鐘のガーゴイルに見るゲームデザイン

はじめに

本稿ではダークソウルの序盤の難敵、鐘のガーゴイルについてゲームデザイン的観点から考察を行っているものです
1プレイヤーとしての意見を言っている体ではありますが、株式会社フロム・ソフトウェアと当方は何の関連もないため、何かしら問題があった場合は即刻記事を削除するのでご連絡ください

鐘のガーゴイルのコンセプト

「2体戦+ゲームのチュートリアル」である
ゲーム開発ならばコンセプトは最初に提示されなければならないが、既製品の考察を行っている本稿では最後に導き出されるべき言葉だ
故に以下にその要因を列挙していく

ゲーム内で提示されている困難

物量の困難

ご存じのとおり、通常のプレイヤーであれば複数戦のボスとして初めて遭遇するのはこの鐘のガーゴイルだろう
山羊頭のデーモン、スモウ/オーンスタイン、四人の公王などほかにも複数戦のボスは存在する

複数戦というのは単純に難易度が高い
戦闘中の思考にマルチタスクが強制されるからだ

パラメーターの困難

鐘のガーゴイルをこの時点で武器の強化を行わずに撃破するには、かなり高い体力となっている
直前のボスとなる牛頭のデーモンよりも露骨に強く、また落下攻撃も不可能

アクションの困難

鐘のガーゴイルは見た目通りの飛行能力を備えている
空中に居る時間は長くはないが、その間近接攻撃は一切届かなくなる上、その状態で攻撃を仕掛けられることも多々ある

ゲーム内で提示されている優しさ

ここで述べている優しさとは、ゲーム的な”誘導”であったり、攻略のことを指す

物量の困難への優しさ

複数戦をするうえでいくつかの優しさを備えていると考察できる
以下はその理由

・複数体出てくるが、どれも行動ルーチンは同じこと
当たり前ではあるが、2体がそれぞれ別の攻撃をしてきたほうが状況が複雑となり、難易度が上昇しやすい
その点、ガーゴイルの行動ルーチンはほぼ同じである

・2体を見分ける方法が存在すること
それは左腕の盾の有無だ
2体目のみ盾を装備していて、かつ戦闘開始時からしっぽが切断されているため、1体目のしっぽを破壊しないことでも見分けがつくようになっている

・地形が”攻撃判定の分断”を行っている点
ボス部屋は協会の屋上であり、輪切りにすると△となる形状をしている
頂点を挟んで対峙している分には、炎のブレスが屋根を伝い頭上を通過していくため「やや苦しいが」攻撃判定の分断はある程度可能である

パラメーターの困難への優しさ

これは明確で、最寄りの篝火ちかくに鍛冶屋が存在していること
鍛冶屋を使って武器を強化しろと言わんばかりの体力をしているため、ダークソウルを攻略していく上でほぼ必須となる項目である武器強化のチュートリアルも兼ねているように見受けられる

アクションの困難への優しさ

これは存在しないように思える
強いて挙げるならば2体目が積極的に使用する薙ぎ払いブレスの全体硬直が長いことが考えられるが、AI的には複数戦故に攻撃回数を抑えるなどの手加減をするようなものは実装されていないため、あまり意味を成していない

以上

以上を論拠として、鐘のガーゴイルのコンセプトは「2体戦+ゲームのチュートリアル」であると自分は感じた
ゲーム序盤の壁として強力にすることで、鍛冶屋の利用、パラメーターやエスト瓶の強化、およびそれらを行うための探索、今後幾度となく展開される複数戦への心構えなど、チュートリアルとして用意されているボスだと言い切って良いボスだと思われる


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