見出し画像

【メメモリss】ソル「ラーメン屋さん!」

登場人物
領主:ブルク公国のとある町でパン屋を経営。
ソルティーナ(主人公):ルナリンドの妹。姉と共に領主のパン屋を手伝っている。
ルナリンド:ソルティーナの姉。妹と共に領主の家で暮らす。

ソル「お姉ちゃん!今日はうちのパン屋がお休みだから、領主さんがラーメン屋さんに連れて行ってくれるって!」
ルナリンド「本当?楽しみだわ…」

〜数分後〜

領主「着いたぞー!」
ソル「わぁー!もうお腹ぺこぺこだよ〜。何を頼もうかなぁ。」ワクワク
ルナリンド「この店の名前、なんて読むのかしら…」
領主「ここは蒙古タンメン仲本っていうすっげえうまいラーメン屋なんだぜ!」
ソル「すごく楽しみだねお姉ちゃん!ね、お腹すいたから、早く中に入ろ!」
ルナリンド「うふふ、ソルったら。」期待に胸を膨らませる二人を横目に、領主は店前のメニューを凝視する。
領主「やっぱりこれだな。」メニューを吟味し終えた一行は、颯爽と店内に入る。

店員「いらっしゃいませー!」威勢の良い掛け声が三人を出迎える。
ソル「わぁ~いい匂い~!」体験した事のない光景に、目を輝かせるソルティーナ。
領主「いつもお前たちにパンを焼かせてばかりだからな。今日は俺の奢りだよ。」
ルナリンド「みんな汗をかきながら食べてるわ…そんなに熱いのかしら…」

店員に案内され、席につく三人。
領主「二人とも、メニューは決まったか?」

ソル「わたしは領主さんにおまかせする!」
ルナリンド「じゃあ、私もおまかせするわ…」

領主「すいません、北極ラーメン三つで!」店員「かしこまり!」
ソル「楽しみ〜!いつもパンばかり食べてるから、たまにはラーメンもいいよね!」
領主「そうだな…ああ早く食いてえぜ。」ウズウズ

ルナリンド「北極ラーメン…北極っていうくらいだから、きっと冷たいのかしら…
うふふ…」
ソル「お姉ちゃん怖いよ…」

そうこうしている内に、三人のテーブルに、続々とラーメンが着丼する。

領主「待ってましたぁ!」
ソル「わぁ~……なんだかすごく赤いね!」
ルナリンド「どうしてこんなに真っ赤っかなのかしら…」

領主「その赤さの正体はな、食べると強くなれる赤玉(潜在室珠)なんだ!」
領主「さっ、冷めないうちに食うか!」
ソル「わあい(^^)」

ルナリンド「……。(思ってたのと違うわ…)」

ソル「赤玉ラーメン、いっただっきまーす!(^ ^)」ズルズル
ルナリンド「私も頂こうかしら…」猫舌の姉は、麺を冷ましながら食べ始めた。

ソル&ルナリンド「!?」
麺を啜り始めた直後、二人の体に稲妻が走った。

ソル「か、から〜い!!!」ゴクゴク
ルナリンド「ごほっ…げほげほ…」ゴクゴク

二人はあまりの辛さに、急いで水を飲み干した。

領主「ああ~美味ぇ〜!やっぱりここのラーメンは最高だ!」領主は、苦悶の表情を浮かべる姉妹をよそに、ラーメンを食べ進める。
ソル「あの、領主さん…わたし辛いの食べれないよ〜泣」
ルナリンド「ちょっと…お手洗いに…」
領主「何を言ってるんだ。二人とも、今日は俺の奢りだからね。全部食べないと家に帰れないよ。」

ソル&ルナリンド「そんな……」

ソル「(お姉ちゃん…助けて…)」目で合図を送る妹に、ルナリンドは自身に与えられた試練に立ち向かうのに精一杯で、妹を助ける余裕が無かった。
ルナリンド「あぁ…辛い…」滅多に汗をかかないルナリンドの、頬につたい流れる汗に、領主は高揚した。

