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DUNE Part.2を観た

はじめに

 公開初日の3月15日にさっそく観てきました。
 前日の夜に『mine』という、北アフリカの砂漠で地雷を踏んだアメリカ兵が飢えと渇きと疲労の中で幻覚を見る映画で砂漠力を高めて、いつもの新宿のTOHOシネマズに向かいます。

あらすじ

 スマートドラッグ:香料(メランジ)が産出する惑星アラキスの統治を命じられたアトレイデス侯爵家は、ハルコンネン男爵と皇帝近衛兵サーダカーの攻撃で滅亡する。しかしレト・アトレイデス公爵の愛妾ジェシカとその息子ポールは生き延びて、アラキスの原住民フレメンと合流を果たしていた……。

簡単に感想

 まず目立ったのは世代間の断絶でしょうか。ジェシカは宗教的権威になって暗躍し始めるし、せっかく合流できたガーニィはナチュラルにフレメンを下に見ててアトレイデス家再興のことしか考えてません。皇帝に仕えるベネ・ゲセリットのババアは策謀家だし、皇帝はうすらボケです。
 ポール、ゼンデイヤ、皇女イルーランは良識があって、いい感じにサバイブしています。大人たちから自立しつつある彼らですが、ままならないところも多いです。宇宙なので。
 そしてポールも救世主として変わりつつあります。救世主思想に沸くフレメンもあれはあれで異常です。何もかもが割れて、大きなうねりの中ではそれでも共に芋転がしになっている混沌です。そんな中でまともでいられるのはゼンデイヤと皇女イルーランだけ。彼女らはなにを見ることになるのでしょうか?
 パワフルに一つの物語を締めくくり、次作への期待を高めてくれる作品でした。

ネタバレ

ケヒャリスト

色気がすごい

 アトレイデス殲滅ののちにポールとかフレメンとかに対処していた男爵の甥・ラッバーンは無能を謗られ、弟のフェイド=ラウサに交代させられます。ハルコンネンは相変わらず浮いてましたね。物理的に。

 このフェイド=ラウサの初登場がもうやばい。スキンヘッドのガールフレンド(本人はペットと呼んでる)とイチャつく彼の元に、今度の闘技大会で使う予定のナイフが届けられます。ナイフを取り上げるフェイド=ラウサ……やおらナイフをひと舐め……いきなり傍らに立っていたおじさんの喉を掻っ切ると、「刃先のバランスが悪い」と指摘。鍛治師のおじさんはガクブルです。
 肌真っ白で髪も眉毛もまつ毛もないしすごい冷酷っぽいですが、まごうことなきケヒャリストでした。
 無事に刃先のバランスを修正したのか、誕生日に開催してもらった闘技大会では、前作で滅亡したアトレイデス家の生き残り三人とのバトルに臨みます。シールドなしで。三人をストレートに下したケヒャリストは、準備万端アラキスへ。

 ジェディ・プライムの太陽って曰く“黒い”らしく、屋外の画はなんか色彩がなくて人肌もギラギラ真っ白いんですよね。ほんとに上の画像みたいに映ってます。あの色彩感覚よかったな……。

レア・セドゥ

色気がすごい

 さて、フェイド=ラウサの誕生日コロシアムには秘密結社ベネ・ゲセリットの面々もお呼ばれされましたが、その一人がレア・セドゥ演じるレディ・フェンリングです。ベネ・ゲセリットは数十世代にもわたって諸大領家の血統を操作してきたらしく、その手段はハニートラップ。生まれる子の性別も勝手に決めます。レト・アトレイデスの愛妾ジェシカもそういうことっぽいのですが、ちょいちょい古巣の指示に従わなかったり暗黒微笑を浮かべるところがあったり、まだ思惑がよくわかりません。

 それでレア・セドゥですが、ハルコンネンの惑星ジェディ・プライムの城で迷子になったという体でフェイド・ラウサに接近。ケヒャってる彼の脅しにびびるでもなく客室棟の彼女の部屋へ案内します。すごい顔近づけたり意味深な会話をしたりしながら。部屋に入るとケヒャリストを誘惑するレア・セドゥ。
 場面転換後、皇帝に仕えるベネ・ゲセリットのババアとのMTGで、フェイド・ラウサを「冷徹だが短気」とか「まあまあかしこい」とか論評し、「性的な誘惑に弱い」と結ぶレア・セドゥ。ケヒャリストがハニトラに弱いのかわいいな。
 「血統は確保しました」と下腹部に手をやるレア・セドゥ、えっちだ……。

ティモシー・シャラメの顎

こいつもえっちでした

 本作、ツラがいい俳優ばかり出てきますがティモシー・シャラメは圧倒的です。レア・セドゥの色気の次くらいにはすごいです。
 映画の前半部ではフレメンとして受け入れられていくポールの様子がダイジェストで映されます。ハルコンネンとかサーダカーとかを相手にゲリラ戦を仕掛けて、野営の夜には部族名と戦士名をもらったりして。そのシークエンスの一番の盛り上がりがサンドワーム・ライドでしょう。これをもってポール・ムアッディブ・ウスールはフレメンとして砂虫のお墨付きをもらったわけです。
 サンドワーム・ライド、実は前作のIMAXリバイバルの特典映像でもう見てたんですよね。ポールの成り上がりとかを順に追って見るとカタルシスが段違いでした。

