見出し画像

モンスターアイドルの行く末

『MONSTER IDOL』完結

この冬、二つの物語が幕を閉じました。

それは、ある男の恋愛物語。

番組の企画とはいえ、アイドルをプロデュースすることになり、そのサイコパス性を遺憾なく発揮しました。アイドルグループをプロデュースしながら、歪んだ恋愛感情を抱いてしまったことで、アイドルになりたいという可憐な女性の淡い夢を、私情によって握りつぶしました。

画像2

その事実を知らないカエデに、男の毒牙が迫りました。

なぜか、自分を落とした男とのデートを受け入れるカエデ。そして、二度目のデート。男は2人の写真を入れた、時代遅れのロケットをプレゼントし、既視感のある告白をする(笑)
答えは

「ごめんなさい」

画像1

一部始終を観ているヘイトが溜まっている視聴者や観覧者は拍手喝采。

振られたのに拍手が起こるクロちゃんって一体・・・

クロちゃんは一貫して相当な役者ではないだろうか。
昨年の「モンスターハウス」でも、様々なドッキリでも、ものの見事にハマり、その度に女性に夢中になり、カメラが回っているのに観られているとは思えないように女性に迫り、ゲスっぷりを遺憾なく発揮し、視聴者にヘイトを貯めさせて、当然のように振られる。
そしてみっともなく悪あがきし、強い執着と異常性を見せる。

画像3

途中までは、ある意味クロちゃんは道楽家かなと思ったけど、全然そうじゃなかったですわ。仲間にはしたくないし(笑)、潔さが足りないし、そもそもサイコパスだから(笑)まぁ、目の前のことに集中するのは道楽的ではあるものの、集中し過ぎというか、捉われ過ぎというか。

ただ、人生という舞台で生きる上では、いい役者かもしれません。もし役者だったとしたら、中々ここまでの外れ役を一生懸命演じることはそうそうできることではないと思います(笑)

あなたにできますか?私にはできません(笑)

でも、世の悪役というのは、そういう存在だと思うんですよ。
スピリチュアル的に言えば、魂やら霊が本物で、肉体が入れ物で、人生は筋書きのあるものだとしたら、その物語には「役」があります。その「役」は、自分の物語では主人公でも、誰かの物語では、望む望まないを別にしても敵や悪役になることもあります。

少なくとも、クロちゃんは今世を諦めてはおらず(笑)、自分を受け入れているようには思います。ただ、今までの抑圧により、歪んだ精神になってしまったんだろうとは思います。


裏切られるのは自分のせい?

クロちゃんを振った後、カエデは豆柴の大群のメンバーと放送を観て、事の顛末を知りました。

そこには、クロちゃんのセクハラや、本心が語られていました。

歌やダンスが劣っていたから落とされたと思っていた。しかし真相は、本気で好きになって彼女にしたいから、というものでした。

アイドルになりたいという夢を弄ばれ、自分を好きだと言ってくれた言葉を信じ、その結果、実力不足だと思い、最後に落とされました。しかし、真相は全く違いました。カエデはショックを受け、クロちゃんの「解任&罰ゲームver」のCDを買うと約束します。


果たして、カエデは裏切られたでしょうか?

メタ的に観ている私達にしたら、真相をわかっているので、可哀想ではあっても、裏切られてはいないように見えるはずです。悪い言い方をすると、カエデが勝手に信じただけです。クロちゃんを信じてしまったのはカエデなのです。

信じたい気持ちはわかるけど、そもそもあのクロちゃんを信じること自体が異常なこと。なのに、裏切られたというのは、筋違いでもある。まぁ、気持ちはわかりますけどね。
でも、信じる、裏切られたというのは、主観でしかなかったりします。事実は変わらなくても、捉え方や信じ方を変えるだけで、裏切られるということはありません。

もちろん、契約や約束をして、齟齬にする場合は「裏切り」になるとは思いますが、この場合は、「裏切り」にはなりません。ただただゲスいだけです(笑)


投票結果

そして、生放送で行われたCDの売り上げ発表が行われました。
結果は

続行ver:23828枚
解任ver:18231枚
解任&罰ver:31736枚

画像4

ということで、クロちゃんのプロデューサー解任が決まり、罰ゲームが決定しました。そして、豆柴の大群のプロデュースに関わっていた「WACK」がプロデュースを引き継ぐことになり、クロちゃんの非道な私情で落とされたカエデがメンバーに加入することになり、5人での活動が決定しました。

それにしても、豆柴の大群、デビューでいきなりオリコン1位になったのは、快挙だと思います。
売上の合計は73795枚。CDが売れなくなった時代にこれだけ売れたのは快挙です。ちなみに、続行と解任の二つに分けるなら、解任は合計49967枚でした。解任がダブルスコアです。それだけ解任と罰を期待する人が多かったわけですね。

後、購入者へのインタビュー映像がありましたが、「続行」を購入した人は、「もっとゲスいクロちゃんを見ていたい」という声が幾つかありました。まぁ、その人は自分に関係なく、面白おかしく見たいだけなので、我関せずの無責任だから言えることなんでしょうけどね。一番厄介なのは、クロちゃんではなく、そういう人たちなのかもしれません。まぁ、私にも多少ありますけどね(笑)


クロちゃん解任の意味

結局クロちゃんが解任ということで、このグループから、闇が取り払われました。残ったのは、光である彼女たちアイドルの5人です。

私は、常々物事は表裏一体であり、光と闇、陰陽の両面が揃って物事は成り立ちます。どちらか一方だけを取ることはできず、この世界はバランスを取るようにできているので、『スターウォーズ』で描かれているように、光を取れば闇も訪れるものです。

豆柴の大群も、クロちゃんのおかげで、73795枚ものCDが売れ、これだけ注目されました。「続行」を購入した人も、もちろん豆柴の大群を目当てに買った人もいたでしょうが、大半は、どんな理由であれクロちゃんを見たかったんだと思います。もっと言えば、クロちゃんに振り回されるアイドルが見たかったんじゃないでしょうか。

つまり、一番のゲスは、クロちゃんではなく、他ならぬ私たちということです。
そして、クロちゃんの解任が決定した時、メンバーは皆喜んでいました。確かに、アイドルの選抜は、クロちゃんのセクハラ、パワハラ、キモハラを耐えるということが一番の試練だったと思うので(笑)、その気持ちもわかりますが、クロちゃんありきだった企画でクロちゃんがいなくなれば、豆柴の大群の先は長くないでしょう。

おそらく、普通のアイドルがやっている、歌やダンスのレッスンよりも、明らかに足りていないと思います。その分の努力を、「クロちゃんに耐える」という部分に割り振ったので、クロちゃんが嫌だったのはわかります。でも、残念ながら、豆柴の大群の一番の勝ちであったクロちゃんがいなくなったことで、これから彼女たちの実力が試されると思います。が、果たして、2年後3年後も見られるでしょうか・・・。

闇は、切り離せばいいのではなく、それを認め、受け入れ自らの力にしなければ、自分の勝ちや魅力を切り離すことになってしまいます。
サイコパスやジョーカーゲームなど、様々な面を見せてくれた「MONSTER IDOL」でしたが、最後にまたとても重要なことを教えてくれました。
クロちゃんに耐えた豆柴の大群の活躍を、見守っていきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?