総合商社についての簡単まとめ
総合商社について
総合商社は財閥系の三菱商事、三井物産、住友商事と非財閥系の伊藤忠商事、丸紅で5大商社と呼ばれています。
また、これに加えてトヨタ系の豊田通商と双日を合わせて7大商社と呼ばれることもあります。
かつての総合商社のビジネスは貿易業務が中心でしたが、近年は有望な事業へ投資を行い権益ビジネスへと変わろうとしています。
LNGや石油事業だけでなく、脱炭素の流れの中でアンモニアや水素事業などの新エネルギーにも投資を行っています。
ここからは5大商社の簡単な特徴などをまとめていきたいと思います。
三菱商事
三菱商事は、資源分野と非資源分野の両輪で収益を上げる総合力に強みを持つ総合商社です。
これまで積み上げてきた優良な資源権益に加え、多くの優良子会社や関連会社を擁する三菱グループの中核企業であるため、影響力の大きい企業であることは間違いないでしょう。
事業内容を簡単にまとめると、
エネルギー事業では石油・ガス開発・生産、電力プロジェクト、再生可能エネルギーを手掛けています。
産業インフラ事業ではメタル・鉱山開発、化学製品、海外インフラプロジェクトを手掛けています。
自動車・機械事業では車両の輸出入、機械・装置の製造・販売を手掛けています。
食品・消費財事業では食品の製造・販売、化学製品、医薬品を手掛けています。
金融事業では投資銀行業務、保険事業を手掛けています。
物流・不動産事業では貨物輸送・物流、不動産開発を手掛けています。
一番利益が大きいのはやはり資源・エネルギー事業です。
ただ、三菱商事はすべての事業がバランスよく利益を上げているのが特徴で、「総合力の三菱商事」と呼ばれています。
また三菱商事の中期経営計画ではEX関連事業の比率を高めるとしています。
EXとは「エネルギートランスフォーメーション」の略です。
詳しい内容については以下のマガジンを参照していただけると幸いです。
三菱商事の配当ですが、累進配当となっています。
また、最新の決算発表でも「累進配当のもと増配」を発表するなど株主還元にも積極的な企業ともいえるでしょう。
伊藤忠商事
伊藤忠商事はこの10年で最も成長した総合商社です。
特に商社業界で連結純利益No.1、時価総額No.1と絶好調なのが伺えます。
その躍進の原動力となったのは、生活消費関連を中心とした非資源分野の強化にあります。
総合商社の利益は、主に資源分野と非資源分野に分類されますが、資源分野は景気の影響をもろに受けます。
世界情勢の動きによって大きく売上が変動してしまう資源分野に対して、非資源分野は比較的安定してるのが特徴です。
また、伊藤商事もグループ会社に優良な企業を多く抱えており、事業基盤も安定しているといえるでしょう。
伊藤忠商事の事業内容は以下のものがあります。
繊維
機械
金属
エネルギー・化学品
食料
住生活
情報・金融
第8
この中で一番利益が多いのは金属です。
ですが、断トツで多いというわけではなく、機械や情報・金融など非資源分野でも稼いでいることがわかります。
伊藤忠商事は中期経営計画においても圧倒的な強みを持つ生活消費分野を強化するとしています。
また、三菱商事と同様に脱炭素社会へ向けての取り組みも進めています。
配当については累進配当を掲げ、継続的に増配・自社株買いを行うとしています。
三井物産
三井物産は日本で最初の総合商社です。
近年では非資源分野へも積極的に投資していますが、基本的な収益源は資源分野です。
鉄鉱石と原油の生産権益量は圧倒的で資源価格次第では業界トップクラスの収益力を発揮することになります。
三井物産も多くの優良グループ企業を抱えており、安定的な収益基盤を擁しているといえるでしょう。
三井物産の事業内容は以下の通りです。
金属資源
エネルギー
機械・インフラ
化学品
鉄鋼製品
生活産業
次世代・機能推進
この中で一番利益が多いのはやはり金属資源であり、資源分野に偏っていることが特徴です。
三井物産の中期経営計画では強みである資源・エネルギー分野を軸にそれに付随する事業を拡大していくとしています。
また、今後拡大する食糧問題に対しても注力していくと経営計画で述べています。
配当については、三井物産も累進配当政策を掲げています。
資源価格の影響によっては大きく稼ぐときもありますので潤沢なキャッシュは持っています。
そのため資源分野の割合が多くとも保有する価値がある企業と言えると思います。
住友商事
住友商事は住友グループの大手総合商社です。
伊藤忠商事と同様に資源分野ではなく非資源分野に強みを持つのが特徴です。
特に通信事業やメディア事業も手掛けているのが他の総合商社との違いと言えるかと思います。
住友商事も多くのグループ会社を擁しており、確実に利益を生む企業ばかりです。
住友商事の事業内容は以下のとおりです。
金属
輸送機・建機
インフラ
メディア・デジタル
生活・不動産
資源・化学品
この中で一番利益が多いのは資源・化学品です。
ただ、非資源分野である上記の1~5の合計も多く、資源・化学品に匹敵するほどです。
半々の割合と言っていいかと思います。
住友商事の中期経営計画では「DX」をキーワードとして掲げています。
また、三井物産などとは異なり、資源分野ではなく社会インフラや農業にITを活用して新規事業を開拓するとしています。
この点から総合商社と言えども各社の戦略は異なるというのがわかりますね。
住友商事の配当政策ですがは、累進配当ではありません。
過去に減配をした年もあります。
しかし、長期的に見ると増加傾向にあるので長期で保有することで大きなリターンが見込める可能性はありますね。
丸紅
丸紅は芙蓉グループの総合商社です。
特に丸紅は伝統的に紙・パルプ、食料、電力に強みを持っており、非資源分野に強みを持つ企業と言えるでしょう。
丸紅も他の総合商社と同様に多くのグループ会社を抱えています。
丸紅の事業内容は以下の通りで非常に多岐にわたっているのが特徴です。
ライフスタイル
情報・物流
食料
アグリ事業
化学品
金属
エネルギー
電力
インフラプロジェクト
航空・船舶
金融・リース・不動産
建機・産機・モビリティ
フォレストプロダクツ
そして各事業の第2四半期利益は以下の通りです。
また、丸紅の中期経営計画では脱炭素事業であるグリーン戦略を推進するとしています。
やはり総合商社にとって「脱炭素」はキーワードかと思います。
丸紅の配当政策は累進配当です。
中期経営計画において「累進配当」を導入しました。
そのため今後は減配の可能性をあまり心配する必要はなさそうです。
長期的に保有することで利回りも情報していくかと思います。
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