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ある日に行った写真展と回顧録

写真論を学ぶ上で必ず言及される著名な知識人のスザン·ソンダクは、彼女の著書において「写真は真実を写せない」と述べている。

写真が真実を写す鏡か否かの議論には私みたいな、写真ド素人の学部生ごときには本来なら参加できないので、これは感想ですが

個人的には、被写体の真実は写せない気がする。
誰かの哀れな表情を見ても、その感情に共感できない自分がいてもどかしい。とある写真を眺めて、気づいてしまったんだ。

むしろ哀れな表情をモノクロ写真に演出することで、フィルムノワール(Film noir)というのかな、モノクロならではのノスタルジックな雰囲気や高貴さを感じて、写真家の世界観と技術に感動してしまった。

被写体となる人物の悲しみは、二の次になっていたのだ。

だから写真は真実を写す鏡だなんて、私は言えない。しかし、撮る側の思想や価値観が最も表れる言語だとは思う。

そういうことを考えながら、コロナ禍の中、誰もがそれぞれの苦しみを抱え続けている今、今年の報道展はいつもよりも意味が深かったと感じた。

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