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就職面接

登場人物
角田…面接官
丸山…就活生

面接をしている角田と丸山。
角田「丸山さんが考える自分の長所とは何だね?」
丸山「(かなり緊張した様子)私の長所は…怖がりなほど慎重なことでしょうか」
角田「(横柄な態度)怖がりなほどに慎重?
 (小馬鹿にした笑い)それが弊社で働く上でどんな利益をもたらすのかね?」
丸山「……(少しうつむき加減で黙る)」
角田「……どうしたんだね?」
丸山「…あの(泣き出しそうな顔)、私採用試験を辞退させていただきます」
角田「突然どうしたんだね?」
丸山「(怖がった様子で)御社は危険です」
角田「き、危険? なんだね、それは?」
丸山「その威圧的な態度、恐ろしすぎます」
角田「これで怖がっているようじゃ、やっていけないだろ」
丸山「それだけじゃありません! 先ほど私に『一人暮らしかね?』と質問されていましたよね?」
角田「ああ、そうだが」
丸山「なぜ、そんなことを聞くのですか? それが何か採用に影響するんですか? (怯えたような様子)もしかして、あなたは一人暮らしの若い女性を物色でもしているのですか?」
角田「そんなわけはないだろう、失礼な!」
丸山「失礼ではありません。これは自己防衛なんです」
角田「どういうことだね?」
丸山「わからないんですか!? 私たちは、パワハラ、セクハラが蔓延するブラック会社に就職してしまったら人生が終わってしまうんですよ。面接を重ねる中で少しでもブラック臭がするところは避けないといけないんです!」
角田「ブラック企業って…。うちはそんな企
業ではないぞ。社員の仲もとてもよくアッ
トホームな会社だ」
丸山「(驚愕)アットホーム!? ネットで調べればそんなことをいう会社は危険度マッ
クスだと出ているのに!」
  丸山、手帳になにやら書き込む。
角田「何をしているんだね?」
丸山「御社に対して私が下した評価を書きこ
んでいるんです」
画面に手帳を示す。細かい項目に低評価が並ぶ。
角田「こんな細かい評価をつけてたのか!」
丸山「就活仲間と共有させていただきます。こんな古い体質の会社怖すぎます」
  丸山、退出しようとする。
角田「ちょっと、待った!」
丸山「何ですか?」
角田「君の怖がりな程に慎重な点を認める。わが社の古い体質を改善してくれ」
  丸山、笑顔になる。

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