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【絵本】四つ葉になれない三つ葉


四つ葉のクローバーになれないから
いる意味もないと思っていた
「誰もぼくを求めてなんかいないんだ」

いらないってポイされて
風に飛ばされて友達も兄弟も誰もいない場所に来てしまった

なんだかとても冷たくて
ザブーンザブーンって音がする

ここはどこなんだろう ゆらゆら揺れて気持ちがいいな

もう何にもなくすものもない
一人ぼっちになった三つ葉はふうっと息を吐いて
ただただ流れに身を任せてみた
なんて気持ちいいんだろう

ぽちゃん
いい音だなあ

「君だあれ?」
大きな目が三つ葉を見ていた

三つ葉はびっくりして
しょっぱい水を飲んでしまった

「大丈夫かい?」
「なんでこの雨はこんなにしょっぱいの?」
すると大きな目はパチクリした

「雨?これは海だよ。海水はしょっぱいんだよ」
「海?なんだいそれ?」
「海は海だよ、空が空であるようにね。
君の生きてきた世界を僕は知らないけど、
僕たちの知らない世界ってたくさんあるんだ」

大きな目の生き物はイルカというらしい

イルカは三つ葉を連れ回しては
いろいろな世界を見せてくれた

海の中の世界
海の向こうの砂浜
島は一つじゃなくてあちこちにたくさんあるのも見せてくれた

いろいろな世界を見て、感じて、

三つ葉は
今まで小さな世界で生きていたことを知った

あんなに大きく感じていた悩み事が
嘘みたいに小さく思えた

四つ葉になれなくて
つらくて悲しくて
そんな自分が大嫌いだったけど

もう四つ葉になる必要がはなくなった
このままの自分を好きになれたから

「ぼくを必要としてなかったのはぼく自身だったよ」
そう言って笑う顔が
イルカの大きな目に映りました




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【四つ葉になれない三つ葉】を読んでいただきありがとうございました!

このお話は、私が人生の転換期に沖縄に行って
帰りのバスの中でふと浮かんだものです。

下書きのままずっと眠らせて、2年の月日が経ってしまいました。

絵本といいつつ絵がないのは描けないからです。
このままだといつまでもお披露目できないなと思って描こうとするのをやめました。
読んで、描いてみたいなと思う方がいたら描いてもらえたら嬉しいなと思って文章だけでお披露目してみました。



思春期に、思い悩む子供たちにも
広い世界があることを伝えたいなと長年思っています。

世界は広い、学校だけが全てじゃない。


大人になってもそう。
その会社が、今生きる地域、社会が全てではない。

私の経験や価値観から
誰かの心にほんの僅かでも光が差してくれたら幸せです。



妖精フレイヤ

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