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(2024年4月)深川でみた大道芸 その1

2024年4月の、とある日曜日に見たもの。

東京都江東区にある高橋夜店通り商店街(のらくろ~ド)で行われていた深川美楽市というのに行ってみました。
「のらくろ」作者ゆかりの地で、商店街にはのらくろの旗が連なってなびいていました。
さて、歩行者天国の入り口付近には、一定の距離を置いて不穏な姿でたたずむ人が複数人いました。
まるで動かない銅像、音楽に合わせてギクシャクと機械仕掛けのように動く人、ギンギラギンな宇宙飛行士など。
これはいったい、、、。
のらくろまみれな日常的な商店街にこれら異形の者たちが立ち並ぶ異次元ファンタジー。
しかし白ウサギを追いかけて不思議の国に迷い込んだわけでもなかったので、あぁこれは大道芸のパフォーマンスの一種なのではなかろうかと思い当たり、なるほどそう考えれば合点がいきました(ガッテン!ガッテン!)。
そんな異形の者たちのなかで、銅像に注目してみることに。

銅像前には「CLOSED」と書かれていたので、しばらく時間をおいてから改めてその場所に行ってみると状況に変化が。
はじめに見た時は、まるで倉庫内で打ちわびれて置かれたようでありましたが、今度は立派な大理石のような台座の上に立っていました、しかも銅像が二体に増えている。
銅像が二体といえば十和田湖の「乙女の像」ですが、こちらは洋服を着ているし、そもそも乙女でもないし、どちらかというと「ナイスミドルの像」とでも名付けられそうです(たぶん)。
銅像を鑑賞(そう、あえて「鑑賞」と表現する)していると、他にも気になって銅像に近づいて見ている人もちらほら。
下に置かれた説明書きを読むと、並んで立つ二体の銅像のうちの一体はクリエイターの銅像とのこと。
微動だにしない二体の銅像。←そりゃ銅像だからね
しかしこれは大道芸なので、人間が扮しているはず。
じーっと銅像を見ていても動かない。
動かない。
動かない。
動かない。
完全に本物の銅像のようです。
あ、よく見ていると向かって右側のクリエイターのほうの銅像の人の目が動きました。
周りで鑑賞している人たちも気づき、ちょっと興奮気味。
なんとも言えない不思議な空気。
やがて銅像の人の目は「動いた」から、意図的に動かしているようにも見え、ギャラリーの驚きと不思議の空気の中から笑い声がこぼれてきました。

「修繕費」と書かれた入れ物へおカネをいれると、銅像の人が喜びを表すかのごとく動き出しました。
そして写真撮影にも応じている。
銅像が動き出す不思議。
しかもズラがずれてる、、、ていうか自らズラをはずしてるwww
それでいいのか銅像の人。
おもしろいから、まぁいいか。
そして再び動かなくなる銅像の人。
それにしても間近でよく見るとすごい質感です。

しばらくして、銅像の人がなにかに気づいた様子。
足を止めて見たり楽しんでる人がいるにもかかわらず、置かれている表示が「CLOSED」のままになっていました。
見ていた小学生に「CLOSED」を「OPEN」にするように銅像の人が指示。
しかしその表示をどうしたらいいか分からずにいる小学生に向かって、銅像の人は「右にずらして」と言いました。
銅像、フツーにしゃべってる。
びっくりするね。
びっくりするけど、笑える。
しゃべる銅像。
もし高村光太郎が生きていたら、「立つなら 幾千年でも黙って立ってろ」と詩に書かれてしまわなかったか心配です。
しかしこの銅像、目はパチクリするし、しゃべるし、どうやら耳も聞こえているようなので、完全にヘレン・ケラーを圧倒してます。
その後も二体の銅像は動きを止めつづけていたかと思えば、クリエイターのほうの銅像は鏡で身だしなみを整えたり、台座から降りて休憩したりしていました。
日常的な行動をする銅像は、ここが日常なのか非日常なのか分からなくなるような不思議空間へ我々を運んでくれるのでした。

その日は春というより初夏に近い日差しであり、銅像の人も暑そうでした。
実際に銅像が「日差しが暑い」のリアクションをしてました。
ただ眺めているだけでも飽きないし、ずっと見ていられる感じでしたが、時間の都合もあり二体の銅像を後にしました。

(2024年4月)深川でみた大道芸 その2 につづく


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