誰かの唱えた街の詩

 影よ影よ、そんなに伸びずにこちらへおいで。

 ここの空気はやな空気、そんなの吸わずにこちらへおいで。

 ゆらゆら揺れずにわたしの内へ。


 わたしよわたしよ、あなたの街はここではないわ。

 みんながぎょろりとわたしを見てる、あなたをずっと見ているの。

 そんなの躱してぬくいスープを。


 灯りよ灯りよ、そんなに照らして楽しいの。

 みんなみんな遠くに行くわ、あなたの光は道にはならず。

 映した影だけこちらを見てる。


 世界よ世界よ、あなたはどうして壊れたの。

 ひとつの街はいくつの街、あなたの答えは嘘ばかり。

 ずっとこの世を砕くのね。


 あなたよあなたよ、あなたの街はどんな街。

 わたしの街はこんなのよ、あなたは言葉を詰まらせる。

 この言葉にそっと唇寄せるだけ。

 あなたの言の葉溶けていく。

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