みずたたまご
ある日、私は仕事で残業をしてかなり疲れて帰ってきました。 「今日は早く寝たい!』 と風呂に入り家事をすませて寝ようとすると、大福がまとわりついてきました。 かまって欲しいビームを出しまくるので、 死んだふりをして床に倒れてみました。 すると、「うーうー」といい、ものすごい力で私の髪の毛を引っ張り回しました。 「ぎゃーいたいー」ととっさに大声を出して、 飛び上がりました。 そうです、完全に負けました。 「すいません」と謝り許してもらいました。 熊じゃないですよね。(笑)
「大福!」と名前を呼んでも、同然反応はありません。 何周か回ったあとに、気付いたらゲージで寝てました。 それから、自分の名前を覚えてもらう訓練です。 側にいく度に「大福!」と呼び撫でていました。 いつも首をかしげてました。 おしっこの場所を覚えてもらうにも、苦労しました。 トイレの場所にこの薬をかければ、犬はトイレと覚えると書いている商品があり買ってみましたが、効果はありませんでした。 アチコチにそそうしてしまいます。 しまいには、私を電柱と思ったのか?、わたしの足におしっこをかけることもありました。 数年たってようやく、トイレを覚えました。 名前は数ヶ月で覚えてくれましたが。
こうして、オスのパグと私は暮らすことになった。 それに伴い、名前をどうするかと悩んだ。 「福」という文字は入れたい、しかし「福助」「福餅」「福太郎」など芸のない名前しか浮かばなかった。 ラインを通して、いろいろな人に意見を聞いた。 ある友人が「大福はどう?」と提案した。 私は「えー餅じゃん、食べられちゃう」と不満をいったが、なんとこの名前が好評で多数決でうちの坊ちゃんは「大福」という名前になった。 ワクチン接種も終わり、動物病院の先生が「外に出していいよ」と許可もおりたので抱っこして近所を散歩した。 怖いのか、大福はがっしりと私につかまり、周りをみなかった。 猫が横切ったくらいで、「ううう~」と怖がる。 「かわいいなぁ、私が守ってあげないと」なんて思っていた。 しかし、家に帰ると途端に活動的になり、部屋をぐるぐると走りまわった。 いわゆる、パグ走りだそうです。
キャリーバックのチャックを開けると、目をキョロキョロしながら恐る恐るでてくるパグ。 「お店での態度とは全然ちがうじゃん(笑)」 おもわず笑っちゃいました。 おやつやごはんを食べると、静かに、犬なのに、借りてきたねこ?のような態度でした。 徐々に環境に慣れてきて、アチコチ探索し始めました。 ボールを投げてみましたが、無反応。 冗談で猫じゃらしを買ってみたのですが、 なぜかそれにはすごい食い付き! ガジガジとかじり、ねこのような振る舞いをしました。 そしてゼンマイがついたくじらのおもちゃを目の前におくと、すごいスピードで逃げていきました。 本当に犬? 両親のどちらかはねこ? など考えながら、私は笑ってしまいました。
「ああ~のぼりたあ~い」 女性店員さんは、パグの気持ちを代弁するかのように、そういいました。 パグは私の頭を目指していました。 さすがに重いので、やや強引に引っ張り下ろすと、私の指をかじりました。 「いたっ!かじられた~」その姿をみて女性店員さんは、 「本性を現しましたね」と笑っていました。 こんな生意気な生き物は、うちに連れて行って教育してやると思い、 現ナマ一括で購入し連れて帰りました。 車に乗せると、急におとなしくなり、目をうるうるしてました。 「さっきとずいぶん態度が違うじゃん」 なんて思い、しばらくして自宅へ到着しました。
翌週、市で行われる歩こう大会が行われた。 隣の町の駅まで汽車でいき、そこからから歩いて市へ戻ってくるイベントで、畑や池や森を通るので自然体感部としても、もってこいのイベントだ。 森の中を通ると、リスや鳥に出会うこともあり十分楽しめる。 雅盛の好きな人誰?をめぐり、同学年と距離ができてしまった理子は、一人で目的地についた。 少し早く到着したせいか、同じ部の人は誰も見当たらない。 「来なきゃ、よかったな・・・」 思わず、後ろ向きな言葉を吐いてしまう。 ふと、駅の南口の近くに生
週明けの登校日、理子と夢は屋上にいた。 「合田さんが気にすることないよ。何も悪いことしていないんだからさ」 慰める理子。 屋上の柵に両腕を置き、頬杖をついて雲を眺めてため息をつく夢。 「そうなんだけど、なんかいやじゃない?」 理子は夢の隣に行き、夢と同じく策の上に両腕を置き頬杖をつく。 「私は合田さんと一緒にいるよ、だから大丈夫よ」 驚いた顔で、理子の方へ振り向く夢。 「本当!?」 理子は中庭で3~4人の1年生に囲まれている雅盛に目を落とした。 「仲間ははずれにされた気持ち
「わあ~かわいい」 雅盛が撮ったリスの写真を見て、1年生の女子は目を輝かせて喜んだ。 カメラ目線でドングリを両手に持つリス。 プロ顔負けの素晴らしい写真だった。 その女子の中に、理子と美久子もいた。 美久子がその写真に触れる。 「こらこら、写真を直に触ったらだめだよ」 いたずらっこのように、雅盛は美久子に笑い、美久子の手に触れた。 美久子は頬を赤くし、両手で顔を覆った。 「美久子ちゃん?」 その様子を、不思議そうに見る理子。 「理子、あっちにいこうか」 顔に手をあてたまま、
数か月後に聡見とゆいかの結婚式が地元で行われた。 章と沙知美はもちろん、理子・剛、瀬利名は参加だが、 奈々子は欠席した。 理子は、桃子にもらったルリビタキのキーホルダーと、加津にもらったルリビタキのキーホルダーの二つを右手に握りしめ感動をかみしめていた。 聡見の腕に自分の腕を組んだゆいかが、笑顔で理子の横を通りすぎていく。 ゆいかのウエディングドレスのヴェールはもなかが後ろでもって歩いていた。 「聡見おにいちゃん、幸せになってね」 理子は、純粋にそう思った。 少しの時間でも