンドのキーボード担当のロマンチック☆安田は、東京事変の伊澤っち並の官能的な旋律を奏でるので好き。一方、ベーシストの吉田隼人はJRA騎手の吉田隼人と同姓同名って・・・そんな事ある?w

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