日経平均株価が急上昇(2023/05/19記)

日経平均株価が「狂ったように」上昇している。日経VIも20を超えた。通常、株価の上昇は日経VIの下落を意味する。それは、株価は普通、ゆるゆると上昇し、下落の時はスピードが速いということもある。しかし、今回のように異常なスピードで株価が上昇するとさすがにVIも上昇する。私のボラティリティの指標としている価格比も拡大している。この記事では、ボラティリティ上昇について、そのメカニズムについて考えてみたいと思う。

このような異常な上昇は考えてみると、2020年3月にコロナ禍で一挙に株価暴落した後、米金融緩和により株価はV字回復し、さらに一旦は3万円台もつけたのだが、その過程でジェットコースターのように急上昇急落を繰り返したことを思い出す。1時間で500円上げるとか500円下げるとかが日常茶飯事だった。VIも常時20~30とかなり高かった。

しかし、今回はVIが16程度の低い状態から急にこのような上昇局面となった。株価が上昇すればプットは当然下がる「はず」。日経VIは自分で計算することはできないのでネットで表示されているページで計算結果を確認するしかないのだが、以前聞いた話ではアットザマネーのプットとその前後の価格で80%~90%決まるということだった。コールの価格はVIに対してはマイナスとして計算されるということ。コールが上昇すればVIは下がるのだそう。

今回のオプション価格の動向は、コールの急上昇が起点となっている。特に昨日は日経平均株価が3万円を超えてなおかつ500円の上昇で勢いがついたので、どこまで上がるか目途が付かないという雰囲気になってしまう。コールの売りを保有している人から見るとたまらず、買い戻しせざるを得ない。アットザマネーのコールはアットザマネーのプットの価格と同じ価格となるのだが、この時期は通常400円前後だが、現在550円程度となっており明らかに高いのだが、当然コールの踏み上げが主因だと考えられる。VIの上昇はプットが上昇することが必要なのだが、何故プットの価格が上昇するのか?まず、アットザマネーのプットはアットザマネーのコールと同じ価格になることは先ほど述べた。計算方法がわからないが、ファープットの価格はVIに影響があまりないと聞く。しかし、体感的にはファープットの価格の方がVIとリンクしているように感じる。24750円のプット売りポジションを保有しているのだが、ここ4,5日10円より下がらない。日経平均株価が30000円以上なのに!昨日のように株価が急上昇してアットザマネーからの距離が急激に離れるとぐっとプットの価格は下落すると思いきや、なんと!14円!驚きだ。

要因をいくつか考えてみる。

まず、以前でも記事で書いた、ファープットの価格の硬直性だ。これについてはすでに書いたので今回は省略する。

次に、アットザマネーのコールの価格の上昇→アットザマネーのプットの価格の上昇、そしてプットの価格比の拡大、これがファープットの価格の上昇というメカニズムだ。

どうだろう、24750円のプット単体で考えたときに日経平均株価が29000円台の後半で24750円プットの価格が10円だったとして、翌日日経平均株価が30500円になったときに24750円プットが14円になったならば、売りたくならないか?

価格比の拡大については、何故起こるのか?節目なく日経平均株価が急上昇しているので、上昇している限りにおいてはプットは、特にファープットの価格のは急落してもおかしくないように思えるが、節目がないということは、潮目が変わった時に反転下落したならば途中で止められるポイントがなくなるということを意味する。その場合通常よりも想定外の下落幅になる可能性が考えられる。

私の現在の保有ポジションはファープットの価格の影響で含み損となっている。SQを無事に迎えたときには問題はない。また、日経平均株価が上昇している限りまたは高止まりしている限りプットはどんどん価格が下落するので問題ない。あまり確率は大きくはないが日経平均株価が急反転して3000円4000円の下落に見舞われると大災害となる。日経平均株価が上昇しながらVIも上昇しているのはそんな可能性もちらつかせる。

しかし、そうは言いながら反転下落が起こりながらそれが27000円~28000円で止まったりすると数百万の利益となり、実は反転下落を期待もしている。

今回の事態はあまり経験がなく、こういうこともあるのだなという、良い勉強になった。

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