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【小説】テクノロジーを語る勿れ【第47話】

 シャワールームへと先に向かうユカが後ろを振り返りながら広木を促す。華奢な体つきのユカであるが、コートを脱いでニット姿になったかと思えば、着ぶくれしている分体の出るところの膨らみが顕著に見え、その様子に夏場にしか会ったことが無いのだったと改めて気付かされる。 人前で脱ぎ慣れているユカはサクサクと自分の衣服を脱ぎ、それらを軽く折り曲げるようにして畳む。下着に手を掛けようとするところでそれを制止し、せめてブラのホックくらいは外させてくれと無言のまま手を伸ばした。
 互いの裸はこれまでに見せ合ってはいるものの、やはり女性の乳房との対面というものはいつでも男性にとっては特別なものなのだ。自分のペースでじっくりとその瞬間に臨みたいと思う。とは言え、広木もこの日ジロー達からの誘いが無ければユカとこうして再会することも裸と対峙することも無かっただろうと、夕食後以降の目まぐるしい話の展開に気持ちが追い付いているようでそうではないのか、何処か自分の動作そのものがぎこちなく感じてしまう。

 平静を装いながらも背中に手を回してブラのホックへ手を掛ける。親指と人差し指、中指を1つの点で弾くように擦り合わせ一瞬でブラのホックを外す。華奢なユカの両肩からブラ紐がスルリと下へズリ落ちそうになるのを、ユカが遅れながらもそれに逆らうように腕を曲げると、乳房が露わになりながらもブラ紐がその腕へとぶら下がった格好となる。ユカにしてみても特に乳房を見られて恥ずかしいという動作ではなく、それは条件反射的なものだ。背中側に回り、後ろから先ほどまでそこに沿えてあったブラジャーの代わりを補うように両掌を乳房の下へ置きながら、指先でその先端へを摘まむ。何もしなくても良いと言いはしたものの、服を脱ぎ始めたユカを目の前にして広木もまた条件反射的にそういった動作を取ってしまう。上から裸体を眺めていると、無駄な贅肉のないユカの体では下着のウエストの隙間から股下までが見下ろせそうだ。

 ユカが振り返りながら今度は広木の服を脱がそうと手を掛ける。剥ぎ取った衣服を自分のものと同等に手際よく綺麗に折り曲げなら辺りに放り、その佇まいに亜美に感じたものと似た母性のようなものを感じてしまう。そのようなことに反応してか、下着のみの姿にされたところで、股間部分はいくらか膨らみ増していた。その部分を軽く撫でられながら、ユカが広木の口元へと唇を覆うように合わせた。同じように下着の上から触れようとしたところで、余り下着を濡らすと困るのではないかと冷静さを取り戻すように、下に向かいかけた手を改めて乳房の脇へと添えた。
 互いがその気になったところで各々で下着を脱ぎ、改めてユカに促されるように手を引かれながらシャワールームへと足を踏み入れた。

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