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本当は怖いNew Jeans 「ETA」のMV


 この記事では、「ETA」のMVについて、他サイトを引用、参考にした上で、僕自身の気になったところや解釈を交えて、結局このMVは何を伝えたかったのか、それがどのように表現されているのかを解説&考察していきます。
 このMVの意味がよくわからなかった、もっとこのMVについて知ってみたい、という方はぜひ最後まで読んでみてください!!


Part1 MV・歌詞の概要

歌詞の和訳については上記のものを参考にさせていただきました。
大まかな流れとして
 あるカップルがいた
→男が浮気(?)する
→その様子を女の友達が目撃する
→女の友達が女に彼氏と別れるように勧める
歌い手は「浮気された女の友達」と考えるのが自然です。

MV内での登場人物を整理すると
 女→Eva(車の運転手)
 女の友達→NewJeansのメンバーたち
 男とその浮気相手
となります。

Part2 シン・ウソク監督の言葉

「ETA」のMVを調べる上で欠かせない、最も重要なカギが上記サイトにある監督の言葉です。

ストーリー

このMVのタイムラインをよく見てみると、運転している女性と通話するNewJeansの時間帯が合っていないことがわかります。最初から携帯電話の横に置かれているヘアゴムは、ストーリーが進んだ後に登場します。実は女性はすでに男性を殺害した後で、死体を処理しに向かっているところなのです。

シン・ウソク監督

 初っ端から大きなネタバレとなってしまうのですが、この監督の発言に則り、このMVのストーリーを時系列で追うと、
 ①NewJeansがEvaの彼氏が他の女と一緒にいるところを目撃
→②NewJeansが電話でEvaに報告
→③Evaは彼氏を殺害
→④Evaが彼氏の死体を処理するため車を走らせる
となります。
紛らわしいのが、MVではまるで「②NewJeansが電話をかける」シーンと、「④Eva が車を走らせる」シーンが同時に進行しているように見えてしまうことです。
実際は、車のシーンは基本的に「③Evaが彼氏を殺害した」後となっています。

彼氏の死

彼氏が死んだことがなぜわかるのか?というと…

2:22 
この直後視線が真下を向く。Evaは急ブレーキをかけたと思われる。
2:27
Evaがおそるおそる顔を上げるとボンネットの上には彼氏と浮気相手がいる。
2:41

2:41でトランクからはみ出たシャツ。間違いなくEvaの彼氏のものです。したがって、Evaは一度彼氏を轢いて急停止したが、浮気相手と一緒にいるのをみて結局助けずに殺してしまった、(瀕死になったのに助けなかった、既に死んでいた、もう一度轢いたなどどのように殺したかまでは分からない)と考えられます。

時系列の根拠

なぜこの時系列になるのか?と疑問になるところですが、これも監督により明かされています。

0:16

mvの0:16ごろです。浮気相手が右手首にヘアゴムをつけています。

0:18
2:12

0:18、2:12ごろ。冒頭から終盤にかけてずっと同じヘアゴムがEvaの車内にあることがわかります。死んだ男のヘアゴムが車内にあるため、車のシーンが殺害後になるとわかるわけです。(ただし、Evaが彼氏を轢くシーンは例外です。)

妄想シーンの謎

実際に男性が不正なことをしたのかどうかはわかりません。キスシーンは、女性が電話を取らなかった後にした妄想にすぎません。

シン・ウソク監督

2:14ごろから、Evaの彼氏と浮気相手がキスしたり二人きりで談笑したりするシーンが0.5秒くらいの短いスパンで次々と現れます。幻想的なムードが強調されていて、監督のいう妄想はこの辺りかと思われます。
では、どこまでが妄想で、どこまでが現実なのでしょうか?
それを区別するサインがあるはずです…

0:24
落ち着かない様子のEva①
0:32
落ち着かない様子のEva②
0:46
落ち着かない様子のEva③
1:35
画面手前から奥に突っ走る車
ここから夜になる。
1:38
ルームミラーに映る顔①
1:38
ルームミラーに映る顔②
2:16
ルームミラーに映る顔③
3:10
Evaが車を降りることでこれまでルームミラーに映っていたEvaの顔が映らなくなる。

 Evaの顔が、最初から1:35まではそのまま写されているのに対し、それ以降は3:10までほとんどルームミラー越しに写されています。そして、ルームミラー越しに写されるEvaのカットの前後で妄想シーンが次々と入ります。直接ではなくミラー越しに写すことで、ここは妄想シーンだよ、という合図がこめられているのではないですしょうか。
(ちなみに、ほとんどと述べたのは訳があります。1:35以降、2:26でEvaが彼氏を轢きそうになり、顔を上げたところでは、顔が直接写されています。これは、このシーンが妄想モードではなく、現実(記憶)モードであることを示唆しています。)

2:26
顔を上げるEva 

 さらに、1:35、車が画面手前から奥に突き進むカットとなっています。他のシーンでは車内やEvaの顔が写されることが多いのに、ここだけ異質な構図です。これは、「これまでの通常Eva→妄想中のEva」を示すため、通常Evaを退場させているという意味合いがあるのではないかと思います。
 そして、3:10では今度はルームミラーに映るEvaが映らなくなるので、「妄想中のEvaの退場」と捉えられます。
 このMVにおいて、鏡は実際のものを左右反転して写すため、虚構、空想、妄想といったものの象徴として用いられています。

情報の不確かさ

現代社会において我々は直接見ていない事実を、様々な経路を通して情報で接し、判断します。その過程で多くの事実が変質し誇張されていきます。

シン・ウソク監督

 このMVをよく見ると、Evaがニュジからの通話に応えたのは一度だけです。その時はEvaはニュジと一言も喋っていません。「通話に応じる→彼氏を殺す」までEvaが頼りにしたのはニュジからの一度の通話の情報のみです。もしその情報が間違っていたら、彼氏は何の意味もなく死んでいたかもしれません。情報の不確かさが取り返しのつかない間違いに繋がりかねない、というメッセージが込められているように思います。
 他にも現代社会の闇を描いたシーンがあります。

2:33
スマホでパフォーマンスを撮影されるニュジ。
観客の顔は見えない。

このシーンは観客がライトに照らされたニュジを撮影し、ニュジからは暗くて観客の顔が見えない、という構図になっており、見る側の身元はわからない、というネットの匿名性を表現しているようにも見えます。

2:35
不安げな様子のニュジ。
後ろの男性はニュジではなくスマホの画面を見ている。
「事実を直接見ない。」という意味を重ねている?
0:42
Evaの彼氏の浮気を盗撮するへリン。

MV前半では見る側だったニュジは、後半になって見られる側となっています。現代社会においては誰しもが見られる側となり、不特定多数の人々の関心を集めることになりうる、ということを伝えたいのではないでしょうか…

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