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クワドラントを用いて学習塾のスタイルと志望系統とのマッチングを図ってみる

昨今、本当に多くの学習塾が存在しています。
ざっくり大きく分ければ以下の4タイプに分類されると思われます。

①ライブ授業型
駿台、河合塾、代ゼミのような老舗予備校が筆頭

②映像授業型
東進衛生予備校が代表格

③個別指導型
明光義塾、ITTO個別指導学院、ナビ個別指導学院など多数

④自学自習型
武田塾が代表格

さて、4つのスタイルに分類されましたが、どんな要素によってこれらの学習塾が分類されているのかは表面的には分かりにくいのが現状です。

それでは、ここでビジネスコーチングのクワドラントを用いて解剖していきましょう。

「ビジネスコーチング」のクワドラント

数学のグラフを書くときのように縦軸と横軸を用意します。
縦軸には質問主体/教授主体という評価軸
横軸には目標達成/課題解決という評価軸

この操作により、4分割(クワドラント)されます。

⑴コーチング
主に質問することでゴールを明確にし、対話を通じて目標達成を支援する。

⑵カウンセリング
質問を用いて、過去の出来事に新たな捉え方を提示する。

⑶コンサルティング
過去の問題にフォーカスし、オーダーメイドの具体的な解決手法を提供する。

⑷ティーチング
新たな考えの獲得に向けて、知識や方法を伝える。

ビジネスコーチングのクワドラントから、塾のスタイルがどのような比率で構成されているかを主観を交えて評価してみます。

塾のスタイル

①ライブ授業型

⑴〜⑶:10%
⑷:90%

⑴〜⑶はチューター、⑷はプロ講師のお仕事と分業されていますが、売りはまさに⑷ティーチングであることは間違いありません。

チューターはアドバイスや進路指導の教育側面も少しありますが、営業側面として講習の提案が強くなるのが玉に瑕です。

一方で、授業は高学歴のプロ講師が目の前で教えてくれ、質の高さが保証されています。
質問もプロ講師にできる点はかなり大きいです。

②映像授業型

⑴〜⑶:10%
⑷:90%


比率は①ライブ授業型と変わりません。
ライブ授業との違いは、映像のため巻き戻し・一時停止・早送りをすることができます。
説明を聞いていてよく分からないところを理解することにおいては利便性があります。

ただし、現地にプロ講師はおらず、チューターに質問をすることになるため、納得のいく解答がもらえるかは不透明という点もあります。

③個別指導型

⑴:10%
⑵:30%
⑶:20%
⑷:40%

①②の授業型から大きく変わります。
講師が生徒とマンツーマン形式のため、理想的には⑴〜⑷が均等に配分できます。
しかしながら、講師も人間なため完璧なバランスをとることは難しいのが現実です。

教科指導による⑷ティーチングがメインとなり、気軽に質問できる点はメリットです。
また、勉強以外にも普段の生活や人間関係などの⑵カウンセリングの割合も多いのが特徴です。

中長期的目線では⑴コーチングと⑶コンサルティングの割合が増えた方が良いですが、その日その日の場当たり的になってしまうこともあるため、講師の手腕に委ねられることが多いです。

④自学自習型

⑴:40%
⑵:15%
⑶:40%
⑷:5%

今までに挙げた①②③とは一線を画しています。
授業・教科指導のような⑷ティーチングの役割を参考書が果たします。
そのため、講師はいるものの⑴コーチングと⑶コンサルティングがメインになります。

毎回宿題を出して、宿題の進捗をヒアリングし、確認用のテストを実施して定着度を測ります。
また、勉強法を指導・徹底させたり、勉強スケジュールを作成し受験戦略を立てたりすることも特徴です。

一方で、分からない内容があったとき参考書で解決してもらうケースがあることは注意点です。

どの志望系統と合いそうか?

「志望系統」のクワドラント

志望系統を縦軸:国公立/私立、横軸:理系/文系で分けます。
4分割することができ、国公立理系、国公立文系、私立理系、私立文系となります。

では、塾のスタイルと志望系統のマッチングを考えみましょう。

国公立理系

最も科目数が多く、2次試験には理系数学と理科2科目が必須です。

理系科目は公式や法則の正しい理解を得ることが重要なため、基本はプロ講師が教えてくれる①②の授業型となりそうです。


また、一方的な授業よりも対話形式で聞きたいことをすぐに聞きたい生徒は③個別指導型を選択肢に入れても良さそうです。

④自学自習型は参考書で解決できるレベルの高い生徒にしかオススメできません。

[オススメ指標]① ≧ ② ≧ ③ >> ④

国公立文系

理系ほどではないにしろ、科目数は多めで、伸ばす必要のある科目は英語と国語が中心になります。

英語と国語(特に記述式)を伸ばすとなれば、①②授業型で問題ありません。


人によっては④自学自習型でも良さそうです。
近年の参考書のクオリティは高く、文系科目を伸ばすなら参考書学習でもかなりの効果は見込めます。


一方で、理系科目が苦手な生徒が一般的に多いので、理系科目を補填する場合は③個別指導型が合うような気がします。
分からない箇所をすぐ質問できる環境は理系科目の苦手を克服するための一因になると感じています。

[オススメ指標]① ≧ ② ≧ ③ ≧ ④

私立理系

英語・理系数学・理科1科目が王道です。

理科が物理or化学の場合は、国公立理系と同様に①②授業型がオススメです。

理科が生物の場合は、ほとんど計算がなく暗記がメインとなるため、③個別指導型で理系数学だけを伸ばす方針でも良さそうです。

④自学自習型は質問がしにくい点でやや難儀なため、あまりオススメはできないのが本音です。

[オススメ指標]① ≧ ② ≧ ③ > ④

私立文系

英語・国語・社会1科目が王道です。

基本は暗記メインとなるため、理解重視の①②授業型をオススメすることは特段ありません。

また、③個別指導型は質問が気軽にできるので分からないところの補足に講師を活用するのはアリです。

個人的に私立文系に最も合うのは④自学自習型と思っています。
全て文系科目であることから参考書で解決することは可能なため、効率よく勉強できるうえにサボりを防止することも見込めます。

[オススメ指標]④ ≧ ③ > ① ≧ ②

学習塾も生徒も千差万別

クワドラントを用いて塾のスタイルと志望系統のマッチングを図ってみました。
学習塾も生徒も数多おり、本当に合うかどうかは個々のレベルで異なるのであくまでもご参考程度に活用してください。

また、教育業界もやっとテクノロジーとの融合(EdTech)が進んできました。
学習塾という形でなくても、スタディサプリのような低価格帯の授業動画や、クオリティは疎らですがYouTubeの授業動画なども山のようにありますし、オンライン個別指導も充実してきています。

受験産業にはお金を使いすぎず、あくまでも勉強のための補助輪として上手く活用しましょう。

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