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「一人を救う者は、世界を救う」 それは、無限なる他者愛の連鎖。

 「一人を救う者は、世界を救う」というユダヤの格言があります。原典は、ユダヤ教の聖典であるタルムードの言葉です。映画シンドラーのリストにも出てくる名言でもあります。
 色んな解釈がありますが、私流に解釈させてもらうと、この言葉が意味することは、とてつもなく深遠なんです。
 
 さて、ある人が、苦しんでいる一人の人を救ったとしましょう。
 その救われた人は、自分と同じように苦しんでいる人を救うでしょう。
 さらにまた、その救われた人は、苦しんでいる別の人を救うでしょう。
 これは無限に続いていくのです。
 
 この現象は、対人援助をする者なら、とても実感しているはずです。
 自分が援助した人が、同じような境遇に置かれた別の人を援助しようとする光景を見たことはないでしょうか。
   例えば、いじめで悩んでいる子の相談に親身に乗って命を救ったら、助けられたその子がいじめを受けている別の子の相談に乗って助けようとすることがあります。
 この時、一体、何が起こっているのでしょうか?
 それは、他者愛の連鎖です。
    苦しんでいる人を助けようとする一人の愛が、その助けられたその一人に与えられ、同じような境遇に置かれた別の一人にその愛を与えようとします。
 まさしく他者愛の連鎖が起こっているのです。このように、他者愛は、ボランティアや対人援助を通して、自己の所属する共同体や国境も越えていき、未来永劫に、この世界に無限に広がっていき、常に人を救い続け、途切れることのない永遠の運動として生き続けるのです。
 まさしく「一人を救う者は世界を救う。」というわけです。
ボランティアや対人援助は数ではありません。たった一人でもいいんです。
 いかに愛を持って、そのかけがいのない一人を親身になって援助したかが重要なんです。
 ところが、社会全体のあり方を変えないと、問題の根本的解決にならないと考え、今苦しんでいる目の前にいる一人の人を救うことを無意味だと批判する人たちがいます。
 でも、それは違います。
 一人を救うことなしに、世界は救われないのです。
 

 
 
 


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