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【雨で流す】

義母が亡くなって1年。墓参りに行く。昨日から振り続けている雨の中、お花を持って傘をさす。

5年前の西日本豪雨の時。1ヶ月一緒に生活してくれた。
学童保育から帰った息子に素麺作ってくれたり。
散歩して、近所の人と話したことを教えてくれたり。

反面、お互い思ったことをすぐ口にするタイプのためバツが悪いこともあった。
更に実の息子の夫の話より近くの友達の話をよく聞いて。
「そうじゃないよ」と家族が言っても突き進む人だった。

亡くなる前も「眩暈がする」と初診で隣町の脳神経外科、眼科、耳鼻科とありとあらゆる診療科に行っては厄介払いされ続けた。
結果的には近くのかかりつけ医が原因を見つけ、大きな病院に運ばれた。

持病が多すぎてどの診療科が主治医になるのか時間がかかり、結局呼吸器内科で入院。

重症の間質性肺炎。
以後、毎日のように呼び出され…何も話さないまま亡くなった。

…元気な時、もう少し会話しとけばよかったのか。

でも1年経った今、「これで良かったのかも」…と思うことにした。
「お義母さんは今、どこおるんかね?」雨に濡れながらお墓に話しかけると夫が苦笑いしながらこう言った。
「どこにおるんかねぇ」

…今日で水に流すことにした。

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