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【Zatsu】香りの世界へ行こう4

練香ねりこうをご存じの方は、あまりいらっしゃらないと思います。練り香水ではありません(それはそれで、また別の機会に書きます)。街のこぎれいなインセンスショップはもとより、仏具店などを見て回っても、ほぼ扱っていない。ガチめのお香屋さんに行かないと、現物を店頭で見る機会はないかもしれません。

練香とは粉末状の香料をつなぎで丸薬状に固めたもので、見た目は正露丸そのものです。

最近ではお線香も種類が豊富ですし、インセンスもスティックやコーンの形状でたくさんでています。たいていのユーザーはそれらを購入するんです。だから、店頭で練香に手を出すごく一部の玄人かわりものは、店員にドン引かれるか、もしくは目を付けられるか……です。

いつだったか、お香の専門店をおとずれたときのこと。店員さんとおしゃべりに花を咲かせながら気に入ったお香をいくつか見繕ってもらったあと、何の気なしに「じつは、練香も探しているんですよねぇ」と口にした瞬間、店員の動きがピタリと止まり、無言で奥に引っ込んでいったのよ。

???

すると、しばらくして奥から店主が出てきて、「こちらへ」とだけ言うと、2Fに案内されたんだ。ついていくと、巨大なガラスケースに入った香木とか、古めかしい博物館級の戸棚に丁寧に分類して格納されている粉末とかを熱心に説明してくれた。
もう目がマジなんだ。おれは心の中で「うわ、ガチ勢じゃん」とつぶやきながら、話に耳を傾けていた。と同時に「いや、おれ練香が欲しいだけなんだけど、伝わってるかな?」とも思いながら😵‍💫


左のグリーンの袋が練香。毎朝2粒ずつ使うので、リーズナブルなお徳用パックを使用しています。商品説明には「日常使いに適した練香」と書いてある。日常的に使う人がまず少数派な気もするが……。右上は灰、右下は炭です。

練香は直接火をつけず、温めることで香りをあぶりだすように焚きます。具体的には、火鉢や香炉に灰を敷き詰め、炭に火を入れて熱源にします。その近くに練香を置くと、炭の熱で灰とともに温められて練香からジワジワと香りが部屋に広がる、という仕組みです(空薫そらだきといいます)。

焚き方はほかにも何種類かあるのですが、これがいちばんお手軽なので自分は空薫メイン。

ひとつ注意すべきなのは、熱源から遠すぎると香りの立ち方が弱く、近づけすぎると燃えてしまうということ。
この絶妙な距離感を保つのがむずかしい。

思えば、あのガチ店主は説明に熱が入るあまり、おれとの距離を詰めすぎた。特に顔が近すぎ。おかげで話がほとんど頭に入ってこなかったよ。

どんな世界でも熱源との距離は、とても大事ってことですね~🥴




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