ある町で

「えっ」と二度見する
素通りしてたはずじゃないのに
また 来て読むと違う顔してそこにある

小さな本屋で見つけたあなたの本
なんでこんなに懐かしいんだろ
読み込んでなかったかな
苦笑しながら 目を落とす
ああ
そこにあるものの
ひとは一人じゃなくて
喜びもかなしみも
ひとつだけじゃないと
今更に知る

大型本屋の読み物に飽きて
ふと 立ち寄ったちいさな書店で
息をつく

大切なひとの
面影がズームのようによみがえる
あなたの書いたものが
わたしをあの場所へ連れて行く

歩いて行こうね
影法師はお日様がいるから
なんて言い聞かせながら
昨日 みた なんとも幽玄な飛行機雲の
あのオレンジの帯を 思い出してた

最近出会ったちいさな書店で また あの頃を辿る旅に出る


ひとには どこでもいい。
ちいさなくつろげる居場所を見つけられたらしあわせ。
時間を忘れて 好きな本を読み耽る時間があればしあわせ。
まちの片隅の本屋。
幸い 申し訳ないけど賑わうほど 一通りは多くない。
店主は それでよしとしている。
わたしも できるなら ひっそりと裏通りで しろいカーテンが
風にそよぐその店は そのままがいい
教えないで こっそり反芻したい。
 
が 早晩 見つけたマニアックな客が 並ぶかもしれない。

もし 心に留まって下さったら、、、本を出すと言う夢に使わせていただきます。