保有ポジションの判断材料としての数値(2023/06/25記)

日経平均株価は連日高騰を続け、なお高値圏にあるが、34000円には届かず、週末33000円を割り込んだ。いよいよ調整が始まったのか、あるいは知らぬ顔で33000円台に戻すのか。最近は一日の値幅が大きく乱高下とも言える値動きなのでどちらにどれだけ動いても不思議はない。VIは一度20を割り込んだが、週末再度20を超えてきた。

さて、今回はオプションの保有ポジションの状態を如何に把握するかということについて書いてみる。すでに何度も書いてきたが、ポジションを建てるときには基本的に内側プット買いと外側プット売りを組み合わせる。なおかつコストはトントン、つまり買い総額≒売り総額となるように建てる。これが原資産である日経平均株価の動きによってそれぞれのプットの価格が変動していく。現在のポジションの状態を示す数値としては含み益、含み損があり、これはどの証券会社でも表示されている。しかし、オプションは複雑な動きをするので含み益、含み損だけでは把握できないものがあり、明日日経平均が下がればどうなるのか、日経平均が上がればどうなるのか含み損益だけでは情報不足だ。

SBI証券のアプリではオプションについての様々な数値が表示されていて、色々な角度で分析、把握することができる。他の証券会社では情報不足で非常にやりにくい。ちなみに今回のミニオプション取引開始で多くの証券会社でさらに取り組みが強化されると期待していたのだが、ミニオプション取引を扱う会社は限定的なのには驚いている。なかには、これを機にオプション取引自体から撤収を決めている証券会社が数社ある。驚きであり、残念だ。

さて、SBI証券オプション取引では未精算額という数値が表示されている。私はこの数値をとても重要視している。最初この数値は一体何を意味しているのかまったくわからずに取引していたのだが、理解するとともにこれをひとつの指標としてポジションを増やせば良いのか減らした方が良いのか、あるいは、どのようなポジションをどうすれば良いのか判断する上に重要な判断材料としている。要はその時点での買い総額と売り総額との差である。プラスであれば、買い総額が売り総額を上回っており、日経平均株価が下落して保有ポジションのすべてがそれぞれ価格が2倍になれば未精算額が2倍になり未精算額が増えた分含み益が増えることになり、ポジション状態はとても良好という判断になる。しかし、日経平均株価が上昇して、保有ポジションがそれぞれ価格が半分になれば未精算額がやはり半分になって含み益がそれだけ減少することになる。また、保有ポジションのプットがインザマネーになることなくSQを迎えればすべてのプットが価格ゼロになり、未精算額のプラスがすべて消えてしまうことになる。

新規ポジションを建てる時点ではコストゼロなので未精算額もほぼゼロであるが、日にちの経過とともに、時間的価値の減少で外側のプットから大きく価格が下落して未精算額はプラスになっていく。未精算額が最大になった時点で決済を実行して含み益を実現させるか、あるいはインザマネーにさせることでSQの清算で利益をゲットするか。

ただし、普通であれば、未精算額が日々プラスになっていくのだが、日経平均株価が急落した場合にはボラティリティが大きく上昇して外側のプットから価格が大きく上昇する。売り総額が大きく膨らむことで未精算額がマイナスに大きく膨れる。こうなると危険な状態だ。必要証拠金も急激に増大し強制決済のリスクが発生する。ボラティリティが上昇しながら日経平均株価が急落したとしても未精算額がマイナスにならずに寧ろプラスに大きく振れる場合もある。これは相当ポジション内容が良好であり、心配する必要はなく、むしろ下落歓迎という状態だ。どちらに転ぶかはなかなか微妙なところがあり、そのときに未精算額が表示されていることで判断がしやすくなる。他の証券会社ではいちいち自分で計算しなければいけないのでとても使いにくい。

また、オプション取引ではお決まりのギリシャ文字がある。これについても保有ポジション全体のデルタ、ガンマ等々ボタンひとつで表示される機能があり、様々な角度から分析できる。

先週くらいから私の口座では未精算額がプラスに振れている。7月SQに向けて楽しみである。6月SQに向けては日経平均株価が連日高騰してプットが価格下落することで普通は未精算額がプラスになるか、たとえマイナスでもその額は小さくなるというのが通例だったのだが、あまりに株価が高騰し、ボラティリティも上昇して特にファープットの価格が落ちなかったことで未精算額がずーっとマイナスに沈んでいた。日経平均株価が上昇することで未精算額がこのようにずーっとマイナスなのは珍しく、打つ手も限られてくる。無駄に疲れたというのが印象だ。

今年前半は結果的に株価はずっと上昇し続けた。少し、この辺で調整してくれるとオプション取引としてはありがたい。31000円台まで行くと久々の3桁の利益が見込める。

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