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ロマン派時代の音楽についてのメモ


ロマン派時代(1820年~1920年)

 フランス語のromantに由来。これはローマ風という意味のラテン語romaniceが語源。古代ローマの物語のように情熱や感情、内面を追求する芸術的スタイルからロマン派と呼ばれる。

 ロマン派時代には多数の一般市民出身の音楽家が活躍した。
 フランス革命や産業革命により、大衆への文化の広がりや音楽家を支援する存在の多様化が起因していると思われる。
 芸術に関する奨学金、貴族のパトロン、家庭教師としての収入、楽譜の出版、出版社への評論の寄稿などなど、音楽家の収入源も増えた。

 とにかく大混乱の時代だったので、変わりゆく情勢に落ち込んだり、憤ったりと影響を受けた音楽家も多い。

 音楽の進歩も目覚ましいものがあり、オーケストラの巨大化、超絶技巧のスタイルの誕生、楽器の進化などなど、表現の幅も広がった。

 ちなみに、ベートーヴェンの亡くなった1820年ごろから約100年間が音楽のロマン派時代。

ロマン派音楽の特徴

  1. 音楽で詩、絵画、物語を表現:楽曲に短いタイトルをつける標題音楽が誕生した。これにより、作曲者の意図をくみ取りやすくなった。

  2. 形式は気にしない:形式よりも想像力を重視。新しいジャンルの交響詩楽劇が誕生した。

  3. ヴォルトゥオーゾ(超絶技巧)の誕生:楽器性能を最大限に発揮させることを追求する音楽が誕生した。楽器の進化にも寄与。パガニーニやリストが有名。

<用語解説>
〇交響詩:(第一楽章はソナタ形式などの)特定の形式を持たないオーケストラのために書かれた楽曲。
〇楽劇:レチタティーヴォ(台詞パート)とアリア(感情表現)との境目が無くなった。⇔オペラはレチタティーヴォとアリアが交互に演奏される。

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代表的な音楽家

シューマン(1810年~1856年)『トロイメライ』

 自身が創刊した音楽雑誌にて記事を執筆。そこで創作したキャラクターを自身の楽曲内に登場させた。生涯を共にする恋人の父親はとても頑固で、裁判の末、結婚を勝ち取った。結婚生活は非常に良好で理想的な夫婦だった。晩年は精神の病に苦しんだが、最後まで夫婦仲は良かった。

リスト(1811年~1886年)『ラ・カンパネラ』

 パガニーニと出会い、触発されて超絶技巧を取り入れる。ワーグナーの亡命を手助けするが、そのワーグナーはいずれ自身の娘コジマと不倫関係となり、大ケンカもする。時間はかかったが結局最後は仲直りした。リストの最後の時はワーグナーの楽劇を見た直後だったという。

ワーグナー(1813年~1883年)『ヴァルキューレの騎行』

 ドイツへの愛国心が強く、故にドレスデン蜂起に参加し指名手配される。リストの協力でスイスに亡命成功。その後、時間がたち、ドイツへの帰国も認められる。思想家としても活動し、熱狂的なファンもいた。苛烈な性格だったので敵も多かったが、才能は認め合っていた。

ブラームス(1833年~1897年)『ハンガリー舞曲集』

 ワーグナーとは折り合いが悪く、ワーグナー派とブラームス派という派閥ができたほど。シューマンは彼にとって恩人でもあり、シューマンが亡くなった後、その妻のクララを生涯にわたって支える。

ヴェルディ(1813年~1901年)『アイーダ』

 『オペラ王』の名にふさわしく、数々のオペラを成功させた。何度も音楽活動をやめようとしたが、結局好きすぎて戻ってきちゃう。イタリア初代首相となるカヴ―ルと親しくなり、国会議員に誘われる。

<感想>

 この時代は活躍した音楽家が本当に多く、そのためエピソードも多様性を極めている。ワーグナーほど苛烈な性格の人もいれば、ショパンのように身近な関係を好むものもいた。音楽家同士のつながりも多く、そこがまたおもしろい・・・のだが、小説の題材としては大変そうなので遠慮したい。
 次回からは、ロマン派の音楽家について話したい。それではまた。


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