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実力(年収?)も運のうち?

こんにちは、縄文アソシエイツのnote担当です。今回は、転職を考える際にはどうしても避けられない話題として、年収の話を少しだけしてみようと思います。なお、この投稿はあくまで担当個人の考えを示すものであり、会社の考えを全て代表するものではないですし、弊社でもコンサルタントごとに少しずつ考えは違いますので、社内にはこう考えている人間もいます!とゆる~く捉えていただければと思います。

いつもnoteで弊社の記事をご覧いただいている方は既にご存じとのことになりますが、私たちは、ヘッドハンティングが仕事であり、CXOや執行役員クラスなどの部長以上の幹部層がメインターゲットになるので、今すぐ転職を希望される方というよりは、現職で活躍している方々と、若いうち(30代~)から徐々に付き合いを深めていき、相手の状況も見ながら、今マーケットだとこんな案件もありますよという柔らかいアプローチで紹介していくことも非常に多いです。

なので、ポジションありき、転職ありきでのご紹介ということは必ずしもなく、こんな面白い経営者・役員の方がいるので、転職するかはいったん置いておいて、是非一度会ってみてください!というご提案をすることも珍しくありません。よってお会いして、結果、お互い良い情報交換が出来ました!という形で終わることもあります(そこから、会社同士での付き合いが始まったというケースもあったりします)。

とはいえ、一度会ってみると、お互い転職・採用を真剣に考えるようになることももちろんありますし、そういった話が具体化すればするほど、面談の雰囲気もカジュアルな顔合わせから、お互い口説き、見極めの場と変化していくことが普通です。

となると、そのプロセスの中でよく出る話題、私たちへの定番の質問が、転職の際に年収は上がるもの、上げるものなのか? それとも、年収が下がっても良い転職ということがありえるのか?という話になります。

担当の意見としては、転職後の年収が一定額(たとえば1500~2000万円)を越しているようであれば、年収が上がるに越したことはないが、それを最優先にすべきではない。逆に現年収が高ければ高いほど、目先の年収アップや維持に拘り過ぎない方が良いご縁になるというものです。

理由は簡単で、下記の2点になります
① 年収は確かにその人の実績、評価を示すものではあるが、能力に単純に比例するものではなく、どこの業界にいるか、どの会社で働いているかの方が大きく、多分に運要素を含むものだから。
② 生涯獲得年収を考えるとしても、入社時の年収はあくまでその瞬間のものであり、幹部層の場合は、入社後の昇格の機会、その場合に昇給する金額の幅、または、仮に(万が一?)数年後に再度転職することになったときのリセールバリューの方が重要だから。

①は、いろいろな業界を横断的に見ていると分かりますが、個人の報酬は、会社の規模感、収益性、成長率、ポジションの安定性、同じ業界の競合他社の報酬感などに非常に大きく影響を受けます。薄利多売の業界では上場企業の取締役でも報酬が1000万円台前半ということもあれば、高収益かつその業界で独占的な地位を占める会社であれば、会社全体の報酬レベルが反映され、ほぼ同じ内容の仕事で3000万円以上貰っているケースもあり、後者が前者の2倍優秀かというと、前者の方が優秀というケースさえあります。

マイケル・サンデル教授の「実力も運のうち 能力主義は正義か?」の内容に倣えば、能力や実績ですら、実際は本人の努力よりも、生まれた環境や運によるものの方が大きいとのことですが、報酬に関しても似たことは言え、担当も含めて自分だけは環境や運より努力の要素が大きかったと主張したい人が多いと思いますが、残念ながら、実際は環境や運の方が現在の報酬金額に繋がっていることが多いようです。

もちろん転職にリスクは付きものであり、どんな転職をしようとも、転職というリスクを犯す以上、報酬は維持するか、報酬を上げるべきだという考えは、あくまで個人的なポリシーの一つとしてはあってしかるべきかと思います。ただ、それが普遍的か、当然の常識かというと、必ずしもそうではなさそうです。もし自身の成長、自己実現、ライフステージの変化への対応、社会的なインパクトの増大、社会課題の解決などが転職の目的だとすれば、報酬の維持や向上という話については優先度を下げた方が、結果として満足できる機会に出会えるケースを多々見てきました。

また一方で、②の話に繋がりますが、ポリシーとして、転職のリスクを考えると、転職の際は一番リターンとして見えやすい年収面を上げることを優先したいという話も、一見合理的に聞こえますが、本当にそれが生涯獲得年収を上げるかどうかはやや疑問が残ります。

というのも、転職時の年収が高ければ高いほど、昇格する可能性が高く、その際も年収が上がるかというと、必ずしもそうではないケースを私たちは多く見てきています。高い年収で移ったものの、それより上のポジションは完全に埋まっており、入社5年してもほとんどポジションも給与も変わっていないケースも見れば、現年収より少し下げて移ったものの、3年で2回昇格して、現在は既に当時の倍以上報酬を貰っているというケースもあります。

もちろん、エージェント側も、案件を決めたいので入社後の見通しでは明るいことしか言わないという人材紹介業界全体の課題はあり、それは当然解決していかないといけないのですが、私たちが過去の経験からお伝えできることとして、転職時の年収が高い≒会社側の期待が高い≒昇格昇給の可能性も高い、ということは意外と少なく、転職先の現在の役員・幹部の年齢構成、昇格先として想定されるポジションを争う可能性のある人材が社内に他にいるか、会社全体の成長性、入社する事業部や部門の社内での位置づけの方が、入社後に昇格昇給に繋がる要素としては大きいということです。

本人はCFO候補のつもりで当初は財務本部長で入ったとして、会社側も面談時からそういうメッセージを出していたとしても、現CFOが62歳なのか53歳なのか、役員定年は何歳なのか(または役職定年はあるのか)、経理本部長に40代の非常に優秀な社員がいるのか、それとも経理本部長も既に50代後半なのかで、実際に当人がCFOになれる可能性が全く違うことは皆さんも容易に想像がつくと思います。

長くなりましたが、年収は、転職ひいては自分のキャリアを考える際に、確かに大事なポイントの一つではありますが、担当の視点では、年収の話が前面に出過ぎたり、会社側も候補者側も年収のフィット感に拘り過ぎて、議論が進まなくなり、せっかくの良いご縁を逃してしまっているケースが多いと感じています。

担当個人としては、日本におけるヘッドハンティング(エグゼクティブサーチ)のパイオニア、縄文アソシエイツのコンサルタントとして、年収などの条件は大事にしながらも、皆さんの職業人生を豊かにし、社会へのインパクトを最大化する案件のご紹介を優先していきたいと思います!

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