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せいをおかげにM-1優勝!マヂカルラブリー!

M-1グランプリ2020

昨日放送された、「M-1グランプリ2020」

2度目のファイナリストとなった、マヂカルラブリーが優勝しました!

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M-1の前日に、昨年大会のドキュメントを紹介するコラムを配信しました。

昨年のM-1では、優勝予想をするコラムを配信したのですが、下手に予想してしまったもんだから、純粋に楽しめなかったという反省を踏まえ、今年は、優勝予想は控え、単純に楽しんでみようと思いました。


大健闘だった「おいでやすこが」 

その中で注目していたのが「おいでやすこが 」です。突然、ライフワークにしていた「R-1ぐらんぷり」を取り上げられてしまい、行き場を失ったおいでやす小田さんと、こがけんのお二人に残された道は、M-1でした。悲劇の後に、M-1決勝という物語のような展開に、応援の意も込めて、「せいをおかげにM-1決勝」というコラムを配信しました。


道が塞がれたから諦めるのではなく、ユニットを組むことでM-1に挑戦し、新たな道が拓けました。R-1に出場できなくなりましたが、まさに「せいをおかげに」したM-1決勝となりました。だからこそ、個人的に好きだったこともあり、コラムにしたわけですが、正直優勝難しいだろうなとは思っていました。
しかし、1位でファイナル進出を決める大健闘!R-1では存在感のあったおいでやす小田さんですが、今回はM-1の舞台で、思いっきりキレツッコミを披露して全国区に名を轟かせたのではないでしょうか?

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R-1で培った二人の才能を、2年目でここまでできましたが、どれだけ進化させられるかが楽しみです!おいでやすこがは、コントもできるので、来年のキングオブコントでも観ることがでいるかもしれませんね。


マヂカルラブリー、おめでとう!!

改めて、今大会優勝したのは、3年ぶり、2度目の出場となったマヂカルラブリー!

忘れていました。

ここにもう1組、「せいをおかげに」M-1決勝に出場していたことを。

思い起こせば3年前、初出場で挑んだ際、上沼恵美子さんの審査で問題は起きました。

上沼さんの採点は「83点」と最も低く、合計は607点で最下位という結果でした。上沼さんは、コメントを拒否。「そんなことを言わず」と、今田さんがコメントをお願いすると、

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「高い点数をつけることはできる。でも、みんな本気で挑んでいる」

と、マヂカルラブリーをバッサリ切るようなコメントをしました。それに対し野田さんは、

「こっちも本気で挑んでるから!」

と反論すると、

「好みじゃない。よう決勝残ったなと思って」

と激怒し、さらに厳しいコメントをしました。爪痕を残そうと、野田さんは服を脱いで、ムキムキの体を披露しましたが、ドンズべりし、上沼さんとの間に遺恨が残るような形になりました。

その後の大会でも、敗者復活をかける際、「恵美ちゃん待っててねー!」と言うなど、マヂカルラブリーにとっては、M-1において、「上沼恵美子さんに認めさせる」という目標ができました。

3年の時を経て、野田さんは今年のR-1を優勝し、M-1の舞台に帰ってきました。

ネタを始める際の自己紹介でも、「ある一人を笑わせたい男」と名乗り、上沼さんへの思いを露わにしました。
ネタが始まり、3年前は、厳しい顔で見ていた上沼さんでしたが、今回は思いっきり笑う顔が映し出されていました。
結果は「94点」という高得点で、どんなコメントをするか注目されました。

「3年前?何にも覚えてない!」

嘘だろ?(笑)

まさかの言葉にある意味今日一の爆笑だった気がしますが(笑)、3年前とは違い、今回は絶賛でした。

「面白かった〜。バカバカしいを突き抜けたら芸術や。3年前はごめんね」

3年前の屈辱をバネに、3年間の時間をかけて、「せいをおかげに」した瞬間ではないでしょうか。得点も、「649点」で第2位。3位になった「見取り図」と「おいでやすこが」の3組で、ファイナルを争いました。


接戦のファイナル

ファイナル1組目は、見取り図による王道漫才。確実に笑いをとり、長髪をなびかせて、「見取り図行くかも?」と思わせる、堂々のネタでした。

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そして2組目にマヂカルラブリー。1本目以上に笑いを取り、私も爆笑しました。見取り図のネタを見た時点で、優勝は見取り図かおいでやすこがかなと思いましたが、「あれ、これは優勝あるか?」と思わせる、衝撃のネタでした。どうやら、準決勝で披露したネタだったようです。

