東南アジアで加熱するネット通販事業② TikTokの挑戦
バイトダンス傘下の動画共有アプリ「TikTok」がインドネシアのEC市場に再び攻め入ろうとしています。
実はTikTokは以前「TikTokショップ」というEC市場を展開していましたが、中国から多くの安い輸入品がある場合は現地の中小企業への悪影響が大きいという理由からインドネシア政府が規制を始めたため、ECを停止していたのです。
しかし、インドネシアのTikTok利用者は1億人超とされ、米国に次ぎ世界で2番目に多いです。
TikTokとしてはここにビジネスチャンスがあると考えていました。
そこで、TikTokはインドネシアECで2位のトコペディアの買収を行いました。
また、それぞれの事業を統合して中長期で10億ドルを投資する方針も打ち出したと同時にインドネシアの中小企業の発展を後押しするという政府への配慮も行いました。
その甲斐もあり、インドネシア政府は、TikTokのEC再開を容認しました。
TikTokショップの特徴は生配信で商品を紹介する「ライブコマース」を通じた美容品や衣料品の販売方法です。
一方でトコペディアは日用品や食品を幅広くそろえており、お互い補完し合える買収になっています。
今後は政府の規制も踏まえ、TikTokのアプリ内では販売促進に注力し、実際の商品を売買するEC機能は切り離してトコペディアに統合するという方針だそうです。
ではなぜここまでしてTikTokはインドネシアの市場を獲得しようとしているのでしょうか。
その理由はインドネシアはEC事業の成長の鍵を握る市場だからです。
実はインドネシアのEC利用率は非常に高く、タイやマレーシア、なんと日本も上回っており、まさにEC大国なのです。
そして、現在のインドネシアのEC市場は東南アジア各国で高いシェアを持つシンガポールの「ショッピー」が首位に立っています。
また、ショッピーだけでなく中国のアリババ集団が出資するラザダも存在感を持っています。
このようにアジアのIT大手はインドネシア市場を獲得するべく動いているのです。
インドネシアでシェアを獲得するということは東南アジア市場を獲得するに等しいという意味合いすら感じます。
TikTokショップだけだとインドネシア市場を取るのは難しいですが、トコペディアを買収するとなると話が変わってきます。
一気に他のECショップからは脅威に映るのは間違いないでしょう。
そのため、競合がTikTokのシェア拡大を阻止しようとして価格競争を仕掛ける可能性もあります。
ますます激しくなるEC市場の勝者は非常に気になりますね。
東南アジアのEC市場については以下の記事で書いていますので読んでいただけると幸いです。
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