 ゼンデイヤともくっついて順風満帆のゲリラ生活を送っていたポールですが、その実は母ジェシカの思惑に動かされて救世主街道をひた走っています。南の部族出身のスティルガーはベネ・ゲセリットが広めた救世主思想にどっぷりで、何かあるたびにポールのことをベタ褒めです。シンパと一緒に後方腕組み叔父貴ヅラしてます。

抹香臭い宗教家が板についてきましたね

 相変わらず悪夢に悩むポールは、命の水と呼ばれる砂虫の小便を飲んでトリップ。過去視と予知能力をゲットしたあげく、部族会議のど真ん中で救世主になったるわいとブチ上げ、フレメンの面々を従えることに成功。
 さて、覚醒したポールは数千人のフレメンの面々と共に、ちょうどアラキスに降りていた皇帝の前哨基地にカチコミをかけます。いい加減にアラキスが砂の惑星になっているのは気に障るし、アトレイデスの血を絶やそうと襲ってくる刺客にもうんざりだし、頭を直接叩こうというハラです。

そりゃ近衛も逃げ出します

 ここにもサンドワームが出てきます。戦車というかそういう運用です。フレメンはどうやら引越しトラック兼バスとしてもサンドワームを使っているようで、家財道具を載せたり数十人単位で同乗して乗り回しています。便利にこき使われるサンドワーム。幼虫は小便搾られてすごくキくドラッグにもなります。
 そうした描写に前作で感じた脅威が薄れてきた頃合いで、陸戦の覇者としてのサンドワームをぶち込むあたりには感心しました。でかくてはやいのって怖いですよね。

不本意ハーレム構成員系女子・ゼンデイヤ

フラれてはいないです

 フレメンに馴染もうと頑張るポールと付き合い始めたゼンデイヤですが、ジェシカの思惑通りに救世主になりそうな彼氏が心配な様子です。砂虫の小便でトリップして死にかけるポールをとりあえず蘇生しましたが、目覚めた彼にビンタを食わせます。直後流れ出すハンス・ジマーのアアーアー…系BGM。

 で、皇帝にカチコミです。多方面作戦を執るポールからでかい部隊を預けられたゼンデイヤですが、なんだかんだでサーダカーを蹴散らしてポールともども皇帝とご対面。ゼンデイヤとフレメンの面々が見守るなか、ポール・ムアッディブ・アトレイデスは、皇女イルーランを娶り皇帝になりますと宣言しました。

そして宇宙戦争へ……

ハーレム2号としてのテクニカルな立ち回りが期待されます

 皇帝の代理として決闘に臨んだケヒャリストを見事下し、皇女イルーランと結婚することになったポール。ゼンデイヤは部屋を飛び出します。アラキス近傍には諸大領家が集まっていますが、ポールが皇帝になるのは受け入れがたいようです。ならば戦争だとばかりに宇宙戦艦に乗り込むフレメンの面々。おまえら宇宙戦争できるのか?

 ゼンデイヤは宇宙戦争できないようで、一人砂漠でサンドワーム・ライドの準備。Part.3ではどう動いてくれるのか楽しみです。

その他よかったところ

ハルコンネンの女官

えっちです

 すごくえっちでした。スキンヘッドなのに……。

 『ヒトラー最後の12日間』さながらブチ切れて厚い扉の向こうで叫ぶハルコンネン男爵。湿った重い音が二つ響きます。いやいやながら呼びつけられたラッバールが見たのは、部屋の隅で頽れた二人の女官の死体でした……。あの描写すごいよかったですね。ジェディ・プライムでは人の命がめちゃくちゃ軽い。そりゃ男爵も浮遊しようというものです。

 あとケヒャリストのガールフレンド(四人いる)(ペット呼ばわりされてる)(人肉を食べるらしい)もよかった。一瞬だけカットが入って、四人揃ってふわっと笑うだけのシーンでしたが。なんかすごい妖しさがあるんですよね。ケヒャリスト、爛れてます。

 女官、確かどこかのシーンではじっくり映ってたんですよね。すごい薄くてひらひらした白い服を着てたんですけど、頭の毛が全部ないだけでなんかめちゃくちゃ妖しい色気があった。あれってなんなんですかね。ハルコンネンの暴虐がやばすぎて怯えてるのもあったんでしょうが、すごい雰囲気でした。

メカニック

 いつものです。皇帝の宇宙船とかジェディ・プライムの城とか、世界観にどっぷり浸れる作り込み。

サーダカー

 フワーーーーと降下するいつものやつ。実は等速で上昇することもできます。岩肌をぺったんぺったん手で付きながら一枚岩のてっぺんまで昇るの、かなり胡乱です。

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