米国の制裁がロシアに打撃を与えているかどうかを示すのにガソリン価格を用いるのは筋が良くない。

【和訳】
ロシアのガソリン価格の安さは、米国の制裁が経済に打撃を与えていないことの証明でしょうか?いいえ、そんなことはありません。ロシアのウクライナ侵攻後、数週間で米国をはじめとする西側諸国による制裁が本格化すると、米国ではガソリン価格が上昇しましたが、ルーブルの価値は約30%急落しました。それはロシア人の購買力を食い潰し、アメリカ人の購買力の約45%に相当する計算です。制裁による経済的苦痛のもう一つの指標として、ロシア中央銀行はロシア軍がウクライナに侵攻した翌日の2022年2月25日にモスクワ取引所での株式取引を停止しました。大規模な売り浴びせを防ぐための措置でした。2022年3月11日の時点で、モスクワ取引所は2週間以上にわたって閉鎖されていました

この主張は、2022年3月6日にFacebookの投稿(アーカイブはこちら)に登場しました。話の冒頭は以下の通り。:

我々の制裁がどれだけロシアを苦しめているか知りたいか。
今、ロシアのガス価格を見てみよう .
92オクタン...1リットルあたり49.3セント
1ガロンあたり1.80ドル
95オクタン...1リットルあたり0.54セント
2.00ドル/ガロン
ディーゼル - 1リットルあたり51.7セント
1ガロンあたり1.90ドル
つまり、我々は平均して3.79以上払っていることになる。
ロシアへの制裁が極端なので、ガソリン代が2倍になり、石油代も自国のものを使わずロシアに払っている...。
意地悪なツッコミはOKってことにしておこう!(笑

https://www.facebook.com/login/?next=https%3A%2F%2Fwww.facebook.com%2Fkerry.dufrene.1447%2Fposts%2F740894130209390
(facebookにより削除されている模様)

2022年3月11日、Facebookでは以下のような投稿がありました。:

(Source: Facebook screenshot taken on Fri Mar 11 15:37:55 2022 UTC)

Facebookの投稿には、Gazpromのガソリンスタンドの看板が写っています。Gazpromは、国営企業が過半数を占めるロシアの世界的なエネルギー企業です。この写真がいつ、どこで撮影されたかは不明ですが、画像の価格は2022年3月上旬にロシアのポンプに表示された価格と同様です。投稿者は、Gazpromがロシア・ルーブルではなく、米ドルで価格を表示していると思い込んでいるようです。

2022年3月7日。GlobalPetrolPrices.comによりますと、ロシアにおけるオクタン価95のガソリンの価格は1リットルあたり51.89ルーブル、1ガロンあたり1.41ドルでした。世界最大の原油生産国であるロシアのガソリン価格は、伝統的に他の地域よりもずっと安いです。2021年11月29日から2022年3月7日の間、ロシアのガソリン1リットルあたりの平均価格は51.51ルーブルだったと、GlobalPetrolPrices.comは述べています。世界的に見ると、同じ期間のガソリンの平均価格は1リットル当たり238.45ルーブル(1ガロン当たり6.73ドル)で、ロシアの平均価格の4.5倍以上でした。

リンゴとオレンジ(バーボンとウォッカ)

米国とロシアの経済が大きく異なることもあり、給油所での価格が異なります。世界銀行によりますと、一人当たりの国内総生産(GDP)、つまり一国の経済が生み出す財やサービスの市場価値の合計をそこに住む人の数で割ったものは、米国ではロシアの6倍以上です。2020年では、ロシアが1人当たり10,126.72ドルであるのに対し、米国は63,593.44ドルでした。

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両国の豊かさの大きな違いは、生活コストや購買力にも表れています。世界銀行、国際通貨基金、経済協力開発機構からの情報をまとめたWorldData.infoによりますと、ロシアの生活費は米国より63.2%低いです。また、ロシアでは物価が安い一方で、平均所得が低いため(月収5,378ドルに対して891ドル)、ロシア人の購買力はアメリカ人の約45%に過ぎません。

制裁とロシア経済

2022年2月24日にロシアがウクライナに侵攻し、欧米諸国が制裁を加えて以来、ルーブルの対米ドル価値は2022年3月11日現在で約30%下落しました。合計すると、2022年のルーブルの対ドル価値は40%下落したことになります。ロシア中央銀行は、ロシア軍がウクライナに侵攻した翌日の2022年2月25日にモスクワ取引所(MOEX)での株式取引を停止しましたが、再び販売が許可されると大きな売り越しが予想されます。ウクライナ侵攻が始まった最後の取引日に、MOEXは33%暴落しました。2022年3月11日現在、市場は閉鎖されたままです。

米国は石油の約10%をロシアから輸入していましたが、2022年3月8日、ジョー・バイデン大統領がロシア産原油の輸入禁止を発表し、これに終止符を打ちました。AAAによりますと、2022年3月11日のレギュラーガソリンの全米平均は4.33ドルでした。1カ月前の3.48ドル、2021年の同時期の2.83ドルから上昇しました。

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