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いつか、、、



わたしは、あき。女の子、、だけど、、自分がよく分からなくて。

わたしは、わたしでいいのかな?

周りのお友達はわたしのことどう思ってるのかな?

女の子、男の子って?

同じはだめなの?

昨日、幼稚園の先生が。

男の子は青いリボン

女の子は赤いリボン

それをみんなに配った。

わたしは青いリボンが良かった。

わたしの遊びはさとしくんたちと同じで、

サッカーボールで遊んだり、戦隊ごっこしたり。

でも、みゆきちゃんたちは、おままごとしたり、可愛いお洋服着たり。


わたしはスカートとか本当は履きたくない。なんだか、履き心地悪くて。。

近所のおばさんが私のこと可愛いって、、あんまり嬉しくなかったな。でも、パパもママもお友達もみんな『あきは、女の子なんだから』って。。女の子だからってどういう事?よく分からない。

ある日、みゆきちゃんがさとしくんに『大人になったら結婚しようね』って言ってた。女の人と男の人は大人になったら結婚できるんだって。

でも、わたしは、、、女の子が、、気になる。

だから、結婚はできないのかな。

わたしはどうなっちゃうの?

わたしの心の中は、、男の子?



やがて、わたしは中学生になった。

ずっとずーっと、本当の自分を隠して生きてきた。親にも言えないまま。だから、せめて制服はスカートかズボンのどちらかを選択できる学校にした。

女同士行きたくもないのにトイレに付き合ったり、好きな人の話し、彼氏の愚痴。可愛いアクセサリーを探したり。正直、苦痛だった。

わたしは小さい頃から髪を伸ばした事がない。ずっとショートヘア。顔はどちらかっていうとイケメン?って感じかな、と自分で思ってる。だから、後輩の女の子からわたしは憧れの先輩だった。友達からは、サバサバしてなんでも言える女友達だった。

唯一、1人だけ何でも話せる子がいた。

わたしにとって信頼できる親友と言える子。

今までずっと1人で悩んで、周りに気づかれないようにビクビクしながら、必死で女の子を演じて、みんなに合わせて好きでもない格好して、、、正直もう疲れてた。これから先も1人で悩み続ける事にも不安だった。だから、誰か1人でもわかってくれる人。1人でいいからそういう人がそばにいてくれたら、、そう言う気持ちがどんどん強くなった。だから、彼女ならきっと、話を聞いてくれる。彼女なら受け入れてくれるかもしれない、そう思ったわたしは意を決して打ち明けた。

『見た目は女の子でも心は男の子で、つまり女子が好きなんだ』と。。。彼女は少し考えて。
『へぇーそうなんだぁ。あ、でも分かる!そんな感じするよねぇ。うん、分かったよ、あき』
そう彼女は答えてくれた。正直、嬉しいよりも、ホッとした。これで少しは気持ちを楽にして学校に行ける。と、そう思った。

翌日、教室に入ったら空気がいつもと違った。クラスの子の1人が、わたしに近づいて来て言った。



『ねぇ、あきって女の子が好きなの?』

『え?』

どういうこと?

一瞬、分からなかった。

親友を呼び出し、どう言う事なのか問い詰めた。すると、
『みんなに分かってもらえた方がいいかと思って。その方が、あきもずっと隠して我慢しなくてもいいんじゃない?好きな子とかできても遠慮なく告白できるし!』
彼女は真剣な顔で言った。

(なに、、言ってるの?なんで、そういう考えになるわけ?わたしが、いつそんな事頼んだ?)

