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マックス ~オンリーワン&トップシェアで安定収益を叩き出す企業~

概略

マックスは東京都中央区に本社を置く機械メーカーです。
ただ、機械メーカーと一口には言えないほど様々な製品を生み出しています。

国内トップシェアの商品や世界初・国産初の製品を生み出し、100億円規模のニッチな市場で存在感を持つ企業と言えるのです。

そして、マックスの営業利益率は10%を超えているため、稼げるビジネスをしている企業ともいえるでしょう。

https://irbank.net/E02381/results#c_33


事業内容分析

マックスの事業は大きく3つに分けられます。

  • オフィス機器部門

  • インダストリアル機器部門

  • HCR機器部門

順にみていきたいと思います。


オフィス機器部門

マックスの代名詞ともいえる商品は「ホッチキス」です。
皆さんも一度はマックスのホッチキスの針を目にしたことがあるのではないでしょうか?


会社員の方はもちろん、学生時代にもお世話になった人も多いと思います。
個人的にもホッチキスの針といえばこのパッケージのイメージです。

マックスは時代のニーズをいち早くとらえ、1952年に国産初の小型ホッチキスを開発しました。
それ以来、ホッチキスはオフィスワークにかかせないアイテムとして発展し続けています。

いわゆる「とじる」という技術に特化しているのがマックスの特徴と言えるでしょう。

マックスのホッチキスと「とじる」技術は他にも使われています。
それが「オートステープラ」というものです。

これはコピー機で印刷をするときに、ホッチキスで止めた資料を印刷できるようにしたものです。

そのコピー機の中のホッチキスをマックスは手掛けています。

マックスは品質の高さから多くの複合機メーカーから採用されているのです。
ホッチキスが不調なコピー機を買う企業はいませんし、品質がモノを言うところですから高い技術力を持つマックスは採用され続けています。

https://www.max-ltd.co.jp/about/company/business/stapler.html


マックスにはまだ代表的な製品があります。
「ビーポップ」という製品をご存じでしょうか?

職場の安全表示、製品に貼る銘板ラベル・PLラベル、工事現場の看板、駅の案内表示などを自由に手軽に作成可能できる機械でさまざまな場所で活躍しています。


ビーポップは特に工事現場や工場で使用されることが多く、小ロットのラベルを作成したいときにも便利なアイテムです。

工場での使用例
(https://wis.max-ltd.co.jp/op/bepop-fun/casestudy/factory.html)


工事現場での使用例
(https://wis.max-ltd.co.jp/op/bepop-fun/casestudy/construction.html)


オフィス機器の主要製品を見るだけでもニッチな商品を作っていることがわかるかと思います。

そしてマックスの強みはここからです。
ホッチキスには針が必要ですし、ビーポップにはラベルのもとになるシールが必要です。

つまりマックスの製品は「製品+消耗品」がセットになっています。

そのため、ホッチキスの針という消耗品ビジネスが成り立ちます。
ホッチキスを買って終わりではなく、継続的にマックスの針を買ってもらうことによってマックスは収益を上げており、これがマックスの高い利益率の源なのです。

このビジネスモデルのことを「消耗品モデル」、または「ジレットモデル」とも言われています。

ジレットは男性の方はご存じの方も多いと思いますが、安全カミソリです。
ジレットは本体を無料配布して、替え刃式のカミソリを継続的に購入してもらう戦略で大成功を収めたので「ジレットモデル」と言われているのです。

この消耗品ビジネスのメリットは顧客の囲い込みができることと安定した定期収入を得ることができることです。

カミソリの他にもコピー機とインクが消耗品モデルの代表的な例と言えるでしょう。


インダストリアル機器部門

次はインダストリアル機器部門です。
インダストリアル機器部門のキーワードは「打つ」「締める」「縛る」です。

マックスは国産の釘打ち機のパイオニアとして知られており、その後も世界初の充電式鉄筋結束機を開発するなどニッチな市場で存在感を放っています。

住宅を建てるときに以下のような工具を使っているのを見たことがある人も多いのではないでしょうか。

https://www.max-ltd.co.jp/about/company/business/industrial.html


いわゆるBtoB商品ですが、マックスの製品は現場の職人から高い評価を得ているのです。

https://www.max-ltd.co.jp/about/company/business/industrial.html


マックスはもちろん海外展開もしており、インダストリアル機器部門については国内と海外で半々ぐらいの売上高の割合を占めています。
バランス良く稼いでいる企業と言えるでしょう。

