遠く遠く

遠く遠く

 「僕達は、旅立った。壮行パーティーは、非道い事を言う
奴もいた。
『片道切符だろう。正気の沙汰か』嘲笑しながら言い放っ
た。少し不快だったが、僕達はアストロノーツ人類最初に
火星の地を踏むエリートだ。悪口を言う奴らはやっかみだ。
確かに地球に帰る手段は無い、でも充実した研究が出来る。
定年まで研究テーマが与えられている充実した日々を過ごせ
るのだ。
定年後も火星と言うフロンティアで充実したレジャーを過ご
すつもりだ。
寂しいかって。馬鹿も休み休み言い賜え、定期的に新た成る
入植者達が送り込まれてくるはずだ。
彼らも誇り高きアストロノーツだ。でも僕達は特別だ!
栄誉或るファースト火星移民だ。
パーティーで子供達は可愛い事を言ってくれる
『僕が超高速宇宙船を開発してオジサン達を迎えに行くから
暫く待っててね』
オット深層心理を突かれたか、でも僕達三人は仲良しだ。
特にジョディーは訓練生時代から気になる存在だった、
彼女とズット居られて仕合わせだ」

無邪気に敷島健二がボイスログに吹き込んだ。

 「私は、後悔していないわね。不妊手術も受けたのよ。
排卵誘発剤で二十個近く健康な卵子を採取し冷凍保存した
わ。私の優秀なDNAは、キット有効利用されるはずよ。
健二もブラッディーも私を襲うなんて不埒な真似をする筈が
ないと解っているわ?!
でも規約で仕方なく手術を受けたわ。四人目の生命維持設備
を用意出来ないから宇宙空間や火星での子作りは諦めてくれ
との事は承知しているは、でも彼らもパイプカットを受けて
精子を冷凍保存しているはずよね。私が魅力的だから、万が
一地球外生命体に犯されても妊娠のリスクを減らす為の処置
なのね。でも三人とも不妊手術を受けたのね。最初に私を
誘うのは、健二なのブラッディーなの楽しみだわ興味津々
よ。
無重力での行為はキット素敵よ。二人とも宇宙飛行士の中で
は、美形イケメンよ。私少し淫乱になったのかな」

ジョディーは、明け透けなメッセージをログに吹き込むと
自室に消えた。火星探険船には、飛行士に個別のプライベー
ト空間が与えられている。

 「二人とも何を吹き込んだのだろうか、僕はコネでボイス
ログの暗号解読方法を知っている」

ブラッディーは、二人のログの内容を聞いた。

 「以外だ。真面目だと思っていたジョディーは、奔放だと
判った。健二も彼女に好意以上の物を持っている。
もう直ぐ月を利用したスイングバイを行う。それが済んだら
安定した航行に移る。ヒューストンへの連絡は健二に任せ
よう。ジョディーもう直ぐだよ。無重力でのセックスは、
記録に無い。僕達が最初だ」

 ヒューストンのプロジェクトルームでジョンズプロデュ
サーとアマンダ作戦ディレクターが歓談していた。

 「彼らへの偽装避妊手術は成功しているね」

 「はいボス、気付かれていません。それにジョディーは、
健二にもブラッディーにも好意以上の物を持っています。
3Dプリンタのデータベースに新生児から学童までに必要な
育児製品を潜ませています。
火星で手に入る資源でプリントアウト可能です」

 「彼らは、火星で子育てをするとは夢にも思って無い
よね。それが裏のプロジェクトだとも」

エピローグ

過去の日記を再発表しようとしたら、このショートショート
にリンクを張った紹介をしていたので日記の先に発表しま
す!
思えば、火星移民計画も中国まで宇宙覇権主義として考えて
いるラシイ?!
私としては、火星へ行く事が「片道切符」で戻って来る手段
が、現状のロケット技術では無理と言う事を聴いて作成した
近未来SFです!
実際に宇宙の無重力状態でセックスを行う描画は、
長編近未来楽天的SF小説『ベテルギウスの夜に』シリーズ
で出て来るのでそれの目次的な『ベテルギウスの夜にプロ
ローグ』もリンクして置きます!

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