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アンデシュ・ハンセン『運動脳』の感想&解説

ベストセラー『一流の頭脳』の新訳版、『運動脳』のレビューです。

◆基本情報

・ページ数:362ページ
・所要時間:約4時間
・内容:運動が脳に与える効果を解説

◆所感

・運動は脳にメリットしかない
・運動するモチベーションが高まる

アンデシュ・ハンセンあるあるですが、今回もタイトル=結論です。

・スマホ脳=スマホが脳に悪いことを解説
・運動脳=運動が脳に良いことを解説

本書では運動が脳のどの部分に、どういう効果をもたらすかを数々の実験データをもとに解説しています。

「運動しよう!」というのは大前提として、残りのページは運動するモチベーションや目的意識を高めるために読む本という認識です。

◆ポイントメモ

●前提:脳の可逆性

大前提として、脳には可逆性がある。
つまり、後天的に、物理的に変化し得るということ。

小さい頃に「脳細胞は毎日死に続ける一方で、増えることはない」と教えらた記憶があります。

しかし最新研究では脳は物理的に成長したり、脳の各領域同士の連携が強化されたりすることがわかっている。

そして脳機能の向上にもっとも効果的かつ副作用がない薬が運動である。

●運動の効能①「ストレスの低減」

イライラ、心配、ストレスを感じると脳はコルチゾール(ストレスホルモン)を分泌する。

適度なコルチゾールは神経を研ぎ澄まし、集中力を高める効果があるが、慢性的にストレスを受け続けた場合、脳の海馬や前頭葉が委縮する

運動を習慣化するとストレス耐性が上がり、コルチゾールをコントロールする機能が高まる。
そしてこのストレス耐性は運動以外の精神的ストレスにも効果がある

●運動の効能②「集中力の回復」

人間は脳の構造上、「対策」しなければ基本的に注意散漫である。

運動をする事で脳の前頭葉、前頭前皮質が活発になり、集中力や「最後までやり抜く力」が回復する

前頭葉・・・集中を司り、周囲や脳内の雑音を消す。

前頭前皮質・・・「抽象的」「論理的」「数学的」思考を司り、
思いつきで行動せず長期的な目標を達成する自制心をコントロールする。


●運動の効能③「脳細胞が新生する」「記憶力が上がる」

脳は25歳以降、年0.5~1.0%小さくなる。(1日10万個の脳細胞が死滅)

しかし運動習慣がある人は脳の海馬が年2.0%成長していた実験結果が出ている。

たとえ成長まではせずとも、差し引きで老化による脳の萎縮を遅らせる効果を果たしている。

運動しながら暗記するのも効果が高い。

ただし、激しすぎる運動は「脳へ行くべき血流」が筋肉に行ってしまうので逆効果。

◆結論:どんな運動をするべきか

週5回以上、20分~30分のウォーキング
 または
週3回以上、20分~45分のランニング

◆おさえるべきポイント
・効果はウォーキングよりランニングの方が高い
・時間は20分より30分の方が良く、理想は45分
・5分やるだけでも意味はある
(勉強前の集中力の回復など)
筋トレより有酸素運動・・・筋トレは健康には良いが、脳への効果は不明






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