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元・三遊亭天歌と裁判所の見学1~地裁のグルメ

2022 10/21(金)
 
三遊亭天歌と東京地裁へ行って来た。
(10/21夜発表では、芸名がなくなって、本名に戻っているが、この時点では、まだ三遊亭天歌だったので、表記はそのままにしておく)
天歌が、自分の師匠である三遊亭圓歌のパワハラ問題の裁判に向けて、見学をしたいというのだ。
なぜ、俺が同行するのかというと、天歌いわく「はらしょう兄さんは、裁判所に行き慣れているから」だそうである。
一体、何者なんだと思われるかもしれないが、大した話ではない。
俺は昔、裁判傍聴にハマっていたことがあって、週に二回位通っていた。
裁判は、月曜から金曜までの朝10時から始まり、12時にいったん休憩に入り、13時から16時まで行われている。
俺がよく通っていた頃は、地下に美味い蕎麦屋があって、ここのカレー蕎麦セットを食べるのも一つの楽しみだった。
カレー蕎麦+かやく御飯で500円。量も多かった。
俺は、一時期、ここのカレー蕎麦セットが好きすぎるゆえ、裁判所にカレー蕎麦セットを食べに行くついでに、傍聴して帰るみたいな時期もあった。
非常に中毒性の高い味のするカレー蕎麦であったので、午後から、
「覚せい剤取締法違反」の裁判などを傍聴すると、ちょっとだけ被告が薬物に溺れる気持ちも分かる位だった。
だが、ある日突然、この店がなくなった。
人気があったのになくなってしまった理由は分からないが、カレー蕎麦セットを食べるのが傍聴に行く楽しみのシェア60パーセントを占めていた俺は、自然、裁判所から足が遠のいていった。
その後、久しぶりに訪れたら、どういう訳だか、そこが「すき家」になっていた。
すき家は好きだが、傍聴の合間にチェーン店に入ってしまうと、いったん裁判所を出たような気分になるではないか。
あのカレー蕎麦セットを食べることで裁判所という非日常、それも
「裁判所地下」という異空間を感じることが出来ていたのに。
俺は、人生で初めて、すき家の前でイライラした。
こんなにも俺を怒らせる、すき家なんて、街で見かけても入らないぞ。
そんなことを思いながら、俺は裁判所のすき家に入った。
すき家はやっぱり美味かった。
だが、本当にあの蕎麦屋は残念だった。
もう一度、カレー蕎麦セットを食いたかった。
そんなことがあって、またしばらく傍聴には行かなかった。
すき家を食べに、裁判所へ行こう!とはならない。
他にも、社員食堂や喫茶店もあるが、味は、可もなく不可もなく。
では、どこかに食べに行けばよいではないかと思われるかもしれないが、
近隣には飲食店が少ない。
何より外食したくない一番の理由として、裁判所というのは入る際には、
持ち物検査、金属探知機などの空港ゲートさながらのチェックがあるので、いったん外出すると、再入場の際、改めて面倒な検査を受けなければいけないからである。
俺の中では、せっかく行くなら、午前10時から16時までを傍聴したいので、ランチ問題は実に重要なのである。
そして、コロナで裁判所のシステムも変わったのもあって、ますます、足が遠のいて行った。
最後に行ったのは、一年半以上前になると思う。
その日の傍聴の一覧が書かれたファイルが、タッチパネル式になっていたのには一番驚いた。
「10時~11時、713号法廷、道路交通法違反」
などをクリックしていると、居酒屋に来てしまったような感覚になった。
飲んだら乗るな、みたいなメッセージにも見える。
やはり、傍聴の一覧表というのは、ファイルの方が、紙をパラパラとめくっていけて見易い。
そして、ファイルを見ている方が、なんだか自分も裁判に参加しているようではないか。
俺は、雰囲気をとても大事にする男なのだ。
さて、令和四年、10月21日。
落語家パワハラ問題のフライデー告発から9日目。
三遊亭天歌から誘いを受け、久しぶりに東京地裁へやって来た。
「はらしょう兄さんは、裁判所に行き慣れて安心ですよ、裁判始めるにあたって、雰囲気を見ておかないと」
と真剣な面持ちだが、俺と二人でいると、今から落語会の会場の下見に行くような錯覚になってしまう。
高座はどこにありますか、などと思わず警備員に聞いてしまいそうになる。高座に座るのは俺たちではなくて、裁判官である。ここは寄席ではない。
いかんいかん、俺も真剣な面持ちにならなければ。
「空港みたいですねぇ」
初めての裁判所に天歌は緊張しながら、警備員に荷物を預け、金属探知機を通った。
何をそんなにビクビクしてるんでぇ、と俺は余裕綽々で金属探知機を通ったら、ピピーピピーピピー
「兄さん!大丈夫ですか!ベルトの金属に反応してるんじゃないですか?」
いきなり、警備員二人に囲まれた俺の方を、天歌は心配そうに、でも、ちょっと面白そうに見ていた。芸人の顔をしていた。
 
※続きは後日
 
 
 
 
 
 
 

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