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中学受験 選挙制度 2回

小学生に公民を説明するのは結構難しいものです。
一つは説明する側の力が不十分(他人事ではありませんが)
もうひとつが、小学生は理解のテンプレートが成長過程で不十分。

どれだけ具体例で説明できるかが大切です。

(上記のグラフは、衆議院議員総選挙の全国での投票率を表しているものです。総選挙で50%を下回ったことはありません。)

下の表は、よく見るものです。
この数字や語句を空白にしておいて埋めさせるのはよくある問題です。(いわゆる暗記問題です)
では、「定数、任期、解散、選挙権被選挙権」のなかで、
憲法に記されているものはどれですか。
ただ暗記だけすれば点が取れると思っていると足をすくわれます。

以下の文は憲法です。

第四十五条 衆議院議員の任期は、四年とする。但し、衆議院解散の場合には、その期間満了前に終了する。
第四十六条 参議院議員の任期は、六年とし、三年ごとに議員の半数を改選する。
第四十七条 選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める

憲法に書いてあるのは、「任期と解散」についてのみで、「選挙区、投票の方法」などは「法律でこれを定める」となっています。
選挙権・被選挙権、議員定数や選挙区について定めた法律を「公職選挙法」といいます。

詳しく見ていきますが、実際の入試試験と週のテストやマンスリーテスト、公開テストなどでは、出題のレベルが変わってきます。週例テストの方が詳しい内容になります。入試のテストでは、知ってほしい項目が出題されますが理解がゆきとどいてないと、何を尋ねられているのかわからないということになります。

(2022年現在)
【衆議院】
定数465名のうち
小選挙区制で選ばれる議員数は、289人
比例代表で選ばれる議員数は、176人
二つ合わせて「小選挙区比例代表並立制」といい、このどちらにも立候補できます=「重複立候補」
衆議院議員選出の選挙は「総選挙」といいます。
4年の任期満了あるいは衆議院の解散で、総議員が入れ替えになります。

(定数465名になる前の定数は480名でした。公職選挙法を改正して変えました)

【参議院】
定数は248人のうち、
内訳は比例代表選出議員100人、
選挙区選出議員148人、
この数字だけだと覚えやすいですが、参議院は「半数を改選」する仕組みになっています。
「第四十六条 参議院議員の任期は、六年とし、三年ごとに議員の半数を改選する。」
改選は半数の124名が選ばれます。
改選数124名は、比例代表50名と選挙区選挙74名になります。
尋ね方によっては誤解してしまいます。
「参議院の改選では何名選出されますか。→124名」
「参議院の改選で比例代表で選ばれるのは何名ですか→50名」
難関校ではここまで出します。
(参議院は、戦後設けられた二院のうちの一つで、最初の選挙では「250名」を選出しました。そのうち上位で当選した125名と、下位の125名を区別し、下位の議員は3年で改選しました。)

衆議院の「比例代表制」と参議院の「比例代表制」でもちがいがあります。古いのは参議院の方です。
【参議院】
全国を一つの区とします。(全国区)
政党名を書いても、立候補者名を書いてもかまいません。政党は名簿を作っていますが当選順位をつけていません。拘束力がないので「非拘束名簿方式」と言います。

【衆議院】
全国を11ブロックに分けています。
政党名だけを書いて投票します。
各政党は当選順位をつけた名簿を作っています。上位から当選者が出ます。

参議院も衆議院も「ドント方式」で選出していきます。これは入試で出す学校があります。

最後によく見られる出題をひとつ。
立候補者する権利=被選挙権は二つしかありません。
25歳以上と30歳以上です。

政令指定都市の横浜市(人口300万人)の市長に立候補できるのは何歳以上ですか。

25歳以上です。
政令指定都市とか人口300万人などの情報で判断を間違えることがあるのが小学生です。
「参議院議員と都道府県知事の二つだけが30歳以上です。のこりは全て25歳以上」


選挙制度の移り変わりと仕組みの問題です。

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