そして3本目はおいでやすこが 。こがけんさんの歌がメインで、小田さんのキレツッコミは控えめだったように感じましたが、1本目と逆のネタだったらなぁと感じました。こがけんさんは歌がうまいのが特徴ですが、「HAPPY BIRTHDAY」のアレンジで最終的に小田さんも歌えてた、という流れにしたら、「いや、お前も歌えるんかい!?」と、視聴者総ツッコミで、爆笑だったんじゃないかなと思っていました。まぁ、小田さんがうまく歌えればの話ですが(^^;

3組が終わり、私も優勝予想をしましたが、今回は全くわかりませんでした。トータルならおいでやすこが。ただ、しっかりと漫才を披露したのは見取り図。瞬間最大風速はマジカルラブリーという感じだったでしょうか。

審査員の結果も見事に割れ、見取り図とおいでやすこがが2票ずつ獲得し、マヂカルラブリーが3票で優勝となりました。


空振りに終わった、もう一つのドラマ

ここにも、「もしかしたら?」と思うドラマが隠されていました。順々にめくられていく審査結果。
マヂカルラブリーと見取り図が交互に出て、マジカルラブリーが3票を獲得。残るは松っちゃんと上沼さん。二人が投票したのは、「おいでやすこが」でした。

もしここで、上沼さんがマヂカルラブリーに投票していたら?それこそ、完璧な物語の結末です。

酷評だった3年前から、称賛に変わって優勝、という感動的な結末になるか!?と思ったら、まさかの「おいでやすこが」(笑)。流石にそこまでうまくはいきませんでしたが、それでも、上沼さんに与えられた「せい」にしたくなる出来事は、見事に「おかげ」となる優勝に至りました


屈辱は、「せいをおかげに」するきっかけでしかない

3年前の上沼さんの酷評があってから、ウケが悪かった芸人は、上沼さんによって救われていたとも言われています、酷評されることで注目され、スベりをただのスベりで終わらせず、美味しくしてもらって、覚えてもらうようにしました。そして、マヂカルラブリーはその後、それをもネタにして、今回見事に「せいをおかげに」することができました

結局は、どう受け取るかで、「せい」にして終わるか、屈辱を受け止めて、味わって、力に変えることで「おかげ」にできるか、ということだと思います。屈辱を味わうということは、相当なエネルギーになるのだと思います。予選ラストに出場したウエストランドは、「漫才をやるのは、復讐する為」とネタにしていましたが、屈辱を復讐にするのか。ネタにして笑いにするのか。「見返したい」という思いはきっと誰にでもあるとは思いますが、マヂカルラブリーは復讐ではなく、力に変えて笑いにしたことで、上沼さんにも認められ、優勝できたのだと思っています。

優勝して、「最下位でも優勝できる!だから諦めないで欲しい!」という野田さんのコメントは、多くの芸人や視聴者の胸を打ったのではないでしょうか?言い換えるなら、「負けたからこそ、優勝できた」というものかもしれません。


ネタだけでなく、背景も審査対象になる

M-1に限ったことではないですが、物事には背景があり、マヂカルラブリーにも、他の出演者にも、色んな思いや覚悟や犠牲にしたものがあると思います。きっと、3年前のことがなければ、今回優勝していたのはマヂカルラブリーではなかったでしょう。審査するのは人間です。純粋にネタだけを審査するのではなく、やはり歩んできた道筋も、審査の対象になると思います。

前回大会が、史上最高と言われるのに対し、今回は史上最低と揶揄する人もいます。確かに今回は、前回を超える大会ではなかったかもしれません。しかし、ファイナリストの3組、誰が優勝してもおかしくなかった状況や、「せいをおかげに」を背負っているのが2組いたことは、前回とは違う意味で、面白い大会だったと感じています。特に今年は、コロナの影響もあった中で、ネタ作りもネタ合わせも難しかったと思いますが、ただ酷評する人は、もうM-1を観なければいいと思います。観るも自由、観ないも自由です。

過去の「せいをおかげに」したマヂカルラブリー。R-1出場できなくなったおいでやすこが。そして、今回新たに屈辱を味わった、最下位になった東京ホテイソンや、優勝候補と言われたニューヨークなど、今後の進化が楽しみです。


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