不適切にもほどがある。

男に生まれたかった。
私は割と早い段階からそう思っていた。

羨ましい部分。
主張しても美徳となるところ。
平気でバカになれるところ。
誰かに頼らずとも生きていけるところ。
受け身でいる必要がないこと。
破天荒はほぼ男のための言葉だ。

思えば私は、
結婚して子供を産んでという、
割と早い段階に来る着地点を、
幼い頃から意識していたように思う。
時代だったから、疑問にも思わなかった。
今はシンデレラストーリーのその後。
あまりにも短い人生。

従順でない女なんか、
化け物だと思われる時代だ。
義母が義父より自分が働いた方が出世したと思う、と
密かに私に教えてくれた時、
私は胸がぎゅっとなった。
何で私たちはまだここにいるのだ!

どうして私たちは余り物の方なのか?
男から先に呼ばれ、男から先に選択し、
し忘れた方とかやりたくない方をフォローする。
だって、誰もしてくれないのならするしかない、
という責任感。
喜んでその役割を引き受けてきた自分への怒り。
これは私の選んだ方じゃないという屈辱。
破天荒(しかも結果を出せば美談)になって、
全て捨てて出ていくことなんて、
ほぼ男にしかできない芸当だ。
私たちはそうならないように祈るだけ。
彼らは許され、別に罪じゃないと言い張る。

私は娘を産まなかったことを、
心底良かったと思った。
この結末を何の偏見も入れずに語ることなんか、
できるはずもない。
けれど、口をつぐめば、
私は過去の女性や男性たちと共犯になるのだ。

ここまで怒りを吐き出して、
私は過去を思い出す。
優しくて辛い男たちは今幸せでいるだろうか、と。
彼らは先に選ぶことなんか望んでなかったに違いない。

やっと今の時代の全ての配慮を
腑に落ちて受け入れられそうな気がする。
まずは変わる、自分から。







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