https://ssl4.eir-parts.net/doc/6454/ir_material_for_fiscal_ym/148979/00.pdf


そしてインダストリアル機器部門でもマックスの強みは消耗品モデルです。
釘打ち機と釘、結束機とワイヤーなどセットで売ることができるのが強みです。


HCR事業

最後にHCR事業です。
マックスは車いすメーカーを2010年に買収し、車いすを製造販売しています。

https://www.max-ltd.co.jp/about/company/business/hcr.html


各種指標分析

売上高・営業利益

https://irbank.net/E02381/results#c_1を参照し作成


マックスの売上高・営業利益・営業利益率を見ていきたいと思います。

まず、2021年から2024年まで売上・営業利益ともに毎年増収増益なのがわかるかと思います。

これは新型コロナウイルスからの回復に乗ることができたということと、アメリカでは商業ビルや高速道路などの建築投資が続いた影響でマックスの業績も伸びました。

また2024年度は海外で住宅着工に回復の兆しが見えているため今後はさらに業績を伸ばすかもしれません。

そして営業利益率の高さも素晴らしいと思います。
製造業で10%を超える営業利益率は優良企業だといえる一つの目安なので安定したビジネスモデルを持つマックスは強い企業だと言えるでしょう。


EPS(1株利益)

https://irbank.net/E02381/results#c_6


続いてEPSです。
EPSは1株当たりいくら儲けているかを確認するための指標でこの数字が成長しているほど稼ぐ力を伸ばしていると判断できます。

マックスのEPSは長期的に見て成長しています。
10年前と比べて約4倍になっているので非常に成長した企業と言えると思います。

コロナ禍の2021年に減少していますが、その翌年には大きく復調しており、何らかの景気不調になったとしても数年で戻すことが期待できる企業かなと思います。


自己資本比率

https://irbank.net/E02381/results#c_12


次は自己資本比率です。
自己資本比率は企業の財務健全性を確認するための指標でこの数字が高いほど安全と言えます。

マックスの自己資本比率は75%を超えており非常に高い数字です。

また、手元キャッシュも増加傾向にあるため事業継続に不安な部分はありません。

https://irbank.net/E02381/results#c_22


配当・配当性向

https://irbank.net/E02381/results#c_24


最後に配当・配当性向です。
マックスの配当は2010年以来一度も減配していません。

そして先日の第3四半期決算では増配が発表されました。
24年3月期には98円となり大幅な増配となります。

https://ssl4.eir-parts.net/doc/6454/tdnet/2385583/00.pdf


また、今後配当性向を50%に高めていく方針を示していることから今後も増配が期待できそうです。

https://ssl4.eir-parts.net/doc/6454/ir_material_for_fiscal_ym/148979/00.pdf


まとめ

以上のようにマックスはニッチな分野でオンリーワン製品を生み出し、消耗品ビジネスで手堅く稼ぐことで順調に成長している企業と言えるでしょう。

ただし、マックスの業績は景気に左右されるところが大きいことは留意が必要です。
住宅着工件数などはもろに影響があります。
そのためマックスも説明資料で「経済指標」のページを作っています。

https://ssl4.eir-parts.net/doc/6454/ir_material_for_fiscal_ym/148979/00.pdf


景気に左右されるところはもちろんありますが、マックスのビジネスモデルは消耗品モデルのため安定した収益が望めることも事実です。

特に現在はコンクリート構造向けの工具の販売が堅調に推移しています。
機械の累計稼働数が増えれば、消耗品の売上も伸びますし、全く住宅の着工がないということも考えられません。

住宅だけでなく他の建造物の着工が0になることもまずないでしょう。

多少の景気の悪化があってもすぐに回復できる強さを持った企業ですので今後も注視していきたいと思います。

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