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#003_50代オヤジの「退職代行」後の責められ方

しっぽを巻いて逃げる、という言い方がありますが
50代の自分が「退職代行」で強行突破したことに対する周囲の反応は、
まさにそれでした。

というのも、自分が役職者だったためです。
それもまあまあ上の方の。

逆の立場になって考えればわかります。
50歳を過ぎた部長クラスの大人が、
ある日突然、会社に来なくなる。
しかも、会社に辞めますと言うのが自分じゃ嫌だから、
弁護士に代わりにやってもらう。
しかも、担当していた仕事について何一つ引き継ぎもせずに、
荷物も全部置き去りにして……。

ね? 絵に描いたような「しっぽ巻いて逃げる」でしょ。
これで反感を買わなかったら、世の中おかしいってくらい。

で、文字通り「針の筵」となりました。自分。

幸い、弁護士を通じてしかやりとりができないようになっていたので、
直接的な攻撃や口撃はありませんでしたが、
「会社からの要望書です」と弁護士からメールで届く添付ファイルは、
10数ページにもおよぶものでした。
弁護士が目を通す都合上、文面は事務的な言い回しになっていましたが
「笑いながら怒る人」のような、
とてもていねいな罵詈雑言が綴られていました。

要望書に対して回答を返信すると、
それに対して重箱の隅という隅を突きまくったような質問状が……。
質問の文面には、いちいち「責務の放棄」だの
「取引先との信頼関係を失う行為」だの「部員に対して迷惑千万」だの。
こちらを責めるためのありとあらゆる文章が全体の80%を超える勢いで
書き殴られていました。

それに自分が回答すると、ボリューム3割り増しで再質問状が届きました。

最悪な辞め方だと自覚していたこともあり、
また、信頼していたチームメンバーもいたため、
質問状が届く度に、自責の念が膨張していき、
相手の思う壺にズブズブとハマっていきました。

何度も質問状が届くうちに、
そこに書かれている責め方が映像となって夢に出てくるようになり、
まったく寝た気がしない日々が2週間ほど続きました。

が、慣れというのは恐ろしいもので、
罵詈雑言の嵐から受けるダメージが小さくなっていきました。
最後には、完全に開き直ってしまうことができるようになったのです。

慣れというのは、時に自己防衛の役割があることを
生まれて半世紀が過ぎて、初めて気づきました。

そして、「退職代行」というような極端な方法で辞めたことが
かえって、開き直りやすさにつながった気もしました。

中途半端に社会人としての常識などを残しておくから辞めにくいわけで、
そんなの無視した方が楽に生きられることに気づいたのです。

自分は一体誰に気を遣い、誰に対して社会人たろうとしていたのか。
真面目に振る舞うことで何を得られると思っていたのか。

あまりにも遅い気づき、目覚めだと思いましたが
今、気づくことができてよかったです。

「やるときはできるだけ極端に」
これが今の自分のモットーになりました。

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