【一瞬小説】自転車

本屋を出た時のことだ。
急に目の前の駐輪場に滑り込んできた自転車があった。
「順子さん!」
「信吾君」
彼女は驚いて大きな声がでないようだった。

「いい加減信吾でいいだらう順子」
「信吾……」

男の頭には白いものがたくさん混じっていた。
我々一同は俯き、ふたりを黙って祝福した。

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