#53【膵臓癌治療記37】投与85日目 心折れる音

心がポキッと折れる音が聞こえた。

きっかけはどうしても気になったことを思いきって先生に聞いてみたこと。

正直なんとなくそうだろうなぁとわかってはいたんだ。

でも実際に専門の先生から、ハッキリと言われると、ズシンと心に来るものがある。

参った。

今投与している抗がん剤について。
投与の終了日が決まっていない。というのは以前もお伝えしているが、3ヶ月投与してみて効いているかどうかの検査を受けて、二歩進んで三歩下がっているという効いてるけど効いてない。という微妙な結果だった。
 
その結果を受けて、今後、俺の抗がん剤治療はどうなっていく可能性があるかを聞いてみた。

まぁ聞いて良かったけど、聞かなきゃ良かった。

抗がん剤の副作用に関して、決して甘くみていたわけではないけど、やっぱりしんどい。
人によって辛さは様々だと思うし、俺なんかよりも
大変な人はもっとたくさんいるのも知っている。
だけど、自分に限って言えば木曜日金曜日の身動きできない辛さと、なんだかんだ言って髪の毛がない心理的なストレスはなかなかのもので、今3ヶ月やってみて、これが次の3ヶ月も継続。というのは、命のために必要だと頭では理解しているんだけど、ダメージはでかかった。更にあと3ヶ月か、、、

で、思いきって聞いてみた。
抗がん剤、いつまでやるのかと。

次の3ヶ月で一旦治療が一段落というのはあまり考えられないみたいで、その次の3ヶ月もまた同様だとのこと。
明言は避けられたけど、なんとなく1年で終わりです。という気もしなかった。治療に効果が有る限りまぁ少なくとも3年、5年、10年は継続していくといったイメージ。
生きてる限り抗がん剤の治療はずっと続くんだろうなと思うような言い回しだった。
それも今のように少しでも効果が効き続けてくれる。という条件付きで。
効果が効かなくなったら当たり前だけど、次の治療を模索しなきゃならないし、今のままでも生きる。という観点で考えると、治療ができている。というのは充分に運が良いのだろう。それは理解しているんだけど。。

正直参った。

なんとなく抗がん剤の投与は半年くらいで一段落して、1年後にはまたかつてのように仕事をガシガシ出来るんじゃないかと漠然と考えていたんだ。
たまに有名人のニュースであるように、癌から劇的な復活。みたいな都合の良い未来をイメージしてた。俺は運が良い方だと思っていたし。

だけど現実はそんなことは全然なくて、シンプルに絶望の色合いが濃くて、自分は特別じゃないんだと改めて思い知らされる。
ここから先、どうやって健やかに生きていこうかというイメージが音を立てて崩れていく。

癌と共存して生きていく。
抗がん剤と共存して生きていく。
満足に仕事ができない。
娘たちと存分に遊べない。
お酒もあまり飲めない。
寿司もラーメンも天ぷらも思い切り食えない。
海外旅行もいけない。

死なないために、生きるために頑張るしかないんだけど、先の見えなさに心が折れそうだ。

仮に抗がん剤を止めたら、命は短くなるんだろうけど、好きなこと存分に出来るのかな?

そんなことも考えてしまった。



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