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無名小説スライム編(17)

街中を歩いていると1人の男とぶつかった。「いたたた…」こっちが前を気にしていなかったのか向こうが焦っていたのが原因なのかはわからないが、ぶつかったのは事実だ。
俺は地面を転がっていき、男は持っていたものを散らかしてしまった。散らばったものはたくさんの袋らしきものだった。拾うのを手伝ったが、結構簡単だった。スライムだったので体の形を変えてタコのようにすべてを拾った。「ありがとう、急がないといけないものでな」急いでいたので俺は運ぶのを手伝った。「それで、いったいこれは何に使うんだ?」俺は大量の袋らしきものを眺めながら訊いた。
「ああ、これか」男は重そうな袋を大量の抱えながら走っていた。前が見えているのかもわからない。「これは防具を作るために必要でな、この中には大量のアングリーバットが入っている。しかしこれだけでは足りなくてな、あと数百匹は必要なんだ」俺は驚いた。「もうこんなにあるのに…なんでだ?」俺にはわからなかった。「軍隊全員用を作らないといけないからな、王は無茶な注文をしてくる」
俺はいい考えをした。と思う。「それなら俺がとってこようか?」俺は訊いてみた。「本当にいいのか?」少しバランスを崩しそうになりながら訊き返してきた。
「ああ、いいとも」俺は頷いた。「それはありがたい」男は名乗った。「そういえば名乗っていなかったな。わしの名前は菱那留ひしなる篁苪こうへいだ。よろしく頼む」俺はあることに驚いた。「名前がある!」この世界では名前を持つことだけでも知識や体力が上昇する。その代わりに性別がひっくり返ってしまう。「そこまで驚くことか?わしはもう70代だ。名前を持って当然だろう」そこにも驚いた。「な、70!?」もっと若いように見えたからだ。俺の予想では30代ほどだった。ひげもないししわ一つない。70歳といわれて驚かない人はいないだろう。「取り合えず場所を教えよう」
どうやら町の近くにある山の洞窟に大量発生しているらしい。だが、あまりにも多すぎて数で負けたらしい。だが、俺は簡単に倒せると分かっていた。捕食者というものを持っているからだ。
ーなあ、ソウル、何パーセントの確率で俺は死ぬか? 『はい、3.14159の可能性で死にます』俺は心の中でπパイを想像した。「完全に同じじゃん」とりあえずその洞窟に向かって進み始めた。だが、洞窟までの道のりは簡単だった。魔物もそこまで大きな魔物には遭遇しなかった。地図にも大きな点はなかった。しかも全く現れなかった。洞窟までは4匹の魔物しか出くわさなかった。
だが、その言葉は洞窟の目の前で飲み込んだ。地図からして、洞窟の中には何万、何十万という魔物が存在すると書いてあった。点で。
洞窟の中に1歩踏み入れただけですぐさま蝙蝠が飛んできた。ここに来てから一番最初に出くわした蝙蝠と同じだった。「どわー」どんどん飛んでくるので捕食が満タンになってきてしまった。
取り込んだアングリーバットを吐き出すしなかった。だが、取り込み吐き出すという動作をしていると森の中から大量の魔物が現れてきた。さっきまでの静かさが嘘だったかのようだ。
『3.14159%の可能性が当たった可能性があります』

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