【主張】

• Amazonのテレビシリーズ《Utopia》では、COVID-19のパンデミックを予測し、意図的に人間を滅亡させる取り組みが行われ、パンデミックが計画されていたことが分かる。

【評定概要】

• 2020年の謀略スリラーTVシリーズ《Utopia》は、COVID-19のパンデミックを予測したわけでも、発生が計画されていたことを証明したわけでも、ワクチンが不妊の原因になることを証明したわけでもありません。

• 同番組の制作者は、2013年に書かれたフィクションであると述べています。

• COVID-19ワクチンは不妊に影響を与えないという研究結果が出ています。

【レビュー】

• このファクトチェックは、番組 《Utopia》 に関するネタバレを含んでいます。

Amazon Primeの番組 《Utopia》の制作者でさえ、COVID-19パンデミックに関するQAnon的な陰謀論と類似していることが不安であると認めています。

《Utopia》は2020年にストリーミングサービスで公開されましたが、2013年に書かれたもので、致命的なウイルスの発生が、--ご想像の通り--ワクチンを介して世界を過疎化させるための偽の創造物だったことを発見する若者達の物語を描いています。

しかしながら、5月8日のTikTok動画では、このシリーズがCOVID-19のパンデミックを予言したと主張し、パンデミックが計画されていたことを物語っているというのです。

「彼らはいつも、実行するずっと前に、何をするのかを我々に教えてくれる」と、動画内で女性が言い、番組の映像に切り替わります。

このクリップでは、バイオテクノロジー企業の悪の幹部役を演じる俳優のJohn Cusack氏が、インフルエンザワクチンに「埋め込む」「オムニウイルス」の製造を含む陰謀について説明しています。最後に、Cusack氏のキャラクターは、メディアと政府が影の勢力によって操作され、人々を不妊にし、世界の人口を激減させるように設計されたワクチンを宣伝していることを明らかにするのです。

TikTokは、不真面目、誤解を招く、または虚偽のコンテンツに対抗する取り組みの一環として、このビデオを特定しました。(PolitiFactとTikTokのパートナーシップについて詳しくはこちらをご覧下さい。)

《Utopia》は、陰謀論的な終末スリラーに求められるものを全て備えていますが、その存在がCOVID-19のパンデミックを予測したわけでも、パンデミックが計画されたわけでもありません。また、COVID-19ワクチンが不妊症の原因になるという証拠もありません。

我々や 他のファクトチェッカーは、COVID-19のパンデミックが（ずっと前から）計画 されていたという陰謀論を繰り返し論破してきました。

COVID-19の発生源であるコロナウイルスを研究した科学者らは、それが自然界に存在するウイルスに似ていることを突き止めました。このウイルスは研究室から流出した可能性があり、その正確な発生源を示す決定的な証拠はまだありません。

パンデミックが計画されたものであるという研究結果もなく、科学者らは今のところ自然に広まったと結論付けています。また、《Utopia》の前提とは異なり、米国で認可されているCOVID-19ワクチンは生ウイルスを含んでおりません。このワクチンは病気を広げるのではなく、ウイルスの拡散を食い止めるものなのです。

パンデミックが始まって以来、世界中で700万人近くのCOVID-19による死亡が報告されてきました。多くの死者が報告されず、数えられなかったため、この数字は過小評価である可能性が高いです。

また、COVID-19ワクチンは生殖能力に影響を与えないという研究結果もあり、保健当局や生殖医療専門家は、ワクチンと妊娠の可能性には関連性がないと述べています。（一方で）最近のCOVID-19の感染が男性の生殖能力に短期的に影響を与えることを示唆する証拠もあります。

《Utopia》を制作したGillian Flynn氏は、2020年10月のNew York Timesのインタビューでこの番組について議論されているイデオロギーについて述べた際、Amazonシリーズはフィクションであると述べました。

「これを書き始めたのは2013年です。当時、陰謀の盛り上がりに興味を持ちました--そして、それはより一層高まっています--が、QAnonについて知る前に書きました」、「確かに、十分によく調べれば、そして十分に強く望めば、何でも自分を納得させることが出来るという考え方はありますね」、とFlynn氏は同紙に語っています。

評定

TikTokの動画で、テレビシリーズ《Utopia》がCOVID-19のパンデミックを予測し、人間を不妊化するための意図的な取り組みを実施し、パンデミックが計画されていたことを証明するものだったとする主張がありました。

同シリーズは2013年に書かれたフィクションであり、COVID-19のパンデミックを予測したわけでも、計画されていたことを証明したわけでもありません。COVID-19の原因となるウイルスは自然に拡散し、拡散を食い止めるために作られたワクチンは不妊の原因にならないことが研究により判明しています。

この声明は正確ではなく、馬鹿げた主張をしています。私達はこれを《Pants on Fire！》と評価します。