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集団間の憎しみに対する個別的アプローチとは?

自分というのはどの程度自由なのかと考えることがある。私の考えは過去の歴史に規定され、私の人生も過去の先人の営みに規定されている。そう考えれば自由意志などあってないようなものなのではないかと物騒なことも考える。

集団間の憎しみには長い長い歴史がある。小脇に抱えた憎しみにも長い歴史のひだがある。とはいえ、同じ地球で暮らしている以上、完全に無関係に生きることはできない。どこかで折り合いをつけ、不要な争いを避ける必要がある。では集団間の憎しみにはどのような対処方法があるのだろうか。

今回取り上げる論文は、集団間の争いには個別的アプローチが必要と説いたもの。

集団間の関係を改善し、平和を促進するための、個別化された心理的介入の新しい枠組みに向けて
Towards a new framework of personalized psychological interventions to improve intergroup relations and promote peace

この論文によると、集団間の憎しみへの対処は3層構造的なアプローチが必要ではないかと述べられている。すなわち各構成員のイデオロギーや感情、性格を踏まえ、その上で適切なメッセージや感情的訴求、ニーズへの対応を行うことで、集団間の和解に繋げやすくなるのではないかと。

figure 1を参考に筆者作成

精神疾患に対する治療では各患者の背景を踏まえた個別的アプローチが有効となるが、政治的和解においても同じような対応が有効ではないかと議論されている。これはすなわち、感情的な人には感情的なメッセージを、理知的な人には理知的なメッセージを、憎しみに燃える人と不安に襲われる人にはそれぞれ異なる対応をすることが重要ではないかと。

Q: 憎しみは脳のどこにあるのか?憎しみを検出することはできるのか?

明日読む論文:
A brain mechanism for hate
憎しみの脳のメカニズム

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