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株は心理戦(2月13日号)

米国株は3市場が最高値圏
日本株は34年ぶりに一時3万7千円台回復


2月9日の日経平均株価は一時37,287.88円を付け、バブル崩壊後の高値を33年11か月ぶりに上回った。1989年末、多くの市場関係者は「いよいよ4万円相場到来」と湧きかえるような大納会を迎えた記憶がある。しかし、大発会から一転して株価は急落し、日経225先物が連日のストップ安は悪夢を見ているようだった。それだけに3万7千円台回復は、筆者にとっても考え深いものがある。米国株式市場もNYダウ30種は最高値圏で、ナスダックは16,000ポイントの節目を超え、S&P500は終値で初めて5,000ポイントを超えた。日米共に強調相場を継続中だか、唯一の懸念材料は高値警戒感だけだ。米国では消費者物価指数(CPI)と卸売物価指数(PPI)の発表を控えており、両指数の内容次第では、米連邦理事会(FRB)による利下げ観測に影響を与えるため、不安定要因の可能性もありうる。

注目の2月13日の週の株式市場は、12日の日経平均先物が37,220円まで上昇しており、先週に引き続き買い気の強い相場展開が予想され、円/ドルが149円台と円安傾向にあることも買い手にとって支援材料といえる。但し、決算発表が一巡したことで、材料と業績面を評価された個別物色の色彩が濃くなる週になると先読みする。

5726大阪チタニウム 「もしトラ」の有力候補

先週の当欄で取り上げた5726大阪チタニウム(2,772円)、2月6日に発表された23年12月第3四半期単体の利益が56.32億円(172.8%増)、24年3月期予想が70億円(59.5%増)と好業績が発表され、2月7日には2,940円まで急騰するも引け値は2,791円と上ヒゲの長い陰線となる。7、8日と乱高下するが、週足で見れば僅か6円の陽線で終えた。

今号では大阪チタニウムについて、少し掘り下げて述べてみたい。同社の株価が動意づいたのは、2年前の22年2月25日で873円から1週間でほぼ200円高した。動意づいた要因は、22年2月24日から始まったロシアのウクライナ侵攻であり、インバウンドや世界的な人的交流が回復傾向にあったことが挙げられる。ロシアとウクライナはチタニウムの原産国であるが、新型コロナ禍の中で人的交流が遮断され、航空機需要は著しく後退し航空機生産も減速していた。当然、航空機用スポンジチタニウムの需要は大きく減退し、スポンジチタニウムでは世界トップの同社の業績は赤字に転落していた。しかし、ロシアのウクライナ侵攻直後から同社株の株価が急動意したのは、明らかにロシアのウクライナ侵攻でスポンジチタニウムの需要が逼迫するとの見方によるものと思われる。

更に、コロナ後を見据えた航空機生産が本格化したことで、チタニウムの原料安に歯止めが掛かり、需要増と原料の根戻り、そして円安効果も加わり同社業績が急回復してきた。株価も22年11月11日には、4,850円の高値を付け調整していた。値動きを見ると上記高値の後、23年5月9日2,580円の安値を付け、23年8月2日に3,725円の高値を付けた後、決算発表後に材料出尽くしで反落した。本年に入り、株価は低迷し底値圏を徘徊して1月25日には23年5月9日の安値2,580円を切って2,562円を付ける。月足チャートで見るときれいなダブルボトムを形成し、上昇前夜とも見えるチャートに惚れ惚れする。

現在、米国大統領選挙の予備選がスタートして、共和党の指名候補争いでは断然トランプ候補の優勢が伝えられている。「もしトラ」などとトランプ候補が大統領に返り咲いた場合、ウクライナ支援の打ち切りが話題になっている。ウクライナ支援の打ち切りは、ウクライナ停戦交渉へと弾みがつくと思われることから、「もしトラ」の隠れた銘柄という説もある様だ。停戦交渉についての是非は別にして、和平は歓迎したい。その時の同社株の動向には要注目。

7014名村造船所(1,456円)

1月29日号の当欄で「再び復活」と記したが、1月26日に付けた1,546円に肉薄してきた。14日の決算発表後の株価動向に注目が集まる。

※投資行動は自己責任でお願いします

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