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花束にはフローリストの優しさがたっぷり詰まっている

運営しているオンラインサロン「虹ノアトリエ」では、フローリストの技術や製作の幅を広げるための研究会を実施しています。

内容は5回1クールでこんな感じに計画しています。

1. 花束ラッピング(5,000円ギフト花束)
2. 花束ラッピング(10,000円ギフト花束)
3. アレンジメント(5,000円ギフトアレンジ)
4. お供えアレンジメント(5,000円お供えアレンジ)
5. お祝いスタンド花(15,000円お祝いスタンド)

花屋さんは、個人事業主や家族単位で経営されている方が非常に多いお仕事です。そして、勤務中はクリエイター・職人・技術者的な働き方が強いので、ネットで常に情報収集したりいろんな人に会いに行ったりというのが、なかなかしにくい職業でもあろうかと思います。
それ故、油断すると本当に自分の世界に閉じこもってしまう。気づくと情報不足に陥っている。こんなことにもなりかねません。

そういう事態を防ぐために、zoomを活用してここの製作技術をシェアしあって互いに研鑽しよう!というのがこの研究会の趣旨です。

(今回は1万円のギフト花束という想定で実施。その中から以下紹介です)

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全く同じ設定で実施しても、花屋さんによってこれだけ最終的に作り出される花束の形が違うのって面白いですよね。これこそその花屋さんの特徴であり、もっというとフローリストさんの特徴です。もっと言えば、全く同じ花材と資材を作って花束を作ったとして、完成する花束の雰囲気は異なるでしょう。まさに生き物ですね。地域柄も大きく影響してきます。

例えばラッピング1つとっても、FBやIGで他の人のラッピングを見ることはできますが、それは完成形を見るだけ。そこに至る過程はなかなか見ることができません。でもフローリストとしたら、その内側が気になるのです。

その辺りを研究会を通じて顕にしていくというのが1番の価値になろうかと。

僕自身は前職の花屋さん時代から制作以外の業務に携わってきたので、全く作ることはできないので、司会進行を務めながら客観的にその研究会の様子を拝見させていただきましたが、実施してみての感想を一言で言うなら「優しい!」です。花束1つとっても、その完成形の見た目の華やかさに目が行きがちですが、その裏にあるフローリストの優しさ・配慮・努力、こういったものが全てそこに結集されているわけなんです。今まで知らなかった訳ではないですが、今回主催させてもらって改めてそのプロとしての姿勢に感銘を受けました。


具体的にはどんなものがあるのか?

紹介していきます。

①保水処理

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花束のラッピング材をとると、中はこんな風になっていますよね?
切花は当然そのままにしておいたら栄養補給ができないので枯れてしまいます。そういう性質があるので、その中でもより新鮮な状態でお客様にお届けできるかを創意工夫しているわけですが、その1つの取り組みがこの保水処理です。
場面によってこの保水処理の方法も変わります。例えば同じギフト花束でも今日作って今日プレゼントして今日自宅に飾ってもらえることが分かっていれば、エコゼリーという保水材を使わなくてもキッチンペーパー等に水を含ませて保水処理しておけば大丈夫。というケースもあるし、ヤマト便で遠方へ配送する時は、水落ち(水分が花に行き渡らない状態)を未然に防ぐためにエコゼリーで保水処理します。

②花束の形

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(上記は青山フラワーマーケットさんの写真です)

お花を注文したことがある方はわかると思いますが、結構細かく用途とか色々聞かれますよね?「めんどくさっ!」って思う人もいるかもしれませんが、それにはちゃんと理由があるんです。

例えば数百人が参加する講演会で会の最後に講演者の方に御礼用の花束をプレゼントしようと思った時。
その時にご用意する花束は、写真でいうラウンドタイプとロングタイプ、どちらの作りが最適だと思いますか?

答えは「ロングタイプ」です。
理由は数百人が入る会場で使う花束ということは、ある程度遠目が効くように作らないと、会場に対してかなりボリューム感が寂しい花束のように感じてしまいます。なので限られたご予算の中で作り方をそのように工夫します。また色合いもそうです。遠目が効く色合い、そうでない色合いもありますので、花屋さんにお任せすればその点も含めて作ってくれます。
(この時、あれやこれやと細かなオーダー出さない方が好ましい)

一方で、例えば会社の送別会。規模は10名ほど。会場は飲食店の個室。
この場合はラウンドタイプで十分。遠目を効かせる必要もないですし、電車での持ち帰りもありそうならコンパクトに作った方が良さそうだな。

こういう判断を花屋さんがするわけです。その判断をするために事細かにヒアリングするわけなんです。



いかがでしょうか?
特に保水に関しては「初めて知った!」という人もいるかもしれませんね。このように花束は、単なるその時のトレンドや表面的なオシャレを追求しているわけではなく、無論その視点も大切ですけど、それに加えて使われるシーンに想像力を働かせて、最適解と思われる対策を講じた上で出来上がったくるのが、そのお店そのフローリストが作る花束なんです。

だから逆に言えばそうした配慮ができない花屋さんがあったとすれば、残念ながらそれはプロではなく、自分本位だと言われても仕方ないのかもしれませんね。

また10月も開催しますが、この研究会を通じて改めて勉強させていただいています。そして改めて「フローリストすげー!」って思ってます。

そんな尊敬する仕事、「フローリスト」について是非是非もっと多くの方に理解してもらえたら嬉しいです。

それではみなさまバラ色の日々を🌹


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