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百不思議の小学校‐Zombie Apocalypse(6)

どんどん落ちる。いくら落ちても底なしだ。このまま一生落ちるのではないのかと思い、心がぞっとしたが、違ったようだ。下に落ち続けるわけではなかった。落ち始めてから数分後、大きな湖に落っこちた。
わかっている。ここで生きているというのは完全に科学常識を外れている。何分も落ちていたのだ。普通なら水に落ちた時の衝撃でぺっちゃんこになっているはずだ。だが、大木杏水しぶきを起こして水中にもぐりこんだ。
耳が痛い。衝撃で腹もきしむ。だが、意識はある。死んでいない。平べったくなっていない。ほっとした。ほっぺたをひねると痛かった。「よかった、でもいったいここはどこなのだろうか…」周りを見ると陸地が見えた。そこは洞窟で、真っ暗だった。上を見ると光が照らしてきた。とても小さな穴だった。ここがとても深いからだろう。
とにかく陸地にめがけて泳いでいった。

陸地に上がると地面に倒れた。
疲れた。最近全く泳いでいなかったから肩が凝ってしまった。「フー」一息対句とどこからかうなり声が聞こえてきた。「まさか…」声が聞こえてきたほうを見た。目を凝らしても見た。だが、なにもいなかった。
立ち上がり、ゆっくりと歩いていくと真っ暗な世界に目が慣れてきた。「ん?」奥には何かが見える。人にも見えた。「誰だろうか」そっと近づくと首を90度回してきた。一瞬でだ。首が間違った方向に曲がっているようにしか見えなかった。
「わ!」ゾンビだった。首が全く動かずに体だけこっちを向いてきた。とても君が悪い。「ゔ~」ゾンビはゆっくりとこっちに歩いてきた。
靴は履いておらず、グ区もボロボロだ。顔色はもちろん悪そうに見える。何か月もここにいたようだ。ゾンビはこっちを見てきた。だが、身動きをとらない。攻撃をしてこない。まるで攻撃する心を持っていないようだ。そろそろと下がっていった。「ゔ~…」何かを言いたそうにしていた。
ゾンビはくるりと回り、暗闇の中へと歩いて行った。「あ、ちょっと待って!」だが、待たずに奥へと歩いて行ってしまった。
追っていくと本当に何も見えなくなった。手探りで道を歩いていると奥から風が吹いてきた。弱かったが、何かの音が風と一緒に飛んできた。「ん?」自分の声も遠くへと響いていった。奥はどんどん続いているようだ。
何も見えない。音を頼りに進んでいくと光が見えてきた。とても小さな点だったが、確実に光だ。
走った。だが、なかなか届かない。遠い。遠すぎて疲れてきた。しまいには歩いて進んだ。
数分後、光の源が分かった。だが、いいところではなかった。
そこは外につながっていた。普通にそこから駆け出していくことはできない。なぜならそこは崖だったからだ。
下には緑の草原があった。どこまでも続く、緑の草原が。だが、ここで落ちると死ぬ。死ななくても死にたいほどの痛みを感じ取るだろう。
戻ろうと思ったが、急に洞窟の中が殺意で満たされた。「帰さないというわけか…」横を見ると崖が見えた。凸凹でこぼことしていて到底歩いて通ることはできない。上を見ると、終わりは見えた。だが、とても高い。ここから出るのならば飛び降りるか崖を上るしかない。
ちょうどその時、後ろからうなり声が聞こえてきた。1人ではない。複数だ。だんだんと見えてきた。ゾンビたちがどんどんこっちに走ってきていた。いつもならのろのろと歩いているが今回はのろのろと歩いていなかった。走っていた。
僕は慌てて飛びのいた。運よく崖を手でつかむことができて、できるだけ早くよじ登った。
「どうしたらいいんだよ…」穴の中から大量のゾンビが出てきているのを見てつぶやいた。

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