この図表は、人間のCO2に対する寄与と気候への影響を誤って表現しています。

気候専門家によりますと、SNS上で出回っている誤解を招く図表は、地球の大気中の二酸化炭素(CO2)レベルへの人間による寄与を控えめにし、「自然」レベルを誇張し、CO2増加による気候への影響を過小評価しているとのことです。

ネット上で共有されているグラフは、大気ガスをパーセンテージで分類し、人間活動起因のCO2の割合を強調しています(イタリア語からの翻訳): 「右上の緑色の四角は、地球の大気に含まれるCO2の総量で、全体の0.045%です。0,0384%は自然のCO2で、0,0016%は人間活動によって生成されたもの(白い四角)です」

画像提供:ロイター通信

Facebookのユーザーは、キャプション付きのバージョンを拡散しました:「大気中の0,0016%に過ぎない人間活動によって生成されたCO2を最小限に変えるために、私達の生活様式を変え、様々な苦難に遭わなければならないなどと言わないでもらいたい」

しかしながら、専門家はロイター通信に対し、人間活動が大気中のCO2を大幅に増加させ、現在の3分の1に寄与しており、他のガスに対するCO2の割合も、産業革命前に「自然に」存在したCO2と人間活動が加えたCO2の割合も、大気中のCO2増加による気候への影響には関係ないと語っています。

人間が作り出したCO2

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によりますと、現在のCO2濃度は大気中の約420ppm(0.042%)であり、この図はそれを正確に示しているのだが、この図の人為的要因の数字は間違っています、と気候学の専門家達は述べています。

「人間が原因となっている大気中のCO2の割合には明確な誤りがあります」と、NASAの気候科学者でゴダード宇宙研究所の所長であるGavin Schmidt氏には、このグラフに対する回答として電子メールを送って頂きました。

IPCCとユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのChris Brierley教授(気候科学)によりますと、人類が化石燃料の大量燃焼を始める前のCO2レベル(図では「自然」レベルと呼んでいる)は、主張されている0.0384%(384ppm)ではなく、およそ278ppm(0.028%)で あったということです。

インペリアル・カレッジ・ロンドンの気候科学上級講師であるPaulo Ceppi氏と、米国海洋大気庁(NOAA)の監督海洋学者であり、ワシントン大学海洋学部の提携准教授であるSimone Alin氏は、ロイターに次のように語っています。

従いまして、現在地球の大気中に存在するCO2(420ppm)の約3分の1(142ppm)を人類が排出していることになり、主張されているような0.0016%(16ppm)ではありません、とSchmidt氏は述べています。

含まれる割合よりも影響の大きさが重要

人類が作り出したCO2が大気中に占める割合は、他のガスに比べて低いにも関わらず、その気候への影響は大きいと専門家はロイター通信に対して語っています。

「物質が持つ影響こそが重要なのであって、量ではありません」と、チューリッヒ工科大学気候システムモデリングセンターのReto Knutti教授(気候物理学)はロイター通信に対して電子メールで回答して下さりました。

また、ある物質の割合とその物質の危険性とは無関係であるとも付け加えて下さりました。

人間が排出したCO2は、自然の炭素循環のバランスを崩していると同氏は指摘しています。

大気を、同じ割合で水が出入りし水位が一定に保たれている浴槽に例えて、Knuti氏は、誰かが1リットル追加した場合、全体的な水位上昇は全てその1リットルの追加に起因すると述べています。

IPCCによりますと、人間によってもたらされたCO2の増加は、気温の上昇や、より極端で頻度の高い気象現象を引き起こしており、人間が化石燃料を燃やしている限り、CO2レベルは上昇し続けるだろうとCeppi氏は述べています。

ロイター通信は、地球大気中のCO2の割合は他のガスに比べて低いため、気候への影響は限定的であるという誤解を招く主張を以前にも取り上げたことがあります

【評定:誤解を招きます】

このグラフは、現在のCO2レベルに対する人間の寄与を過小評価し、地球大気中のCO2の割合が比較的に低いことと気候への影響が低いことを同列に扱っています。

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