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株は心理戦(1月9日号)

波乱の大発会

辰年相場がスタート


令和5年、明けましておめでとうございます。

元旦早々、石川県能登地方で震度7の大地震が発生。翌日の2日には、羽田空港で被災地に支援物資を積んだ自衛隊機と日本航空機との接触事故が発生。目を覆うばかりの被災地の現状に、改めて地震国日本であることを思い知らされた。被災地の皆様には、謹んでお見舞い申し上げます。29年前の1995年の阪神大震災、そして2011年の東日本大震災と10数年周期で起きている自然災害に思いをいたし、心を痛める年初となった。

4日の東京株式市場の大発会は、大地震の影響を受け寄り付き直後に770円安まで急落し肝を冷やしたが、その後は冷静に値を戻した。昨年末、軟調に推移していた株式市場の最大の要因であったドル/円は、年初から円安に反転し日経平均の反騰体制の環境は整いつつある。

米国株式市場の年初の動向は、ナスダック市場は15,150.07ポイントを高値に調整色を強め、S&P500も昨年10月以来の大幅な下落となった。昨年11月下旬から一本調子の上昇相場を続けてきた反動による調整と見られるが、米国債利回りが乱高下していることも懸念材料と見られる。5日の雇用統計の強さと、米ISM非製造業総合指数の予想外の弱さから相反する内容だった。これにより

10年債利回りは結果として4%台に上昇したことが円安材料となり、今後の日本株の反騰につながるものと見られる。



令和5年の株式市場は新NISAが始まり、割安高配当銘柄や値上がり期待の穴株探しなど、新たなテーマ探しや注目銘柄の発掘に期待が高まるところ。本年の相場を展望する上で、重要な視点の一つが海運株の今後をどう見るかということである。株式相場は連想ゲームだと主張してきたが、海運株に追従してきたのが造船株である。むしろ、筆者は海運株が造船株の露払い的な役割であったのではないかと思える。その理由は、海運事業のGHG(温室効果ガス)削減を担うのは造船技術であり、鉄鋼事業にまで波及するのではないかと先読みします。



GHG(温室効果ガス)削減技術が国際競争力を増す

重厚長大産業が日本再生のエンジンとなるか?



日本が脱酸素、クリーンエネルギー、カーボンニュートラルの先端技術を中核に据えて、環境技術大国日本として国際競争力を確立できるかどうかが問われる時代を迎えている。

欧州では、2020年に公表した新型コロナ後の総合経済対策基金7,500億ユーロ(約100兆円)のうち、気候変動対策関連は約1,800億ユーロ(約25兆円)と言われている。米国は、バイデン大統領が2021年に打ち出したインフラ計画2兆ドル(約300兆円)のうち、6,280億ドル(約85兆円)が気候変動関連。日本では菅前首相が2020年に「2050年カーボンニュートラル」を宣言。同年に発表された「グリーン成長戦略」に盛り込まれた民間企業の環境投資促進のための研究開発基金は、先ずは2兆円投入されることになった。

こうした世界的なGHG削減志向は拡大の一途であることは間違いない。日本では、鉄鋼、造船、を中心とする重厚長大産業が明治以来、日本の国造りをリードしてきた。「鉄は国家なり」とか「造船ニッポン」は、現在の日本製鉄と三菱重工のためにあった言葉だが、海運事業を含めて、重厚長大産業の復権なくしてGHG削減の世界的寄与はないと考える。筆者は、この重厚長大産業がGHG削減を通し、日本再生のエンジンとなるという期待は高まりつつある。



海運関連

9101 日本郵船 4,758円

9104 商船三井 4,908円

9107 川崎汽船 6,607円

造船関連

7011 三菱重工 8,641円

7014 名村造船 1,375円

7018 内海造船 5,340円

7003 三井E&S  768円

鉄鋼関連

5401 日本製鉄 3,384円

5406 神戸製鋼 1,948円

5411  JFE   2,310円

この10銘柄が1年間、どのような活躍をするか。こうご期待。



※この情報は筆者の個人的見解で、投資行動は自己責任でお願いします



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