領主「さあどんどん食え、でないとラーメンが伸びてもっと辛くなるぞ。」
ラーメンの辛さと、領主からのありがたいプレゼントに、涙目になるソル。
時間が経つにつれ、滝のように流れる汗。

ソル「どうしてこんな目に合わなきゃいけないの…( ;  ; )」
ルナリンド「ソル、わがままを言っちゃだめ…せっかく領主様が奢ってくださるのだから。」
ルナリンド「これは赤玉…赤玉なの…食べれば食べるほど強くなれるのよ…これでやっとソルを守れるわ…うふふ…ふふ…うふふふふ…」
ソル「(ああもうダメだこの姉)」

ソル「こんな辛いの、食べれないよ…泣」あまりの辛さに箸を置き、嘆くソル。
領主「どうした?ラーメン食べれないなら手伝ってやろうか?」
ソル「わたしの食べてください!全部あげますから!」
領主「誰がお前のラーメンを貰うと言った。」
ソル「え…?ムグッ…」領主は突然、ソルティーナの箸を持ち、彼女の口に麺を運んだ。
ソル「嫌ぁ…やめてください…お願いです。」
領主「遠慮すんなってほら、俺の奢りだ。」グイッ
ソル「(お姉ちゃん助けて…)」正面に座るルナリンドにアイコンタクトを送るも、姉はラーメンの器を見つめ、ブツブツと独り言を言っている様子であった。

その時だった。

ルナリンド「覚醒せよ我が力、冷徹なる不死の氷!」
ソル「ちょっとお姉ちゃん!?こんなところでクリファ化しないでよ!」

店内に吹雪が舞った。一気に氷点下になり、人も、物も全てを凍りつくした。

領主「まずいな。また覚醒しちまったか。」北極ラーメンの辛さが、ルナリンドの中に眠る力を目覚めさせたのだ。

ソル「お姉ちゃん、落ち着いて!」
ソル「北極ラーメン食べて、店まで北極にしないでよ!」

妹の声は届かず、ルナリンドの暴走は止まらない。

領主「こうなったら…。ソル、アレをやるしかない!」
ソル「わかりました!照らせ、ソルスフィア〜!氷を溶かして!」
専用武器、ソルスフィアから放たれる太陽光が、店内を覆う薄氷を溶かしていく。

領主「よくやったソル。だが、せっかくのラーメンが台無しだ。帰るか。」
店員「あの、お客様。」氷から溶けて出てきた店員が駆け寄る。
領主「はい?」
店員「お代は結構ですので、次からは出禁にさせて頂きます。」
領主「はぁ?ふざけんなよ。何言ってんの。」
ソル「(せっかくの休日が〜泣)」

ルナリンド「あら…ここは…」
ソル「お姉ちゃん!目が覚めたんだね!よかった〜( ;  ; )」
ルナリンド「私は一体…確か…ラーメンを食べてたはず…」
ソル「お姉ちゃんがクリファの力でお店を凍らせちゃったんだよ!覚えてないの?」
ルナリンド「そんな…ごめんなさい…あぁ…またやってしまったわ…」

店員「弁償していただけますか?」
領主「はぁ?そんな金ねーよ!」
領主と店員の応酬が続く。

領主「代わりに!代わりにこいつをコキ使ってやって下さい!」そう言うと、領主は、ソルティーナの肩を掴み、店員に差し出した。
ソル「…え?」
店員「分かりました。店長と相談して参ります。」

ソル「ちょっと、領主さん!わたし、嫌です。こんなところで働くなんて!」
領主「仕方ないだろ。こうするしかないんだ。」
ソル「うぅ……嫌だよぉ…」シクシク

ルナリンド「あの…ソルの代わりに私がここで働きます…」
ソル「お姉ちゃん!」
ルナリンド「いいのよソル…お姉ちゃんがいけないの…全部私がいけないの…」
そこへ店長がやって来た。

店長「うちとしては雇う分にはいいけどさ、被害額分は働いてもらうかんね。」
ルナリンド「あぁ…お世話になります…」
領主「おい、ソル!お前が行け。」
ソル「嫌です!絶対に嫌ァァァァ!!」

???「なんだってこんな思いをしてラーメンを食べなきゃいけないんだ…」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?