次の日から、わたしは学校を休むようになった。

親友、、もう、そういう気持ちもなくなった。わたしは、彼女に打ち明けた事を心から悔やんで、悔やんで。。。悔やんだ。もう、誰にも会いたくない。これから、どんな風に思われて、どんな目で見られるんだろう。そんな不安でいっぱいだった。

ある日、部屋に閉じこもるようになったわたしを心配した両親が学校へ相談しようとした。やめて!そんな事したら、もっとわたしは、、、

そう思ったわたしは、両親に学校には行くから、だから学校へ相談する事だけは絶対にしないで欲しいと話した。理由を聞かれたけど、答えられない。答えたくなかった。今のわたしには、自分のことをちゃんと伝える事ができない、伝えられる自信がない。いつか自分で話せる時が来るまで待って欲しい。そんなことを両親には話した。両親は黙って頷いた。

そしてわたしは、わたしの中での精一杯行ける所まで。保健室まで行った。それ以上は体が動かない。誰にも会わない時間に登校して誰にも会わないように帰った。体調が悪くなると学校を休む、その繰り返しだった。

わたしが保健室登校し始めて3か月過ぎたころ、保健室の先生がわたしに話し始めた。



『君の気持ちはよく分かるよ』

(どうせ、ただの慰めで、いい加減教室に行くように説得なんだろう)と、思ってた。

『実はね先生ね、ううん、わたしも心は男なんだ』

『え?』

『わたしも君と同じ。女の子らしい格好は子供の時だけ、もの心ついた時から、女の子、男の子ってなに?わたしは女の子じゃない、男の子だよってずっと思ってた。
いつも好きになる子は女の子で、いつだったかな?花火大会にみんなで浴衣着て行ったんだけど、わたしだけ男性用の浴衣。その時周りのみんなが似合ってる!カッコイイ!って言ってくれて。それからかな?自然に、男の人の格好するようになった』

『先生は嫌な思いとかした事ないんですか?』

『あったよ、告白して、、あ、もちろん女の子にね、思いっきり引かれたり、告白がうまくいって付き合った事もあったけど、フラれた。同性同士だと人目を気にしないといけない事があるってこと、異性同士なら自然にできる事ができなくて苦しい!って。だから、あなたといると辛くなるって、、あれはさすがにキツかったかなぁ』

『先生の親は?』

『あー、今でもちゃんとは理解してくれてないと思う。結婚しろ、とか、孫の顔は?とか言うから、でもね、どうしようもないじゃない?わたしは同性にしか興味ないんだもの、だから、君を見ててすぐに分かった』

『先生、今、幸せですか?』

『そうだなぁ、どうなんだろ?でも、このままでいられるからいいのかな?だって、この体は自分のものでしょ?自分の体なんだから、そのままを受け入れないとね』

『そのまま?』

『そう、自分の体なんだもの。この体に、心に向き合ってそのままを好きになること。自分の体は自分自身なんだから』

『あ、学校の先生である私がこんな話。おかしいよね?でも、これが私なの』

なんだか、不思議と先生の言葉が素直にわたしの中に入って来た。この先生に出会えて、こういう大人に出会えて良かった、そう思った。

その後、先生から彼女(親友)の話を聞いた。
毎日のように保健室の前まで来ていたこと、先生が声をかけると少し寂しそうに心配そうな顔でおじぎをし、そのまま何も言わず帰っていた事を。

彼女も苦しんでいたことにその時初めて私は気づいた。

でも、今もまだ保健室登校は続いてる。
教室まで行く勇気はまだない。
ただ、学校を休むより登校する方がほんの少しだけ増えた。それだけでも、わたしにとっては進歩。まだまだ先は長いけど。だけど、わたしを理解してくれる人がいる。分かってくれる人がいてくれる。わたしの話を聞いてくれる人がいる。その事が今のわたしの心の支えになっている。

そして、彼女のことをもう一度親友といえるようになる日がいつかきっと来る。。。何故かは、分からないけど、そう思う自分がいた。

いつか、本当に生きやすい世の中になるといいな。

        【作:とんたん 絵:丸井もち】

🍀最後までお読み下さりありがとうございます。
前投のお話『最高のプレゼント』と、この『いつか、、、』の2作品が「とんまるの部屋」共同制作の作品となります😌


丸井もちさん、こんな私に声をかけて下さりありがとうございました😌
誘ってもらった時「私にできるのかな?」という不安もあったけど。
色んな学びと経験ができました☺️
本当にありがとうございました🙇‍♀️

お互いのnoteを楽しみましょう😊👍✨✨

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